マツダ 菖蒲田専務「生産計画はリスク前提で」…西日本豪雨から1年

平成30年7月豪雨(7月10日、広島市) (c) Getty Images
平成30年7月豪雨(7月10日、広島市) (c) Getty Images全 6 枚

マツダの生産部門などを担当する菖蒲田清孝専務執行役員は7月2日、2018年7月6日の西日本豪雨から1年が経過するのを機に本社で記者会見し、災害からの教訓とそれを踏まえた防災対策などについて説明した。

菖蒲田専務はまず、昨年の豪雨災害について「当社には従来から『水防会議』があったものの、暴風や高潮など台風への対策が主体で、物流や交通網が遮断されるような雨の被害は想定していなかった」と振り返り、サプライヤーや従業員を含む地域社会など「多くの方にご迷惑をおかけすることになった」と、陳謝した。

そのうえで、この豪雨災害からは(1)人命・安全最優先、(2)平時の備えの徹底、(3)災害にも柔軟に対応できる生産体制・生産技術---という教訓を得たと指摘した。さらに、これらを踏まえた実際の対応策として、「迅速な判断・行動のための体制整備」や、「災害リスクを想定した生産計画」などに取り組んでいると説明した。

迅速な判断・行動のための体制整備では「水防会議」の開催基準に、台風だけでなく豪雨も加えた。開催に際しては降り始めからの雨量の合計である「累加雨量」が150mm以上となるなどを判断基準とする。これにより、生産ラインの停止や従業員の帰宅などの対応を、定量的な状況を踏まえて迅速にできるようにしている。

生産計画については自然災害のリスクを想定し「予算(計画)の段階からフル操業を想定するのでなく、災害発生後に取り戻すことができるような余力をもたせた計画にしている」(菖蒲田専務)という。マツダは、災害が発生した18年度までは、残業も含めた「フル操業」で生産計画を立案していたという。被災後は「生産能力に対して110%稼働すれば達成できるような計画」(同)に改めている。つまり、時間をかけて達成する計画としたわけだ。

菖蒲田専務は、こうした生産計画を前提とするには「平時から効率的なモノづくりを考えた備えが必要であり、シンプルでフレキシブルな生産ラインや部品・工程が大切」と、強調した。

マツダは、西日本豪雨発生から6日後にはすべての国内工場で一部操業に漕ぎつけた。しかし、地域の復旧や復興を最優先したため、全面的な操業再開は9月10日からと、そこまで約3か月を要した。昨年9月21日時点の公表では車両で4万4000台、海外生産用部品で2万3000台分の影響が出た。

《池原照雄》

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