シェアリングカーやレンタカーに無臭という付加価値…進化したカーエアコン洗浄

カーエアコン洗浄
カーエアコン洗浄全 13 枚

CASE車両がいくら進化してもエアコンの異臭はなくならないだろう。また、長年乗っていると車内のにおいに慣れてしまい、自分では気が付かないこともある。原因はエアコン内部のカビや雑菌といわれているが、この根絶は難しい。

【画像全13枚】

もちろん、対策がないわけではない。ルームエアコンの洗浄のような作業をすればエアコンからのにおいを無臭にできるのだが、カーエアコンで同じことをするには、ダッシュボードやコンソールをとりはずし、エパボレーターやダクトを洗う必要があり、大掛かりな作業で日数もコストもかかる。

クリーンデバイス・テクノロジーは、独自のツールを使って車はそのままでエアコン洗浄を行う技術を持っている。その施工を体験するとともに、カーエアコンのにおいについて話を聞いた。

消臭スプレーや簡易洗浄ではとれないにおい

量販店などにいけば、エアコン洗浄スプレーや芳香剤、消臭グッズなどさまざまな用品が溢れている。ディーラーなどの整備メニューにも、エアコン洗浄、フィルター交換などが用意されており、対策方法はいくらでもあるが、逆にいえば、どれも根本的な対策にならない対処療法ということかもしれない。

芳香剤は、強い別のにおいで誤魔化しているだけだし、消臭スプレーもシートには有効かもしれないが、エアコン内部には使えない。燻蒸殺虫剤のようなにおい取りもあるが、効果は一時的だ。根本的な原因は、エアコン内部のフィルターおよび熱交換器(エパボレーター)、エアダクトの汚れ、カビにある。

これを取り除かないかぎり、異臭はなくならない道理だ。スプレーや薬品などを使う場合、へたをすると、それがエアコン内に入り込み変質し、新たなにおいの元となってしまう(クリーンデバイス・テクノロジーの大野里枝代表取締役)。

なぜ、一般的なエアコン洗浄やスプレーでにおいがとれないのか。エパボレーターは、車の部品でいえばラジエターと同じ構造と原理で熱交換を行う。つまり、中で冷媒ガスが循環する無数の放熱フィンを持っており、細かいスリットの隙間に、たばこのヤニ、ほこり、ごみ、虫、ダニ、雑菌、カビ、花粉、PM2.5などのアレルギー物質が付着する。

このような汚れは、コンソールに隙間から手やスプレーノズルで洗浄しようとしても限界がある。汚れが残れば、再び菌は増殖する。一度においが発生すると、なかなか消せない理由がこれだ。

同社の洗浄は、特殊な車種以外、パネルの脱着などは原則不要だという。分解洗浄と同等な効果を出すため、小型カメラと特殊な可動式ノズルを使って隙間から洗浄を行う。汚れはカメラで確認しながら行うので、エパボレーター全体をキレイにできるという。

フィルターは半年ごとの交換がおすすめ

さっそく、筆者の車(日産『キューブ』)で試してもらった。今回は取材を兼ねているので、撮影のため助手席のグローブボックスを取り外して作業してもらった。車両は、新車購入から7年ほど経過している。購入以来禁煙車だが、2年ほど前に一度ディーラーの簡易洗浄とフィルター交換を行っている。施工スタッフによれば、分解洗浄していなければ、禁煙車でもカビの汚れは出るという。

まずはエアコンフィルターを取り外す。フィルターは予防措置を兼ねて、半年ごとの交換が望ましいという。高いフィルターを1年、2年と使うより安いフィルターをまめに交換したほうがよいそうだ(同前)。わがキューブのフィルターは1年前の交換で、それほどにおいはしていなかったが、かなり汚れていた。禁煙車でこれだけ汚れるなら、半年ごとの交換もうなずける。

カメラ付き特殊工具で洗浄

次に、手動ポンプに独自のカメラつき自在ノズルを取り付け、洗浄剤をエパボレーターに吹き付ける。手元のスマートフォンかタブレットで画像を確認しながら行う。カメラ画像をみると、細かいゴミがフィンに付着しているのが見える。フィンに色がついているのはカビや汚れだ。洗浄剤が汚れを浮かすと同時に、ちょっとしたゴミを洗い流してくれる。

画面でみるとゴミは大きく見えるが、実際は大きくても1ミリといったところだ。ゴミはエパボレーターの結露パンのドレインを通じて車外(フロア下)に排出される。

洗浄剤がフィンに行き渡りなじんだら、電動ポンプに切り替え使って高圧洗浄を行う。これでフィン表面の汚れとゴミが洗い流される。画像をみると、フィン全体が銀色になり新品のようにも見える。ゴミや汚れはほとんど確認できない。

洗浄後は殺菌、コーティングでカビを抑える

この状態と、施工前のエアコンの風のにおいを比べてみたのだが、施工前はほこりっぽいにおいがしたものがほぼ無臭となり、むしろエンジンやガソリンのにおいがかすかにした。しかし、作業はこれで終わりではない。仕上げとしてエパボレーターとエアコンダクトの殺菌・消毒を行う。エアコンを稼働させ消毒薬を施工箇所から投入すると、今度は送風口から塩素っぽい消毒薬のにおいがする。

消毒が終わったら、コーティング剤を同様に投入し、エパボレーターとダクト全体をコーティングし、汚れの付着とカビの発生、菌の増殖を抑える。コーティングは2段階行うそうだ。

最後に外したグローブボックスを元に戻して作業終了となる。パネルの脱着を含めて作業時間は1時間半ほど。たいていの車種は2時間あれば施工可能だという。送風口からは、新車のにおいから接着剤や溶剤のにおいを無くした感じだ。心なしかエアコンの効きもよくなったようにも思う。

芳香剤や薬品のにおいとも違うので、洗浄の効果は思った以上といえる。中古車でも同様に新車に近いにおいが再現できるそうだ(大野氏)。

中古車にも新車のようなにおいを再現

クリーンデバイス・テクノロジーは、国産、輸入車を問わず洗浄に対応している。ロールスロイスやベントレー、フェラーリのような希少な車両も洗浄可能だそうだ。オーナーカーの依頼の他、中古車ディーラーやタクシー会社、観光バス会社とも契約してエアコン洗浄を行っている。

このような事業者向けでは、これまで手を付けられなかった「車内のにおい」という部分に無臭、新車に近いにおいという付加価値がつけられることが大きい(大野氏)。においやアレルギーが気になるユーザーにアピールできるとともに、今後増えるであろうシェリングカー、レンタカー、リースカーなどへの展開も考えているそうだ。

自分の車のにおいというのは意外と気づきにくい。タクシーや社用車だけでなく、マイカーをシェアカーとして登録している人は、いちど本格的なエアコン洗浄をしてみるのもいいだろう。

<取材協力:クリーンデバイス・テクノロジー>

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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