【メルセデスベンツ Aクラスディーゼル 新型試乗】Aクラスの可能性を広げた…九島辰也

コンパクトモデルに初めてのディーゼル搭載

既存エンジンも、手間をかけコンパクトに

走りのイメージは「ひとつ上のクラス」と言いたくなる

メルセデスベンツ Aクラスディーゼル(A200d)
メルセデスベンツ Aクラスディーゼル(A200d)全 32 枚

コンパクトモデルに初めてのディーゼル搭載

「ハイ、メルセデス!」で話題となった『Aクラス』。インパクトあるテレビCMだけに普段クルマに関して口にしない人も興味を持ったようだ。「あれって、本当に会話できるの?」と。

MBUXの話はともかく、そのAクラスにディーゼルエンジンモデルが追加された。メルセデスのコンパクト系としては珍しいパワーソースの導入である。

搭載されたのは4気筒ディーゼルターボで、すでに『Cクラス』や『Eクラス』にも採用されている。低速からの力強さはもちろん、静かで振動も少ないのが売り。アイドリング音は横に立っているとガラガラと聞こえるが窓を閉めたキャビンにいると気にならない。ガソリンエンジンとの差は気づきにくいだろう。つい最近、イタリア車に積んだディーゼルエンジンの完成度の高さは報告したが、音に関してはこちらに軍配が上がる。

既存エンジンも、手間をかけコンパクトに

メルセデスベンツ Aクラスディーゼル(A200d)メルセデスベンツ Aクラスディーゼル(A200d)
Aクラスに積まれるディーゼルエンジンはFR用縦置きユニットを横置きに変更した。これでFF用プラットフォームにも幅広く対応できる。と言ってもそのままマウント方法を変えただけでなく、シリンダーピッチを狭くしたりして全長をコンパクトにした。要するにそれなりに工夫が必要あったわけで、お金もかかっている。素材はブロックをアルミ、ピストンをスチール製とする。

重要なのは2020年から施行されるユーロ6d NORMの排ガス規制をクリアすべき浄化方法で、二重三重のシステムが化学物質を追いつめる。2つのEGRと2つのSCR、それとASCや酸化触媒で、窒素酸化物や二酸化炭素の排出量を抑えるという算段だ。

走りのイメージは「ひとつ上のクラス」と言いたくなる

メルセデスベンツ Aクラスディーゼル(A200d)メルセデスベンツ Aクラスディーゼル(A200d)
それはともかく、乗った印象をお伝えしよう。

試乗したのは「A200d」で、2リットル直4ターボディーゼルは最高出力150ps、最大トルク320Nm を発生させる。ちなみに、1.4リットルガソリンターボの「A180」は最高出力136ps、最大トルク200Nm。

なので、走り出しから違いは如実。これまでの走りのイメージがあればひとつ上のクラスと言いたくなる力強さだ。しかも、新開発の8速デュアルクラッチ式「8G-DCT」との相性は良く、全回転域でスムーズな走りを見せた。燃費を重視したギアチェンジというより、走りも楽しませてくれるプログラミングと言いたい。

メルセデスベンツ Aクラスディーゼル(A200d)メルセデスベンツ Aクラスディーゼル(A200d)
また、乗り心地が良いのも特筆ポイント。試乗車は18インチを履いていたが、段差の少ない舗装路では至ってフラットで安定性を強く感じる。ワイドトレッドのポジティブな部分が現れているようだ。でもってコーナリングでも同じ。首都高速の複合的なコーナーを綺麗にトレースしてくれた。

コーナー出口ではディーゼルの太いトルクのままグイグイ加速するので、気持ちがいい。中間加速もそうだが、パワーが欲しいところで瞬時に反応してくれるのがありがたい。

価格は排気量差もあってA180よりそれなりに高くなる。A180スタイルより30万円高。というか、数字以上に走った印象が違うのでここは比べるのも少し違和感が持った。2リットルディーゼルのパフォーマンスが潜在的な高い走行性能を持つAクラスの可能性を広げたような感じだ。

メルセデスベンツ Aクラスディーゼル(A200d)メルセデスベンツ Aクラスディーゼル(A200d)
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 【レンジローバー ヴェラール 新型試乗】ああ、紛うことなくレンジローバーだ…島崎七生人
  2. ニックネームは“赤いコスモ”、50年前に登場した2代目ロータリースポーツ【懐かしのカーカタログ】
  3. 狭い道! 制限1.3m、通れる車がなくなった都市計画?…東京都世田谷区
  4. 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに日本上陸!…新型車ベスト5 2025年上期
  5. ついに「パジェロ」の名前が日本復活!? 三菱の新型SUV、デザイン&スペックを大予想!
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る