ZFジャパン、多様な製品を自動車メーカーのニーズに合わせて提供し事業拡大図る

小型商用車用ドライブユニット「CeTrax lite」
小型商用車用ドライブユニット「CeTrax lite」全 8 枚

独ZFは、パシフィコ横浜で5月22日から24日まで開催される「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」に、小型商用車用ドライブユニット「CeTrax lite」を出展する。この電動セントラルドライブは、先ごろZFジャパンが発表した車両総重量5トンの電動トラック・プロトタイプに搭載されている。同社の「プラグ・アンド・ドライブ」コンセプトによって、既存の車両に大幅な変更を加えることなく完全電動化を可能にするため、高い静粛性や環境性能が求められる宅配便やコンビニエンスストア配送用の小型トラックに最適なソリューションと言える。

こうした日本市場のニーズに対応した電動小型トラックは、ZFジャパンのエンジニアリングチームによって開発された。2007年に開設された旧TRW社のR&D拠点が、ZFによるTRW社の統合により「ジャパンテックセンター(JTC)」と改称。横浜市中区にあるJTCは、それまでの安全技術関連に加え、電動化にも力を入れた研究開発を行っている。

ZFジャパンの研究開発部門責任者、ロバート・サイドラー氏によると、このJTCでは既存の製品を顧客の仕様に応じてモディファイする、いわゆるアプリケーション・エンジニアリングに加え、新規ビジネスの獲得と将来に向けた基礎研究といった3つの業務を行っているそうだ。アプリケーション・エンジニアリングにおいては、製品ラインごとにドイツやアメリカなどのR&Dセンターに設置された「コア・デベロップメント」チームとJTCなど各リージョンのテックセンターが連携して開発を行うことで業務の効率化を図っている。中国には上海郊外の安寧(アンティン)にテックセンター(ATC)があり、例えば日本の自動車メーカーの中国市場向けモデルに関しては横浜のチームが「コア・デベロップメント」およびATCと連携して業務にあたるケースもあるとのことだ。

さて、デンソーやアイシンが「100年に一度の変革期に直面している」と表現している現在の自動車業界では、世界的に電動化が進んでいるのは誰もが知るところである。ただし、一言で電動化と言っても、選択肢の幅は広い。内燃機関と組み合わせたハイブリッドにも、マイルドハイブリッド、フルハイブリッド、プラグインハイブリッドとバリエーションが存在する。また、EV(完全電動車両)にも、水素を利用して発電する燃料電池車(FCV)と車載バッテリーに充電した電気を使用するバッテリーEV(BEV)があり、それぞれにメリットとデメリットがある。従って、自動車メーカー各社は技術的な進歩および将来的な法規制の動向も見極めた上で、慎重な電動化戦略を立てる必要がある。

電動化だけでなくADAS(先進運転支援システム)など、ますます複雑化する自動車テクノロジー。サプライヤー各社が、完成車メーカーにどのような「統合型ソリューション」を提案できるかが一つの鍵となるだろう。サイドラー氏は、同社の幅広い製品ラインナップによって、ZFは自動車メーカーの様々な要望に柔軟かつ包括的に対応できると自信を見せた。

「人とくるまのテクノロジー展」のZFブースには、「CeTrax lite」以外にも複数の電動ドライブや、ADAS/自動運転向けのセンサー類およびAI、アクチュエーターなどが、衝突/予防安全関連ソリューションと共に数多く展示されるとのことだ。「コア・デベロップメント」チームが開発した「幅広い製品ラインナップ」により、ZFの真のグローバルな技術力と日本における事業拡大のポテンシャルが理解できる内容となりそうだ。

《石川徹》

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