京急電鉄、スタートアップ企業5社と地域連携型MaaSの実現に向けて実証実験

左からAirXの手塚究社長、ecboの猪瀬雅寛執行役員、triplaの高橋和久CEO、NearMeの高原幸一郎社長、Nature Innovation Groupの丸川照司社長
左からAirXの手塚究社長、ecboの猪瀬雅寛執行役員、triplaの高橋和久CEO、NearMeの高原幸一郎社長、Nature Innovation Groupの丸川照司社長全 2 枚写真をすべて見る

京浜急行電鉄は4月17日、新規事業の創出を目指す「京急アクセラレータープログラム」で第2期の採択企業5社を決定したと発表した。これから京急沿線を中心に実証実験を行っていく。

同プログラムはスタートアップ企業とのオープンイノベーションによって、鉄道会社の新たなビジネスモデルを構築しようというものだ。なにしろ京急電鉄は沿線の人口が減り、そのうえ少子高齢化で既存のビジネスだけではじり貧になりかねない状況になっているからだ。

そこで同社は「モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出」という新規事業のビジョンを掲げ、鉄道を軸とした移動インフラを起点にテクノロジーとリアルを融合させた“地域連携型MaaS”の実現を目指そうと考えたわけだ。しかし、同社単独ではその実現は難しく、スタートアップ企業の力を借りて新しい価値を創造し、沿線地域の魅力を高めようというのが同プログラムを実施することになった背景だ。

第2期では「Mobility(移動)」「Living・Working(くらし・働き方)」「Retail(買い物)」「Entertainment(観光・レジャー)」「Connectivity(テクノロジーの活用)」の5分野をテーマに募集し、102件の応募があった。「第1期に比べて少し応募件数は減ったが、京急が目指すビジョンや募集テーマを明確にしたため、応募内容はより具体的なものが多かった。今回は各事業部の協力を得ながら選考を進めたのでスムーズにできた」と新規事業企画室の橋本雄太氏は説明する。

今回採択されたスタートアップ企業はAirX(本社・東京都新宿区)、ecbo(東京都渋谷区)、tripla(東京都中央区)、NearMe(東京都中央区)、Nature Innovation Group(東京都渋谷区)の5社だ。

AirXはエアモビリティを手掛ける会社で、活動していないヘリコプターや利用されていないヘリポートを活用し、国内初の「航空機手配オンデマンドシステム」で空の交通を最適化するサービスを展開している。今回のプログラムでは、都心部と三浦半島の間や三浦半島内での新たなプラットフォームの開発を目指す。将来的には空飛ぶクルマなどの次世代航空機に関する事業開発も進めるそうだ。

ecboは荷物を預けたい人とスペースを持つ人をマッチングするシェアリングサービス「ecbo cloak」を展開する会社で、京急沿線の店舗にecbo cloakを導入してもらい、旅行者の荷物を預けられるようにしていく。これによって、京急の利用客増加をはじめ、滞在時間や消費の拡大を狙う。

triplaは、国内約400カ所の宿泊施設予約サイトにおいて、5言語で利用可能なAIチャットボットサービスを展開している会社で、プログラムでは京急グループが展開する宿泊施設へのAIチャットボットサービスを実施する。ゆくゆくは京急グループが持つ鉄道やバスなどのモビリティとも連携したMaaSソリューションを手がけ、スマホを介したワンストップサービスの実現を目指す。

NearMeはタクシーの相乗りアプリ「nearMe.」を手掛けている会社で、スマホを利用して相乗り相手をマッチングすることで、タクシーを安く利用できるようになるという。今後は9人乗りの「シャトル」で、タクシーより安くバスより便利な乗り物として京急沿線の新たな移動手段を創出する。まずは観光などの需要に合わせたオンデマンド・シャトルの試験運航を行う。

Nature Innovation Groupは、日本初の傘のシェアリングサービス「アイカサ」を展開している会社で、LINEを活用して行っている。料金は24時間で70円と格安だが、スマホに送られてきた暗唱番号を打ち込まないと傘が開かない仕組みになっている。プログラムでは、品川周辺などに点在する商業施設やオフィスビルへの「アイカサ」導入を通じて、相互送客の実施や移動データを取得する。ゆくゆくは雨天時に新しい需要を創出する雨の日プラットフォームを構築していく計画だ。

これら5つのスタートアップ企業とのプログラムは4月~7月にかけて実証実験を行い、その結果を踏まえて資本業務提携などの検討を行っていくそうだ。

《山田清志》

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