スズキ社長「40年と4年の経験の差は非常に大きい」…修経営からの脱却進まず

決算会見をする鈴木修(右)と鈴木俊宏社長
決算会見をする鈴木修(右)と鈴木俊宏社長全 1 枚

スズキが5月10日に発表した2019年3月期連結決算は、売上高が3兆8714億円と前期に比べて3.0%増えたものの、営業利益が3243億円の13.3%減、純利益が1787億円の17.1%減と二ケタの減益になった。

その減益の大きな理由は言うまでもなく新車の完成検査不正に伴うリコール費用がかさんだためだ。そのための費用を特別損失として813億円計上している。質疑応答では、この件に関する質問が相次ぎ、なかには「鈴木修会長が進めてきた“ケチケチ経営”の弊害が出ているのではないか」といったものや「いまのスズキを動かしているのは誰なのか」という厳しい質問もあった

それに対して修会長は「企業とは収益を上げることなので、その旗を降ろすつもりはない。社会的に常識を外れ、法律的に違反してまでやろうとすることは国賊だ。法律の範囲内でやることは極めて常識だ」と述べたが、その声はいつものような張りはなく、弱々しく聞きづらかった。

またスズキの経営については、「社長が就任時に“チームスズキ”をキャッチフレーズに掲げ、複数の役員が集まって経営会議をやることになっている。私は予算申請をはねつけたことは一度もない。人事についても、技術関係は技術担当役員を呼んで選考の候補者をあげてもらって、100%ではなくて90%は推薦通りに任命している」と修会長。

このようにまだまだ修会長にお伺いを立てる体制が続いているようだ。その功績を考えれば当然かもしれない。スズキのピンチを持ち前の“カンピューター”を駆使して何度も救い、3兆円企業にまで育て上げてきた名経営者である。

鈴木俊宏社長も「40年と4年の経験の差は非常に大きいと思う。そういうことで簡単に決められるというものではないと思っている。少しでも社内の人材の知恵を借りて決断をしていくことをやらなければいけないと思っている」と話す。

就任時に掲げた“チームスズキ”についても「まだまだできていない。本部長クラス、常務役員クラス、さらに課長レベルとの対話もしっかりやっていく必要があると思う」となかなか思うようにいっていないようだ。確かにチームスズキも大事だろうが、CASEなど時代が大きく変化している今、もう少し俊宏社長がリーダーシップを取ってスズキを引っ張っていくことも必要ではないだろうか。

「事業の進歩発展に最も害するものは、青年の過失ではなく、老人の跋扈である」---。これは第二代住友総理事の伊庭貞剛氏の言葉である。旧住友財閥を大きく発展させた名経営者で、この言葉を残して57歳でさっさと引退してしまった。

《山田清志》

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