【BMW 3シリーズ 新型試乗】日本専用「320i」の登場が楽しみになった…片岡英明

BMW 3シリーズ 新型(330i Mスポーツ)
BMW 3シリーズ 新型(330i Mスポーツ)全 8 枚

「駆け抜ける歓び」をキャッチフレーズにしていることから分かるように、スポーツセダンの代名詞であり、運転する楽しさを前面に押し出しているのがドイツのバイエルン州ミュンヘンに本拠を構えるBMWだ。

多くのバリエーションを揃えているが、ヨーロッパだけでなく日本でも高い人気を誇っているのが、日本のミドルクラス、欧州のDセグメントに属している『3シリーズ』である。2018年10月のパリモーターショーでは、第7世代となるG20型3シリーズがベールを脱いだ。

後席の乗降性改善にも注目

7年ぶりにモデルチェンジした3シリーズは正常進化の形を取るが、シャシーからパワートレインまで、すべてを新設計とした。ボディサイズはひと回り大きくなり、ホイールベースも延びている。だからキャビンは広くなり、後席の快適性も向上した。
BMW 3シリーズ 新型(330i Mスポーツ)BMW 3シリーズ 新型(330i Mスポーツ)
改善されたのは後席の乗降性で、先代より乗り込みやすくなっている。足元の空間も広げられたが、シートは平板なデザインで、しかも少し立ち気味だ。だからスポーティな走りをすると腰が落ち着かない。だが、4:2:4の3分割式になったから利便性は向上した。

注目のパワーユニットは5機種を用意している。主役は2.0リットルの直列4気筒DOHC直噴ターボで、ガソリンターボとディーゼルターボを2種類ずつ設定した。試乗したのは、190kW(258ps)/400Nm/40.8kg-m(400Nm)を発生する2.0リットルの直噴ターボを積む330i Mスポーツだ。トランスミッションは電子制御8速ATを組み合わせている。

ワインディングロードでは「水を得た魚」に

BMW 3シリーズ 新型(330i Mスポーツ)BMW 3シリーズ 新型(330i Mスポーツ)
ヘッド部分を新設計とした新しいターボエンジンは軽快かつシャープな味わいだ。車両重量は50kg軽量化され、1630kgにとどめられている。だから2名乗車だとパンチがあり、刺激的な加速を見せた。応答レスポンスは鋭いし、パワフルだからパドルシフトを使っての走りが楽しい。しかも低回転からたっぷりとしたトルク感を味わうことができる。Dレンジでは驚くほど滑らかな変速だ。

スポーツモードを選んでマニュアル変速すれば切れ味鋭い加速を見せつけた。静粛性も高く、タイヤのパターンノイズが耳障りと感じるほど静かだ。風切り音も上手に封じている。

サスペンションはストラットとマルチリンクの組み合わせだ。試乗車はサスペンションを硬くしたMスポーツだし、オプション設定の前後異サイズの19インチタイヤを履いていた。それだけではなく、可変ダンパーを装着したファスト・トラック・パッケージだ。

だから低速走行や荒れた路面ではゴツゴツとした乗り心地と感じ、路面によってはしなやかさを欠く場面がある。だが、ワインディングロードでは水を得た魚のように意のままの気持ちいい走りを楽しむことができた。

ベース車の「320i」が楽しみだ

BMW 3シリーズ 新型(330i M Sport)BMW 3シリーズ 新型(330i M Sport)
ボディとシャシーは強靭だ。リアのしっかり感と接地フィールも秀逸だった。コーナリングのときはリアの接地がよく分かる。足の動きが良く、懐が深いから安心感があり、クルマの挙動も分かりやすい。

スポーツモードをチョイスすると、スピードを上げていってもロールを巧みに抑えるなど、無駄な動きがなくなる。舵の入りもいいから鼻先が軽く感じた。路面の段差や目地で蹴られても収束が早く、狙ったラインに乗せやすい。ブレーキの効き味も素晴らしかった。

が、一般的な走りでバランスがいい1台と感じるのはベース車といえる320iだろう。まだ試乗していないが、Mスポーツの第一印象から想像すると、かなりトータル性能は高いと思わせる。試乗するのが楽しみだ。

BMW 3シリーズ 新型(330i Mスポーツ)BMW 3シリーズ 新型(330i Mスポーツ)
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

片岡英明|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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