箱根に新型海賊船“芦ノ湖の女王”が就航---楽しくなきゃ

クイーン芦ノ湖
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小田急グループの箱根観光船では25日から、神奈川県箱根の芦ノ湖を運航する海賊船に、新型の「クイーン芦ノ湖(QUEEN ASHINOKO)」が就航する。営業運航の初出港時刻は11時20分、桃源台港発。

クイーン芦ノ湖は、「心ときめくクルーズ」をコンセプトに開発された。芦ノ湖の碧にあざやかに映えるゴールドの船体をもち、多彩な色・形・素材を自在に組合せた装飾性豊かな船内は、床から天井まで木材を張りめぐらせている。

内外装をデザインしたのはドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治氏だ。船体は黄金色を基調とし、船首には古代ギリシャの「サモトラケのニケ」像をモチーフとした女神像を配し、女王=クイーンの風格や優雅さを表現した。

クイーン芦ノ湖特別船室の玉座23日の内覧会で水戸岡氏は「インスタ映えするところをいっぱい用意した。こういう船は楽しくなきゃいけない。箱根観光船は長年、海賊船のデザインを続けている。新型船で変わったところは、従来の大砲に代わって祈りの女神像を用意したこと。女王様の船だから。自分としても、従来の経験をつぎ込んだ、集大成的な仕事となった」と語った。

クイーン芦ノ湖では、内装一つひとつのデザイン、材質、色にこだわった。中でも、箱根寄木細工をモチーフとした床材や、日本の伝統工芸である大川組子を船内の装飾に取り入れたのが特徴だ。様々な色や模様を施した5種類の椅子は、多くの乗客それぞれあった船旅を提供できるよう、デザインし配置されたもの。

水戸岡氏は「製品を作る側としては、部品を共通化したり、工数を減らしたりしたい。クイーン芦ノ湖は逆で、手間暇かけた足し算のデザイン、ある意味クラシックなデザイン手法でデザインした。予算や工期がオーバーするかもしれないが、箱根観光船の立場ではなく、乗客の立場でデザインした」と解説する。

180度展望できる2Fの特別船室は、米松とナラ材を使用し、木の温もりと贅沢を感じられる。さらに黄金の壁をバックに「女王陛下の玉座」を配して、記念写真が撮れる。船首など8か所に1人用見晴らし台(ウォッチ台)を配し、そこに立てば芦ノ湖の風を感じ、「タイタニックごっこ」もできる。階段室も“映え”のポイントだ。船内ショップではコーヒー、生ビール、ワインのほか、水戸岡鋭治デザインのオリジナルグッズを販売する。

クイーン芦ノ湖普通展望台のウォッチ台箱根観光船の岡本裕之取締役社長は内覧会で「開発・建造の初期から見てきたわけだが、期待以上のものが出来上がった。クイーン芦ノ湖では、家具・調度、天井・床、目に入るものすべてにこだわりがある。乗客は乗るたびに感動してくれると思う。小田急グループでは2018年度から20年度にかけて箱根エリアにおいて大型投資を進めており、新型海賊船はその目玉だ。箱根観光の目玉になって、人が箱根に来るきっかけになり、箱根全体が盛り上がるといい」とあいさつした。

水戸岡氏も「芦ノ湖は、日本一の富士山が水面に映り込む日本一の湖だ。乗客はクイーン芦ノ湖で心地いい時間を体験してほしい。それがテーマ。そしてクイーン芦ノ湖は職人さんが頑張った“非常識な船”なので、その気持ちが乗客に伝わるとうれしい」と語る。

クイーン芦ノ湖
全長:35m
全幅:10m
総t数:318t
運航速力:10.5ノット、約19.4km/h
最大速力:11.7ノット、約21.3km/h
旅客定員:541名(うち特別船室87名)
主機関:高速ディーゼル機関(423kW)×2基
バウスラスター(船首横移動推進装置)×2基
建造費用:約12億5000万円
建造会社:ジャパンマリンユナイテッド

船名について:クイーン芦ノ湖は当初「クイーン芦ノ湖セブン」という船名だった。7代目海賊船という意味をもたせていたが、長い、「海賊」を強調しない(大砲がない、女王の船)という理由で、「クイーン芦ノ湖」に変更された。調度品や備品の一部に「QUEEN ASHINOKO 7」「QUEEN ASHINOKO SEVEN」という表記が残されたまま、船は完成している。

《高木啓》

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