日野自動車が公開した最新安全技術の実力…交通事故死者ゼロを目指す

ドライバー異常時対応システム(EDSS)の作動時には車内で赤いランプが点滅
ドライバー異常時対応システム(EDSS)の作動時には車内で赤いランプが点滅全 5 枚

日野自動車は6月14日、同社の羽村工場(東京都羽村市)で報道陣向けに最新安全技術の試乗会を開催した。そこでドライバー異常時対応システム(EDSS)をはじめ、前進誤発進抑制機能、サイトアラウンドモニターシステムなどを披露した。

同社は中長期ビジョン「チャレンジ2025」のもと、2020年代に高速道路での死亡事故ゼロ、2030年代に一般道での死亡事故ゼロに向けて安全技術の開発に力を入れている。これまでに数々の安全技術を業界に先駆けて搭載してきた。

例えば、2006年に商用車世界初となる衝突被害軽減ブレーキ(PCS)、09年にはドライバーモニターの商品化(商用車世界初)、10年にはPCSを大型トラック・観光バスに標準装備、11年には2トンクラス世界初の車両安定性制御システム(VSC)の商品化、18年には商用車世界初のEDSS大型観光バスの商品化といった具合だ。

「大型観光バスや大型トラックなど大きなクルマが事故を起こすと大きな被害になりやすい。われわれとしては安全を担保するということが商用車メーカーとしての社会的責任と考えている」と先進技術本部副領域長の奥山宏和氏。

今回披露したEDSSは昨年商品化した進化版で、運転手の状態をモニターするカメラに人工知能(AI)技術を基にした画像解析を採用し、身体や顔の向きが大きく傾いたり、まぶたが閉じたりといった異常が5秒程度続いて車線も外れた場合、システムが作動して2段階ブレーキで自動停車させるというものだ。

実際に大型観光バスに乗ってその安全技術を体験したが、運転手の身体が傾き、車体がふらつき始めると、大きな警告音とともに前方上に取り付けられた赤いランプが点滅。車外ではハザードランプやストップランプが点滅して、バスは急停車した。3回とも同じような感じでほぼ同じ位置に停車した。もっともこのシステムは高速道路を想定しているため、時速60km/h異常ではないと作動しないそうだ。

サイトアラウンドモニターシステムは、大型トラックの一般道での出会い頭事故を低減するもので、バンパー両端に埋め込まれた黒い部品がミリ波レーダーを発し、前側方からの移動物を検知するようになっている。実験では右前側方から乗用車が近づいてくると、10mほど手前のところで大型トラックの警報音が鳴り、メーターの液晶ディスプレイに赤く「接近注意」の表示がされた。

また、小型トラックの安全技術では、前進誤発進抑制、クリアランスソナー、低速衝突被害軽減機能を体験。前方の障害物に向かってアクセルをベタ踏みしても、障害物の数10cm手前で止まった。エンジントルクカット制御に加え、ブレーキ作動も行っているそうだ。「これでブレーキとアクセルを間違えて、コンビニなどに突っ込むことはなくなる」と説明員は自信を見せたが、確かにその通りだと感じた。

奥山氏は「こうした安全技術を交通事故死傷者ゼロの実現に向けて積極的な標準装備化していく」と強調する。また、事故原因の9割以上といわれるヒューマンエラーの低減には自動運転技術が有効と考え、さらにスピードを上げて自動運転技術の開発に取り組んでいくそうだ。

確かにこうした新技術を標準装備にしていくことは重要だと思うが、既存車種に対しても後付けで簡単に付けることができる安全装置を是非とも世に送り出してもらいたい。

《山田清志》

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