「新しい旅のかたち」JTBが考える観光MaaS…JTBコミュニケーションデザイン黒岩隆之氏[インタビュー]

「新しい旅のかたち」JTBが考える観光MaaS…JTBコミュニケーションデザイン黒岩隆之氏[インタビュー]
「新しい旅のかたち」JTBが考える観光MaaS…JTBコミュニケーションデザイン黒岩隆之氏[インタビュー]全 1 枚

“観光MaaS(マース)” これまで難しかったことがデジタル化により、都会ではなく地域でもアイディア一つで様々なことが可能になってきている。どんな地域でどんなことが楽しめるのか。どこのお店がおいしいのか。そこまでどうやって行けばよいのか。その地域の情報、宿泊施設、移動手段などあらゆるコンテンツをデジタル化して、予約や決済まで一つのパッケージにして提供する。

このようなMaaSの考え方や仕組みを地域に観光振興に取り入れる気運が全国各地で非常に高まっている。交流人口を増やしたい自治体の思いも強いが、まだ体験したことのないコトや美しい自然を求めて日本の田舎へ向かう国内外からの観光客のニーズが強く後押ししている。

これからの旅と地域活性、それを支える観光MaaSについてどのように考えているのか。モビリティを活用した新ビジネス領域の拡大と地域活性などに長年取り組んでいるJTBコミュニケーションデザイン営業推進部アカウントプロデュース局アカウントプロデュース課チーフマネージャーの黒岩隆之氏に聞いた。

6月19日、20日に東京オリ・パラとCASE・MaaSのキープレイヤーが一堂に会するセミナーが開催されます。詳細はこちらから。

デジタル化により旅のかたちが大きく変わった

---:JTBの課題は?
黒岩氏:JTBは、店頭を構えてそこに紙のパンフレットを置いて、観光先の宿泊施設、そこまでの公共交通などの移動手段の予約や支払いを代行することが主軸です。これまで数多くの旅行客を地域へ送客してきました。現在でもシニア世代を中心に高い需要があります。

しかしインターネットやスマートフォンといったデジタル化により大きく変わりました。店頭やパンフレットの在庫を持たないコスト構造の異なるプラットフォーマーの出現、航空会社や鉄道会社が自社のサイトを持ち旅行代理店を介さずに、個人が情報収集、予約、決済ができるようになりました。JTBの法人関係の事業も企業の人材育成やプロモーションへとシフトしてきています。そして新たなビジネス領域を作っていく必要があります。

“エコシステムの構築” 地域コンテンツをバリューチェーンとしてつなぎ新たな価値を生み出す

---:なぜMaaSに取り組むのですか?
黒岩氏:JTBはこれまで自治体などからのオーダーをベースに、観光情報サイト、決済システム、マーケティング支援、鉄道駅からの移動手段づくりなど様々なことをお手伝いしていきました。しかしそれらは単体として存在し、せっかく調査したり作ったりしたのにも関わらず機能していないものが数多くあります。それらを何とか機能させて地域を活性化していきたいという思いがあります。

このようにバラバラにある地域の機能をひとつのプラットフォームでまとめて、稼ぐ価値を創造するフレームをデジタルで作ることが非常に大切だと考えています。MaaSのもともとの定義は移動手段をつなぎ合わせるものです。しかし人は目的があってそこに移動します。JTBではMaaSをさらに発展させて、目的と移動手段をかけ合わせていきます。

そのプラットフォームのどこをJTBが担うのか。プラットフォームそのものを作っていきたい思いもグループには強いです。どちらかというとプラットフォーマーよりもオペレーターの方が向いているのではないかと思っています。プラットフォームの構築がうまいところに任せて、そのホワイトラベルをかしこく使う方が良いと考えるからです。

6月19日、20日に東京オリ・パラとCASE・MaaSのキープレイヤーが一堂に会するセミナーが開催されます。詳細はこちらから。

「道の駅×積水ハウス・マリオット」を拠点に観光MaaSを展開、2020年秋に全国15か所

---:具体的なアウトプットは?
黒岩氏:2018年11月にリリースされましたが積水ハウスとマリオット・インターナショナルは、日本国内の自治体と連携して「道の駅」をハブとした「Trip Base(トリップベース)道の駅プロジェクト」を展開します。まず2020年秋以降にロードサイド型ホテルを5府県15か所約1000室でオープンさせ、全国に展開する予定です。

海外のリッツカールトンの宿泊客がホテルのコンシェルジュに「日本の田舎に行きたい。どこか紹介してくれないか」という声がたくさん寄せられているのだそうです。しかし美しい自然や歴史を持つ日本の田舎には、英語が話せるスタッフのいる宿泊施設がない、日本人観光客用に用意された仕組みなので一泊二日以上のメニューがない。コンシェルジュが胸を張って紹介できる宿泊先が田舎になかなかないことが悩みだったのだそうです。

このトリップベース道の駅プロジェクトは「未知なる日本をクエストしよう」です。全国各地で人気の道の駅とマリオットをベースに、自動車、バイク、自転車で地域の人とつながりを感じることを通じて、訪れる宿泊客の満足度をあげるものです。そこでJTBも一緒に動けないかとMaaSを提案し協業を検討しています。

新しい送客エンジンとバリューチェーンの仕組み

このようにこれまでは都市機能のある大阪、福岡などの都市部にホテル機能を提供することが中心でした。しかしこれからは都市以外の地域にも拠点をつくり、“新しい送客エンジン” と地域のコンテンツをまとめるバリューチェーンの仕組みとなるプラットフォームをセットで仕掛けることが大切となるでしょう。

新しい旅のプロモーション

---:「新しい旅」はどのようなパッケージで売り出すことになるでしょうか?
黒岩氏:プロモーションは、ワクワクドキドキするアクティビティや地域のお祭りが前面に出るイメージ動画や写真などになるでしょう。「これ何だろう?行ってみたい」とクリックすると私たちが提案するパッケージツアーだったといったような。

スイスモビリティのように自転車でめぐる旅。スノーピークのグランピング。その地域の陶芸家から学ぶ陶芸体験。あやめ釣りの名人と挑む。それらの体験、宿泊、移動手段、飲食を個々でばらばら売るのではなくパッケージとして売って付加価値をつけていくようになるのではないでしょうか。そこで観光MaaSが非常によい働きをするのではないかと期待しています。

6月19日、20日に東京オリ・パラとCASE・MaaSのキープレイヤーが一堂に会するセミナーが開催されます。詳細はこちらから。

《楠田悦子》

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