VWのEVレーサー『ID. R』、軽量仕様を発表へ…グッドウッド2019

2018年にパイクスピークを新記録で制覇

2019年にニュルブルクリンクでEV最速を記録

グッドウッドのヒルクライムで20年ぶりの新記録を目指す

フォルクスワーゲン ID. R
フォルクスワーゲン ID. R全 11 枚

フォルクスワーゲン(Volkswagen)は7月3日、英国で7月4日(日本時間7月4日夜)に開幕する「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2019」において、EVレーシングカーの『ID. R』のスペシャル軽量バージョンを初公開すると発表した。

2018年にパイクスピークを新記録で制覇

フォルクスワーゲン ID. Rフォルクスワーゲン ID. R

フォルクスワーゲンは2018年に、1987年以来、31年ぶりにパイクスピーク国際ヒルクライムにワークス体制で参戦した。そのために開発した『ID. Rパイクスピーク』には、モーターを2個搭載し、最大出力680hp、最大トルク66.3kgmを引き出す。カーボンファイバー製のボディは、車両重量が1100kg以下。軽量ボディと高性能モーターの組み合わせが、0~100km/h加速2.25秒の性能を備える。

ID. Rパイクスピークには、市販EV同様、リチウムイオンバッテリーを搭載する。バッテリーセルには非常に高い性能を求められた。電力密度は、高電圧を発生する際のシステムで重要な要素になるためだ。市販車とは異なり、モータースポーツでの技術目標は航続ではなく、パイクスピークの頂上を目指すために可能な限り最大の出力を発生することにあった。

フォルクスワーゲン ID. Rフォルクスワーゲン ID. R

必要とされる電気エネルギーの約20%は、パイクスピークのおよそ20kmの走行中に生み出される。ブレーキング時に発電機として作動する電気モーターが、制動エネルギーの一部を電気に変換して、バッテリーに供給する。

このID. Rパイクスピークがパイクスピーク2018の決勝レースにおいて、ロマン・デュマ選手のドライブにより、初めて8分を切る7分57秒148の新記録で優勝した。2013年、セバスチャン・ローブ選手がプジョー『208 T16 パイクスピーク』で打ち立てた8分13秒878のコースレコードを、16秒以上短縮した。また、2016年にリース・ミレン選手が打ち立てたEVによる最速記録、8分57秒118を、1分近く短縮している。

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2019年にニュルブルクリンクでEV最速を記録

ID. Rパイクスピークの次なる挑戦が、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースにおけるEV最速記録だ。そのために開発されたのがID. R。ID. Rは、ID. Rパイクスピークの進化バージョンだ。ヒルクライムからサーキットへ、走行場所が変わるのに伴い、主にエアロダイナミクス性能を再チューニングした。パイクスピークでは、最大のダウンフォースを得ることに主眼を置いていた。

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具体的には、平均車速180km/h以上、最高速270km/h以上に達するニュルブルクリンクに合わせて、F1マシンの「DRS」(抗力減少システム)を導入した新しい空力パッケージを開発した。さらに、電動パワートレインのエネルギー管理を最適化。2つの電気モーターの出力制御とブレーキ時のエネルギー回収の制御を見直した。

このID. Rが2019年6月、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースにおいて、タイムアタックを実施した。再び、ロマン・デュマ選手のドライブにより、6分05秒336のラップタイムを計測。NIO EP9の6分45秒900を40秒以上短縮し、ID. Rがニュルブルクリンク最速EVの称号を獲得している。

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グッドウッドのヒルクライムで20年ぶりの新記録を目指す

フォルクスワーゲンはグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2019において、このID. Rのスペシャル軽量バージョンを初公開する予定だ。グッドウッド名物の全長1.86kmのヒルクライムにおいて、1999年にF1マシンが打ち立てた記録の更新を目指す。

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1999年、ニック・ハイドフェルド選手がマクラーレンメルセデスのF1マシン「MP4/13」(最大出力780psの自然吸気V10エンジンを搭載)を操り、グッドウッドの丘を41.6秒で駆け上がった。その後、安全上の理由から、F1マシンによるグッドウッドのヒルクライムでのタイム計測が中止されたこともあり、この最速記録は20年間、破られていない。

ID. Rのスペシャル軽量バージョンでは、リチウムイオンバッテリーのサイズを小型化するなどの変更により、さらなる軽量化を追求する。また、エネルギーマネジメントの最適化も図られる。フォルクスワーゲンは、パイクスピークやニュルブルクリンク北コースとは異なり、グッドウッドで重要なのは最大のパワーと最小の重量、としている。

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《森脇稔》

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