音を体で感じるユーザーインターフェイス『オンテナ』…富士通がサービス提供開始

富士通オンテナを装着した奈苗さん。
富士通オンテナを装着した奈苗さん。全 9 枚

富士通は、音を体で感じるユーザーインターフェイス『Ontenna(オンテナ)』を活用した、イベント支援サービスの提供を2019年7月より開始する。それに先行して6月11日より、ろう学校の教育現場での利活用を目的に、ろう学校30校にOntennaの体験版を無償で提供する。富士通が6月11日、発表した。

【画像全9枚】

オンテナについて

オンテナは、デバイスを髪の毛や襟元などに身に付け、振動と光によって音の特徴を体で感じるユーザーインターフェイスだ。オンテナは、周囲で発せられる約60~90dBの音を、256段階の振動と光の強さに変換する。リアルタイムに音源の鳴動パターンを伝達することで、装着者は、音のリズムやパターン、大きさを知覚できるようになる。

オンテナはヘアピンのように髪の毛に装着できるほか、補聴器や人工内耳を使用しているユーザも、服や襟元などに取り付けて使用可能だ。聴覚障がい者・ろう者と協働で開発された。オンテナを身に着けたろう者は、自身の声や周囲の音の大きさを知覚することができるため、発話・発音や太鼓・リコーダーなどの音の強弱の練習が可能になる。

オンテナは、音の取得範囲を拡張する音ズーム機能により、環境によって対応する音の使い分けが可能だ。人が集まる場所などで使う場合は、大きな音のみに反応(約80~90dB)するように、教室など静かな場所で使う場合は、通常の会話に反応(約60~90dB)するように設定できる。60dB以下、90dB以上に反応するよう設定すると、デバイスが反応し続けるため、約60~90dBの範囲とした。光源はオフにもできる。

複数のオンテナを1台のコントローラーで制御するスマートモードも用意されている。コントローラーが感知した音のリズムやパターンをリアルタイムで複数のオンテナに伝達するモードだ。通信は920MHz帯無線。コントローラーへは外部音源からの有線入力もでき、コントローラーのボタンを押して複数台のオンテナを同時に振動させることもできる。

連続使用時間は、オンテナ、オンテナコントローラーとも約3時間。充電時間はいずれも満充電まで約8時間、90%充電まで約4時間となっている。

オンテナイベント支援サービス

富士通では、オンテナを活用したスポーツ・文化などのイベント支援サービスを提供する。オンテナデバイス貸与だけではなく、システム環境構築からイベント当日の運用までを一貫して提供する。

またオンテナによって、スポーツの競技音やイベントの効果音など、特定の音をよりダイナミックな振動や光で演出することで、イベントの体験価値を高めることも可能になる。オンテナは言語に依存しないため、障がいや国籍を問わず新しい観戦スタイルを提供できるだう。富士通では、オンテナ活用は共生社会の実現に向けた一つの啓蒙モデルになると考えている。

オンテナイベント支援サービスの提供価格は、オンテナ30台で20万円/日から。金額にはシステム環境構築費およびイベント当日の運用費を含むが、イベント会場の環境によっては個別見積もりの可能性もある。受付開始は6月11日、提供開始は7月1日。販売目標として、スポーツ・文化団体や自治体などに、2021年までに1000イベントへのサービス提供を目指す。

オンテナを用いた企業向けビジネスの展開、およびECサイトを通じた個人客への販売については、オンテナの製造を担う富士通エレクトロニクスが2019年7月より実施予定だ。価格はオープン価格とするが、富士通によると予想市場価格はオンテナが2万5000円前後、オンテナコントローラーが3万円前後。初年度販売目標は1万台だ。

全国のろう学校へオンテナ体験版を無償提供

さらに富士通は、全国のろう学校へオンテナ体験版を無償提供する。耳が聞こえないろう学校の生徒は、音の特徴を知覚することや、自身でリズムを感じることが困難な場面が多いという。例えば発話練習の際、自身の声の大きさが分からない。また音楽の授業で太鼓を叩く際、本来のリズム通りに叩くことが難しい。

このような、ろう学校の教育現場における課題解決や有効性の検証のため、富士通では6月11日より、全国のろう学校に順次、オンテナの体験版を無償で提供する。提供内容はオンテナ10台+コントローラー1台+充電スタンド11台。全国聾学校長会の校長会理事・評議員の30校に先行で配布、その他の学校についても校長会と連携し、継続したオンテナの普及と活用をめざす。

●Ontenna展

6月12~20日、GOOD DESIGN Marunouchi(東京丸の内)で開催中の「Ontenna展」でオンテナを体験できる。これまで取り組んできたろう学校や音楽・スポーツイベントでの活動も紹介されている。

《高木啓》

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