【マツダ3 新型】標準装備の『マツダ ハーモニック アコースティックス』、実力を徹底検証

マツダ3新型に標準装備の『マツダ ハーモニック アコースティックス』。その実力を徹底検証!
マツダ3新型に標準装備の『マツダ ハーモニック アコースティックス』。その実力を徹底検証!全 6 枚

去る5月24日より発売開始されている“MAZDA”のニューCセグメントコンパクト『MAZDA3』(マツダ3)。当車にはさまざまな新コンセプトや新技術が盛り込まれているのだが実は、標準装備されている純正オーディオシステムもまた、新機軸なスペシャルバージョンとなっている。

その名は『マツダ ハーモニック アコースティックス』。さて、これはどのように新しく、どれほどの実力を備えているのか、それらを知れる機会が得られた。実車を見て、そして音を聴いて分かった事実を詳細にリポートする。

“音質”を優先させ、上級スピーカーレイアウトである“3ウェイ”を果敢に採用!

まずは、『マツダ ハーモニック アコースティックス』の概要から紹介しよう。

当システムは計8個のスピーカーで形成される。前席用のスピーカーとして、2.5cmツイーター×2、8cmスコーカー×2、12cmウーファー×2がそれぞれ装着され、さらに後席用の8cmスピーカーが左右に1つずつ装備されている。

当システムが新機軸たるポイントは主には2点ある。1つは、「“3ウェイ”であること」、2点目は「各スピーカーの取り付け位置が最適化されていること」。それぞれについて詳しく解説していこう。まずは「“3ウェイ”であること」から。

ところで一般的な純正オーディオのスピーカーシステムは、フルレンジスピーカーがドアに装着されただけの“1ウェイ”仕様か、またはツイーターとミッドウーファーからなる“2ウェイ”仕様か、このどちらかであることが多い(欧州車では、ドアのフルレンジスピーカー+シート下のサブウーファーによる“2ウェイ”仕様の車種も多い)。

ちなみにスピーカーは、口径が小さくなるほど高音再生が得意になるが低音再生は苦手になる。口径が大きくなるとその逆の傾向を示す。ゆえに音的なことで言うと、“1ウェイ”よりも“2ウェイ”、“2ウェイ”よりも“3ウェイ”の方が有利になる場合がある。口径の異なるスピーカーユニットを用意して役割分担をさせた方が、スムーズに音楽を再生しやすくなるからだ。

しかしそうは言っても、純正オーディオで“3ウェイ”が採用されることはほとんどない。“3ウェイ”ともなると、ユニットが増える分のコストがかさみ制御も難しくなるからだろう。

にも関わらず『MAZDA3』ではそれが成された。音にこだわった上級スピーカーレイアウトが敢えて採用されているのだ。

ツイーターとスコーカーは耳に近く、ウーファーは共振しにくい場所にセット!

続いては、「各スピーカーの取り付け位置が最適化されていること」について解説していく。

まず、高音再生を担当するツイーターは“セールガーニッシュ”(ドアミラー裏の位置)に装着されている。このポジションは高音質再生に利得がある。乗員から見て左右の角度が開くので、サウンドステージを幅広く表現しやすくなる。さらには耳にも近いのでダイレクトに音エネルギーを感じ取れる(ロスが少ない)。

そして中音再生を担当するスコーカーは、ドア上部に取り付けられている。これもツイーターと同じく耳に近いので情報量をロスすることなく聴き取れる。しかも中音はボーカルをはじめとする主要なパートが集中する帯域だ。いわば“美味しいところ”がスムーズに耳に入ってくるというわけなのだ。一般的によくあるドアの下部に取り付けられたスピーカーで中音を再生するのと比べてのアドバンテージはなかなかに大きい。

そしてハイライトはウーファーだ。これはドアではなく、マツダ3ではそれよりも前の“カウルサイド”に装着されている。このスペースは前輪が前に出されたことにより出現したのだが、ここはドアと比べて強度が高い。ゆえにボディの鉄板が共振しにくい。スピーカーをドアに取り付けた場合には内部の鉄板が薄いためにビビり音が発生しがちなのだが、“カウルサイド”ならば話が変わる。

しかも『マツダ ハーモニック アコースティックス』のウーファーは3Lのボックスに装着されているので、鉄板をビビらせる原因となるスピーカーの裏側から発せられる音エネルギーがそもそもボディに伝わりにい。またスピーカーは、箱に収めると制御しやすくなる。鳴り方をコントロールしやすくなるのだ。

このように音のことが考え抜かれている『マツダ ハーモニック アコースティックス』。さて、気になるのはその実力だ。実車にて試聴し検証した。

なお『マツダ ハーモニック アコースティックス』では、運転席へ集中的に音を響かせる“ドライバーモード”と、全席の乗員に配慮した“Allモード”、この2つを切替可能だ。まずは“Allモード”のサウンドからチェックした(イコライザー設定はフラットにして試聴)。

クリア、かつ、再生レンジが幅広い。そして“ドライバーモード”ではさらに…。

テストトラックを再生して最初に感じたのは、「クリアさ」だ。各楽器の音がしっかり分離されていて、かつサウンドステージの見通しが至って良好だ。“3ウェイ”であることと各スピーカーの取り付け位置が的を射ていることの両方が、確実に音に効いている。

続いて感じたのは「再生レンジの広さ」。下から上までよどみなく、そして幅広く再生できている。ツイーターの取り付け位置が良いことで高域がスポイルされることがなく、ウーファーをボックスに装着したことで低音再生能力を十二分に引き出し切れている。

ちなみに、ツイーターとスコーカーは耳に近い場所に装着されているが、ウーファーは乗員からは見えない位置に付いている。しかしウーファーが発する低音は“指向性”が弱いので、真っ直ぐ進もうとする性質が弱いかわりに障害物を回り込んで確実に耳に到達する。ゆえに見えない位置に取り付けられていても問題はない。鳴らし切れているかが重要なのだ。『マツダ ハーモニック アコースティックス』ではそれができている。

続いては、“ドライバーモード”のサウンドもチェックした。するとなんと、サウンドステージの立体感の再現性が一層向上した。ボーカルがすっと前に出て、バックミュージシャンがそれぞれあるべきポジションに位置した。ホームオーディオシステムを左右のスピーカーから等距離の場所で聴いているかのように、ステレオイメージが高レベルで再現されている。クリアさやレンジの広さと相まって、さらに心地良く音楽が楽しめた。

純正オーディオの音としては、間違いなく一歩先を行っている。『マツダ ハーモニック アコースティックス』のコンセプトの正しさ、バリューの高さをつくづく実感させられた。

『MAZDA3』なら、好きな音楽を上質なサウンドで楽しめ、音の良さでも、ドライブの快適性をブーストアップしてくれる。当車に興味を持ちもしも試乗をするのなら、音のチェックもお忘れなく。

《太田祥三》

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