【池原照雄の単眼複眼】マツダ、インセンティブ抑制の「売り方」改革が正念場

新型 マツダ3(北米仕様)
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新世代商品の第1弾が登場したのに……

マツダの第1四半期(4~6月期)連結業績は、営業利益が前年同期比79%減と大幅に悪化した。グローバルの販売台数が12%落ち込んだのに加え、為替の円高やパワーステアリングの訴訟に関連した品質費用といった一時的な悪化要因もあった。この期は日米欧を中心に投入した新型『Mazda3』 (マツダ3)の貢献も期待されただけに、販売不振には意外な印象が拭えない。その背景からは「売り方」改革への不退転ともいえる取り組みが見えてくる。

第1四半期の新車販売は、主要地域で軒並み2ケタ減となった。主力の米国は15%、2番目に販売が多い中国は21%、そして3番手の日本は20%のマイナスだった。欧州のみがかろうじて前年並みを維持した。

新たなパワートレインやデザインなどの採用による「新世代商品群」第1弾という鳴り物入りで登場したマツダ3は、ボリュームが最も期待される米国での出足が、今ひとつ芳しくない。ブランド推進やグローバルマーケティングなどを担当する梅下隆一執行役員によると「価格が2.4万ドル以上の上級グレードは好調だが、それ以下の価格帯ではやや苦戦している」という。

4~6月の米国インセンティブはトヨタ下回る水準に

エントリークラスのグレードは若干の値上げもしているので、価格に敏感な層が購入に慎重になっているのだ。米国市場ではSUVなどのライトトラックの販売比率が7割に達し、マツダ3が属する伝統的なセダン市場が縮んでいるという逆風もある。結果、第1四半期の米国での同モデルは「想定に対し3000台レベルの未達」(財務担当の藤本哲也常務執行役員)となった。

米国では1昨年来、店舗の刷新や人材投資などマツダの方針にコミットするディーラー網の構築を本格化させているが、並行してインセンティブ(販売奨励金)の抑制による売り方の改革も徹底している。マツダ3が一部のグレードで苦戦しても、このスタンスは堅持している。

そうした動きが明確に示されているのが、4~6月期の米国販売におけるインセンティブの大幅な減少だ。マツダ車のこの間の台当たり平均支給額は、2093ドル(米調査会社オートデータ調べ、以下同)で、前年同期実績から557ドル(21%)減少した。同業他社と比較してみると、7月までの月次販売で92か月(7年8か月)に渡って前年実績超えを達成しているSUBARU(スバル)の1482ドルや、伝統的に米国市場に強いホンダの1904ドルには及ばないものの、トヨタの2184ドルを下回っている。

日本の乗用車メーカー7社のうち、第1四半期決算ではトヨタとスバルのみが増益を達成しているが、いずれも米国での販売やビジネスの中身がしっかりしていたのが要因だ。トヨタは米国など米州でのインセンティブについて「お客様単位あるいは地域単位できめ細かい見直し」(近健太執行役員)を図ったことなどが、収益の向上につながっている。マツダのインセンティブは、そのトヨタより少ないところまで、抑制できてきた。

中期経営方針の旗は「ブランド価値を低下させる支出の抑制」

マツダの梅下執行役員は「第1四半期の米国事業の収益は、販売台数は厳しかったものの、前年よりは向上した。事業改善は着実に進捗している」と、インセンティブ抑制などの効果を指摘する。ただし、「北米セグメント」で見た同期の営業損益は、メキシコ工場での在庫調整があったことなどから、約13億円の赤字となり、米国の売り方改革の利益貢献度はまだ低い。

マツダはこの5月に、2025年3月期まで6か年の「中期経営方針」を発表した。同期までにグローバル販売を180万台規模(19年3月期=156万台)にし、売上高営業利益率5%(同=2.3%)の安定確保などを目指す内容だ。6年間としたのは、マツダ3をトップバッターとする次世代商品群が完遂するまでの期間だ。20年には創業100周年という節目も迎えるため、丸本明社長は中期経営方針を「次の100年に向け、マツダを持続発展させていくための施策」と位置付ける。

実行に当たってはインセンティブを抑制し、商品価値を訴求した販売の徹底を図っていく。それを「ブランド価値を低下させる支出の抑制」というストレートな表現で、中期経営方針の重点項目に掲げている。その実践の最前線が米国でもあるのだ。販売が前年より2ケタ落ち込んでも、期待の星(マツダ3)が多少コケても、インセンティブ抑制の旗は降ろさないというトップの決意が、第1四半期決算からは見えてきた。第2クォーター、第3クォーターと「忍」の時が続きそうだが、どう結実していくのか、注視に値する挑戦だ。

《池原照雄》

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