【INDYCAR 第16戦】ウィル・パワーが今季2勝目…連勝狙った佐藤琢磨は1周目の混乱遭遇で実質ノーチャンスに

#12 ウィル・パワーが優勝。
#12 ウィル・パワーが優勝。全 8 枚

インディカー・シリーズ第16戦の決勝レースが現地1日、米オレゴン州ポートランドで行なわれ、ウィル・パワーが今季2勝目をあげた。2連勝を狙った佐藤琢磨は予選で17位と出遅れ、決勝では1周目に混乱遭遇、そこで連勝の可能性が実質的に完全消滅する流れだった。

最終戦ひとつ前のラウンドは、ロードコースの「ポートランド・インターナショナル・レースウェイ」が舞台。佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)にとっては昨年勝っているコースであり、当地2連覇、そして前戦に続く2連勝と今季3勝目を狙っての戦いだ。しかし予選は17位と下位に甘んじる。ポールポジションは今季大躍進の若手、コルトン・ハータ(#88 Harding Steinbrenner Racing/ホンダ)が獲得した。

決勝レースはスタート直後、いきなり中団~後方で多くのマシンがアクシデントに遭遇する事態となる。そこで#30 琢磨もマシンにダメージを負い、ピットインして修理に時間を費やすことに。#30 琢磨は2周遅れになってしまった。レース展開を味方にしつつ戦略で挽回も可能なのがインディカーとはいえ、ロードコースでの2周遅れはさすがに実質勝負圏外である。インディカーでは自身初となる2連勝の可能性は、ここでほぼ完全に消滅した。

15位でレースを終えた#30 琢磨は「スタート直後のターン1、見えたのは大混乱だけでした。すべてを避けようと全力でトライしました」と状況についてコメント。今回は「本当に残念な週末となりました」という内容だったが、シリーズ順位的には6位のままで最終戦へと向かう。5位浮上の可能性は厳しくなったが、少なくともこの位置を守ってシーズンを終えてほしいところだ(過去のシーズン最終成績の最高は8位)。

左から決勝2位のローゼンクヴィスト、優勝のパワー、3位のロッシ。左から決勝2位のローゼンクヴィスト、優勝のパワー、3位のロッシ。

105周のレースは序盤にフルコーイエローコーションラップが多くなったこともあり、多くの陣営が燃費的にギリギリ可能と見られる2ストップ作戦を睨む展開となって、中盤からはやや落ち着く。ただ、そのなかでシリーズタイトル争いに影響する大きな事象も起きた。

37周目に#88 ハータからトップを奪ったスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)がレース中間点のあたりでトラブルらしき状況によりピットイン。約3周を費やして#30 琢磨の後方に下がることとなり、タイトル連覇への現実的な可能性を失った(#9 ディクソンの今レース最終結果は16位)。

#30 佐藤琢磨は連勝ならず。#30 佐藤琢磨は連勝ならず。

第16戦ポートランドを制したのは予選2位だったウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)で、2戦ぶりの今季2勝目。今年は前半~中盤のうちに勝てず、王座争い本格参陣とはならなかった実力者(シリーズ王座&インディ500優勝経験者)が、シーズン終盤に来て勝ち星を重ねている。#12 パワーは目下シリーズ5位、琢磨を72点リードだ。このレースの2位は新人のフェリックス・ローゼンクヴィスト(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)。ポール発進だった#88 ハータは4位。

タイトル争い主役の面々は、アレクサンダー・ロッシ(#27 Andretti Autosport/ホンダ)が今回3位、ジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー)は5位、そしてシモン・パジェノー(#22 Team Penske/シボレー)が7位という結果だった。

ポール発進の#88 ハータ(左)は決勝4位。写真中央の#9 ディクソンは手痛いトラブルで決勝16位に。予選2位の#12 パワー(右)が優勝。ポール発進の#88 ハータ(左)は決勝4位。写真中央の#9 ディクソンは手痛いトラブルで決勝16位に。予選2位の#12 パワー(右)が優勝。

最終戦を前に、上位のポイント状況はこうなっている。

593点 #2 ニューガーデン(シボレー)
552点 #27 ロッシ(ホンダ)
551点 #22 パジェノー(シボレー)
508点 #9ディクソン(ホンダ)

勝利を喜ぶ#12 ウィル・パワー。勝利を喜ぶ#12 ウィル・パワー。

以下はすべて手元の計算と理解に基づくところとなるが、最終戦は“ダブルポイント”なので優勝100点(2位80点、3位70点)。ポール得点などを含めると最大で104点獲得可能なはずだ。一方、インディカーは出走すれば0周リタイアでもポイントがつくので、最終戦が今回と同じ23台出走と仮定すると最下位扱いでも14点入る。つまり、この場合の実質的なキャッチアップ可能範囲は90点差となる。

ランク4位の#9 ディクソンには数字的な可能性こそかろうじて残ってはいるが、やはりほぼ圏外と見るべきだろう(#2 ニューガーデンが決勝20位で20点獲れば、#9 ディクソンはフルマークでも及ばない計算)。実質的には上位3人の争いか。

#2 ニューガーデンはランク首位で最終戦に向かう(今回決勝5位)。#2 ニューガーデンはランク首位で最終戦に向かう(今回決勝5位)。

#2 ニューガーデンは、追う#27 ロッシと#22 パジェノーに対し41~42点をリードしているので、どちらかがフルマークを果たした場合でも、決勝4位(64点)で自力王座となる。安全圏とまではいえないが、かなり有利な状況で2年ぶりの2冠目獲得を目指す。追う側の逆転王座となれば、#27 ロッシは初、#22 パジェノーは3年ぶり2度目の戴冠。

最終戦(第17戦)は3週後、現地9月22日決勝の日程で、カリフォルニア州の「ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカ」で行なわれる。米国の名門ロードコースともいえるラグナ・セカだが、当地では久々の北米最高峰オープンホイールシリーズの実戦開催だ。そこで今季王座をかけた最後の激闘が展開される。

#27 ロッシは41点差のランク2位(今回決勝3位)。#27 ロッシは41点差のランク2位(今回決勝3位)。

なお、ポートランド戦の週末に来季2020年のカレンダーが発表された。来季も全17レースの予定で、今季からの開催地の“アウト/イン”や日程のズレ等はあまり多くない(ポコノ戦が外れ、リッチモンド戦が入った)。シリーズは今季同様に3月開幕~9月閉幕で、第104回インディアナポリス500マイルレース=インディ500は5月24日決勝、シリーズ第6戦としての開催になる。

《遠藤俊幸》

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