【WEC】世界王者となった中嶋一貴が凱旋…「思ったより時間かかったが、獲るべきところで獲れて良かった」

トヨタ東京本社に凱旋した、中嶋一貴(左)と小林可夢偉。
トヨタ東京本社に凱旋した、中嶋一貴(左)と小林可夢偉。全 10 枚

19日夕刻、ルマン24時間レースで2年連続総合優勝を果たし、ルマンを含む世界耐久選手権(WEC)のタイトルも獲得した中嶋一貴が、ルマン2年連続2位の小林可夢偉とトヨタ東京本社に“凱旋”、そこで働く仲間たちへの報告を行なった。

WECの2018/2019シーズンは、都合1年半に渡るシーズン構成で、ルマンが2回という異例のかたちだった(今年のルマンが最終戦)。そこでLMP1クラスに唯一ハイブリッドマシン(LMP1-Hマシン)の「TS050」で参戦したトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)は、2014年シーズン以来となるチーム、ドライバー両対象部門でのタイトル獲得を達成。ドライバー部門チャンピオンには、ルマン2連勝の8号車トリオ、中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ/セバスチャン・ブエミが輝いている。

サーキットレースにおける日本人ドライバー初の世界チャンピオンとなった一貴は、トヨタ東京本社のみなさんへの報告会の前に行なわれたメディア向けの報告会で、“目標達成”についてこう語った。

「WECには2015年シーズンからフル参戦するようになりました。その前の14年にチームがタイトルを獲っていて、(王者だった)セブ(ブエミ)とアンソニー(デビッドソン)のクルマに(自分も)乗ることになったわけですけど、そのときから、ルマンに勝つことはもちろん、タイトル獲得も目標でした。思ったより時間がかかったな、というところもありますが(苦笑)、しっかり、獲るべきところで獲れて良かった、というのが今の正直な気持ちですね」

トヨタ東京本社で働くみなさんとの記念撮影。トヨタ東京本社で働くみなさんとの記念撮影。

「長いシーズンであり、無事に終えられてホッとしてもいます。もちろんチーム内はいい雰囲気でやっているんですけど、やはりレースになると(同門でのサシの対決ならではの)精神的に厳しいところがありますからね。同じマシンなので、本当に細かいところでパフォーマンスを引き出し合っての戦いになりますし、チームとして1-2は絶対に果たしたうえで2台の勝負がある、ということを意識すべき状況ですので」

高次元の緊迫した同門対決を制し、世界王座に就いた一貴。彼の父親は日本人初代フルタイムF1レーサーだった中嶋悟さんである。今回のルマンのレース後には、「おめでとう、ありがとう、という、いつものメッセージのやりとりがありましたね」と一貴は笑顔で話す。これで親子とも“日本人初の大偉業達成者”となった格好だ(ふたりとも、ほかにも多くの成果を出しているが)。

中嶋一貴がルマンとWECの“制覇”を報告。中嶋一貴がルマンとWECの“制覇”を報告。

今年のルマンについては、僚機7号車(可夢偉組)に残り1時間で首位から陥落するという流れを経ての勝利だった。「7号車が勝つべき展開ではあったと思います。いろいろと複雑なところがある結果にはなりましたが、チームとしてしっかり1-2で戦い抜けましたし、今後もこういうかたちで、そしてより良いかたちで戦えれば、と思います」と一貴は振り返っている。ゴール直後の映像に映った自身が涙するシーンについては、「理由は説明が難しいですね。(7号車のことを含め)感極まったところがありました」とも。

そして王者の思いは、来季(2019/2020シーズン)のタイトル防衛とルマン3連勝、さらには新たな“ハイパーカー”規定の下で戦う再来季(2020/2021シーズン)に向いているようだ。アストンマーティンが『ヴァルキリー』でハイパーカーに参入する意向を発表し、GRスーパースポーツ(仮称)をベースとするマシンで戦うトヨタとの間に“メーカー対決”が成立することになっている(さらなるメーカー増も期待される)。

祝福の花束を贈呈される中嶋一貴。祝福の花束を贈呈される中嶋一貴。

「来季に関しては(レギュレーション次第ではあるけれど)やはり1-2はチームとして最低限なし遂げるべきこと、という状況で、どっちが前に行くか、という勝負になると思います。お互いに勝ちたい、勝つために全力を尽くすんですけども、1-2ができなくなるようなリスクはドライバーは負えない。そこはしっかり、今季同様にやっていきたいですね。そしてまた(再来季は)アストンマーティンとか相手がいれば、(戦い方の)状況も変わってくると思います」

メディア向け報告会のあとは、最大のライバルにして僚友である可夢偉と一緒に、昨年のルマン初制覇時と同様、トヨタ東京本社で働くみなさんとの祝祭イベントに参加した一貴。週末にはスーパーフォーミュラの宮城県スポーツランドSUGO戦へと転戦、多忙な日々が続く(可夢偉もSUGOへ)。

左から小林可夢偉、中嶋一貴、GRパワートレーン推進部の加地雅哉部長。左から小林可夢偉、中嶋一貴、GRパワートレーン推進部の加地雅哉部長。

WECは来季より(北半球の)晩夏~秋口に開幕し、翌年6月のルマンを最終戦とするシーズン構成で戦われる。トヨタがLMP1-HマシンでWECを戦う最後のシーズン、2019/2020シーズンは今年9月1日決勝の英国シルバーストン戦でスタートし、来年のルマンが最終戦に。そして、その次の2020/2021シーズンが“ハイパーカー初季”となる。

《遠藤俊幸》

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