【スーパーフォーミュラ 開幕戦】大荒れの展開の決勝、制したのは昨季準王者ニック・キャシディ…予選12位から逆転優勝

#37 キャシディが12番グリッド発進から優勝。
#37 キャシディが12番グリッド発進から優勝。全 10 枚

全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)開幕戦は21日、鈴鹿サーキットで決勝日を迎えた。セーフティカー出動4回という荒れた展開のなか、昨季シリーズ2位のニック・キャシディが12番グリッド発進からの逆転優勝を成し遂げている。

この週末、鈴鹿サーキットはドライコンディションに恵まれ続けた。午後2時、SF開幕戦決勝のフォーメーションラップが始まり、数分後、グリッドに整列し直した全20台のニューマシン「SF19」がスタンディングスタートから1コーナーへと駆け込んでいって、2019年シーズンが本当の意味で幕を開けた。

SFの決勝レースではドライコンディション時、タイヤに関してソフトとミディアムの両スペックを履く義務が生じる。燃費的なところ等々も踏まえた場合、250km(鈴鹿43周)の道中で1回のピットストップというのが基本線だ。また、オーバーテイクシステム(OTS)は今季から各自100秒の持ち時間をレース中、自由に使うことができる設定に変わっている(ただし一度使用した後、再使用まで100秒待つ必要あり)。

全車新車の初戦、レースは荒れた。アクシデント等によるセーフティカー(SC)出動案件が4回も発生。そしてその最初の1回が大きく戦況を左右することにもなる。最初のSC導入は上位が9周目を走っている時だったが、燃費的なこと等を考えると“ここが入りどき”になり、多くのマシンが9周終了でピットへとなだれ込んできた。

左から2位の山本尚貴、優勝の舘信秀TOM'S監督とキャシディ、3位の山下健太。左から2位の山本尚貴、優勝の舘信秀TOM'S監督とキャシディ、3位の山下健太。

12番グリッド発進の#37 N.キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)はこれより前、6周終了時にピットインしてタイヤ交換と給油をしていた。これは燃費的に最も早いタイミングでのピットストップ消化と考えられていたが、それが思わぬかたちで奏功、いや、全車ニューカーで新人も多い“状況”を織り込んでの絶妙な作戦判断でもあっただろうし、SCが出なくともキャシディの走りがあればサブマリン的な上位浮上があったと思うが、とにもかくにも当初想定以上に功を奏すこととなった。

もちろん幸運だけではなく、まず#37 キャシディのアウトラップ(タイヤがまだ冷えた状態のピットアウトラップ)が彼自身「すごく良かったんだ」と評せるものであったこと、そしてSC明けのタイミングで実質の先頭と目された車両を鋭くパスしたことなど、実力面の勝因を幸運の上に積み重ねていった結果として、大逆転優勝が達成されるのであった。

勝利を喜ぶキャシディと舘監督。勝利を喜ぶキャシディと舘監督。

「このハイレベルな場所(SF)で勝つことは、いつでも最高の気分だ」とキャシディ。彼は昨年はKONDO RACINGで戦い、惜しくもドライバーズランキング2位だった(KONDOはチーム部門王座を獲得)。今季はSUPER GT/GT500クラスでの元来の所属先であるTOM'SでSFも戦うことになり、その“移籍初戦”で決勝11ポジションアップの逆転を成就させた。

新車のセッティングの煮詰め、その進捗については「まだ、あまり良いとは言えないね」という状況のキャシディだが、それでも結果を引き寄せてくるあたりに強さを感じる。今季こそはの王座獲りに向けて、なにはともあれ、良いスタートをきったといえそうだ。

#1 山本尚貴は2位。#1 山本尚貴は2位。

決勝2位は昨季王者の#1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)。彼もチームを移籍しての今季開幕だったが、好敵手キャシディ同様に手堅いところを見せている。そして3位は王者チーム KONDOに残留した#3 山下健太(KONDO RACING/トヨタ)。実はこの3人の顔ぶれは昨季最終戦鈴鹿と同じである(当時は山本~キャシディ~山下の順)。いろいろあった開幕戦のレースウイークだが“強い者は強い”を印象付ける結果に収束している。

決勝4位は移籍組実力者のひとり #16 野尻智紀(TEAM MUGEN/ホンダ)。5位は新人最上位となった#39 坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)。6~8位には#4 国本雄資(KONDO RACING/トヨタ)、#50 L.アウアー(B-Max Racing with motopark/ホンダ)、#15 D.ティクトゥム(TEAM MUGEN/ホンダ)が入賞した。

3位の#3 山下健太。3位の#3 山下健太。

ピットインを最後まで引っ張り、見た目の先頭を走り続けたのは#18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG/トヨタ)だったが、最終結果は9位でポイント獲得には届かなかった。

予選でフロントローを独占したTCSナカジマレーシング(ホンダ)のルーキー2人、#65 牧野任祐と#64 A.パロウはいずれもトラブル絡みと見られる状況でレースを終えることに。出走20台で完走12台、6割という完走率は最近では珍しいくらい低い水準だと思われ、ペナルティ案件も多く、とにかく荒れた開幕戦であった。

4位の#16 野尻智紀。4位の#16 野尻智紀。

今季のSFは概ね“月イチ”の開催日程(全7戦)。第2戦は5月18~19日に大分県のオートポリスで開催される。今度はどんなドラマが展開されるのか、引き続き注目したい。

《遠藤俊幸》

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