EUとは違う日本のディーゼル市場…VWが ゴルフ ファミリーにTDIモデルを投入する理由

フォルクスワーゲン、ゴルフファミリーにTDIモデルを投入
フォルクスワーゲン、ゴルフファミリーにTDIモデルを投入全 17 枚

20日、フォルクスワーゲンは『ゴルフ』ファミリーにクリーンディーゼルエンジン、TDIを搭載したモデルを10月から発売すると発表した。TDIが搭載されるのはゴルフハッチバック、ヴァリアント、『シャラン』の3車種。

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環境性能基準、クリーンエコへの声が高まるなか、ガソリンやディーゼルエンジンに対する風当たりが強い。カリフォルニアではテスラモデル3の影響で、新車登録台数でピュアEVがHVを上回ったという報道もある。

その中、フォルクスワーゲンがこのタイミングで新たにTDIモデルを日本国内投入する。その背景にはどんな事情があるのか。

ディーゼルエンジンの特徴は高トルクながら低燃費かつ燃料費のやすさ。ランニングコストが抑えられる経済性は大きな魅力だ。欠点は騒音、CO2・NOx・微細粒子など排ガスとされるが、クリーンディーゼルが一般化した現在、騒音や排ガスは大きな問題とはなりにくくなっている。加えて日本は、欧州のディーゼルスキャンダルの影響は小さく、マツダのSKYACTIV-Dのようにディーゼルエンジンへの投資も継続され、市場からも支持されている。

発表会でプレゼンを行った商品企画課プロダクトプランナーの山谷浩之氏によれば、「欧州でも長期的にみるとディーゼルの需要は戻ってきている。また、昨年2月に日本投入した『パサート』は約6割がTDIモデルという人気」だといい、国内でのディーゼルニーズの健在ぶりをアピールしていた。

ゴルフファミリーについては、ユーザーやディーラーからもTDIモデルの要望が強かったといい、企画も早い段階で進んでいた。山谷氏は「ゴルフのユーザーの多くは、加速や馬力より実用域での加速性能とトルクを重視しており、ディーゼルエンジンの高トルク特性にマッチする。ステーションワゴン(ヴァリアント)やミニバン(シャラン)のユーザーは、さらにユーティリティや居住空間も重視する。これらを総合してTDIモデルの商品化を進めた」と背景を説明する。

ただし、この決定のための調査と市場の見極め、最適なモデル設定とするため、本社との調整に時間がかかり、このタイミングの発表となった。TDIモデルのゴルフファミリーは10月1日から正規ディーラーで発売が開始される。

10月は消費税が10%に引き上げられるタイミングだ。影響はないだろうか。装備の違いやオプション設定にもよるので、現行のTSIモデルとの単純比較はできないが、コンフォートクラスで、TDIモデルは+20~30万円ほど上振れすると思えばいいだろう。下取りやオプションの調整、ランニングコストで相殺される分を考慮すれば許容範囲ともいえる。当然、TSIモデルも10月からは価格が改定されるはずで、この時点での価格差にあまり意味はない。

なお、各モデルのスペック・特徴は以下の通りだ。

ゴルフTDIは、2リットルエンジン、最高出力110kW(150PS)/3500~4000rpm、最大トルク340Nm(34.7kgm)/1750~3000rpm。WLTCモード燃費が18.9km/リットルとなっている。高トルク・低燃費に加え、トラフィックアシスト、パークアシストといった高度運転支援システムの設定、疲れにくいレザーシートの採用で、長距離を移動するアクティブなユーザー、クルージングに向いている。

ステーションワゴンであるヴァリアントは、2リットルエンジンで最高出力、最大トルクとものゴルフTDIと同じ。WLTCモード燃費が17.7km/リットル。荷室は通常605L。後席を倒せばクラストップレベルの1620Lまで広がる。

7人乗りミニバンのシャランは、乗車定員と荷室容量から同じ2Lエンジンだが最高出力130kW(177PS)/3500~4000rpm。最大トルク380Nm(38.8kgm)/1750~3250rpmとしている。WLTCモード燃費は14.4km/L。ボディ高の高さとシートアレンジから大人数ニーズだけでなく、大きな荷物の趣味にもよいとする。荷室容量は300リットル(7人乗車)から最大2297リットル(2人乗車)まで多彩だ。運転手のみで助手席を倒せば3メートルの長尺の荷物も積載可能という。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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