【MaaS】産業創出・まちづくり、その先のMaaS戦略…経済産業省 モビリティ戦略上席企画調整官 石川浩氏[インタビュー]

【MaaS】産業創出・まちづくり、その先のMaaS戦略…経済産業省 モビリティ戦略上席企画調整官 石川浩氏[インタビュー]
【MaaS】産業創出・まちづくり、その先のMaaS戦略…経済産業省 モビリティ戦略上席企画調整官 石川浩氏[インタビュー]全 1 枚

自民党は5月に「MaaS推進議連(通称)」を発足させ、国土交通省と経済産業省は4月に二省合同プロジェクト「スマートモビリティチャレンジ」をスタートさせた。全国28か所でのトライアル(実証実験)も始まり、モビリティ革命への官民の取組みが次のフェーズを迎えた感がある。

モビリティ革命では、シェアリングカーやドローンのような新しい産業からの視点と、地方や都市交通の課題解決とまちづくりという政策面での議論が欠かせない。そのため、自治体や国の政策、行政の果たす役割も大きい。このような背景から、レスポンス編集部では、MaaS推進議連や関連省庁を呼ぶセミナーを企画した。

セミナー開催に先立ち、講演者の事前インタビューをお願いし、それぞれが推進するMaaS行政と戦略についてお話いただいた。お話を聞いたのは、経済産業省でスマートモビリティチャレンジを推進する石川浩氏(製造産業局 自動車課 モビリティ戦略上席企画調整官)だ。

MaaS推進議連、METI、MLIT、MONET。トップとのネットワーキングセミナーは9月20日開催。詳細はこちら。

――「スマートモビリティチャレンジ」についてお聞きします。国土交通省と合同で立ち上げたプロジェクトですが、経済産業省としてこの取組みの狙い、立ち位置を教えていただけますか。

スマートモビリティチャレンジは、今年の4月に国土交通省とともに発表したプロジェクトです。モビリティ革命における新しい技術やサービスをどう社会実装していくかを考え、推進していくものです。6月に、先駆的な取組に挑戦する28の地域・事業を選定し、順次トライアルがスタートしています。

最初の年度となる2019年度は、各地の実証実験を中心に行い、スマートモビリティを実現する上での地域ごとの課題を洗い出します。プロジェクトは3年程度続けたいと思っており、次年度の2020年はトライアルの結果を踏まえた社会実装のチャレンジとしたいと思っています。

――どのようなトライアルがあるのでしょうか

個別の事例は経済産業省のホームページにも紹介されています。中山間部、地方都市、都市部と選定エリアは多様です。ルーラルエリアでは、そもそも鉄道や道路などのインフラが整っていない、公共交通機関の運営が難しい現状があります。地方都市は駅前の衰退と郊外人口の増加による行政サービスの負担増他の問題。都市部では通勤ラッシュ、渋滞問題などです。

代表的な例は、公共交通維持が難しい地域でのモビリティサービス、中山間部の移動ソリューションといったものになりますが、採択事業は、特定地域や問題に偏ることなくルーラルから都市部までそれぞれ特徴のある事業を含んでいます。

経済産業省としては、取組みの前提として、経済産業省の「自動車新時代戦略会議」でも議論されていますが、クルマが単体で機能する存在から、エネルギー、サービス、データといった要素とともに社会を構成するひとつであるという認識があります。

――経済産業省として注力しているポイントはなんですか

大きくは、今回の実験を通じてさまざまな課題を解消していくことです。技術革新もそうですが、サービスを通じて新しい産業や成長市場を作ることを念頭においています。とはいえ、地方のモビリティサービスは採算がとりにくい、ビジネスが成立しにくいといった問題もあります。

28のトライアルには、病院への移動と買い物をつなげる取組みがあります。このような、移動による需要喚起、移動とサービスを掛け合わせたような仕組みは、これまであまり手を付けていない領域でした。こういったトライアルを社会実装につなげたいですね。

――トライアルは始まったばかりですが、今のようなお話を実現していくうえで、課題や障害になっているようなことはありますか

モビリティ市場は、民間分野で広がりを見せておりますし、前向きに取組んでいこうという機運も高まっています。

様々な取組みが進む一方で、注意しているのは、それぞれの取組みを実証実験では終わらせないことです。トライアルの結果を踏まえ、地域ごとの実装を行い、さらにそれを周辺にも展開していく。ビジネスや産業として定着させることまで考えるようにしています。実験が終わり予算が付かなくなると消えてしまうようなプロジェクトにならないようにしたいですね。

実は、このプロジェクトは国内課題の解消だけでなく、その先も見ています。成功事例や新しいモデルが確立できたら、次に考えているのはグローバル市場の獲得です。MaaSソリューションは、海外でも広がっています。東南アジアでもGrabなどが広がっていますが、新興国では特に、大都市交通渋滞、大気汚染の問題が深刻です。これらはMaaSの潜在的な需要ですので、スマートモビリティチャレンジの知見、モデルの海外展開も視野に入れています。

MaaS推進議連、METI、MLIT、MONET。トップとのネットワーキングセミナーは9月20日開催。詳細はこちら。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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