【マツダ CX-30】シリーズ完結、CX-3 とどこが違う? CX-5 との差異化は?

マツダCX-30予約受付開始
マツダCX-30予約受付開始全 15 枚

20日、マツダは日本市場での『CX-30』の販売と予約受け付けの開始を発表した。主だった仕様はジュネーブモーターショー2019で発表されたものと変更はないが、もともとのサイズ、カラーリング、内装には国内市場を意識した設計が採用されている。狙う市場は、ライフステージのステップアップフェーズにある層だという。

ボディサイズは全長4395mm、全幅1795mm、全高1540mm。このサイズは国内の市街地での取り回し、立体駐車場を意識している。全長だけなら17日に発表された新型トヨタ『カローラ』セダンよりも小さいくらいだ。そのカローラは、国内市場にフィットさせるため、グローバルなプラットフォームを使いながら、ボディサイズは海外のカローラより小さくしているが、CX-30は、前述したとおり、ジュネーブでの発表と同じサイズで、EU圏で販売されている車両と違いはない。

CX-30は、ネーミングからすると、『CX-3』と『CX-5』/『CX-8』との間を埋めるポジションと判断できる。「30」と2桁にしたのは、セグメントは同じもののCX-3とは装備や質感他で上級であること、違うクルマであることを強調するためだそうだ。サイズ、グレード感でも「3」と「5」の間だとする(CX-30開発主査の佐賀尚人氏)。

想定しているターゲットは、独身から結婚、そして家族とライフステージの転換点にある人たち。20~30歳代のヤングファミリーだ。この世代は家族が2人から3人、4人と増えていく世代でもあり、節目ごとにライフスタイルが変わっていく。生活の足としての性能や使いやすさに加え、旅行や楽しみなど生活のアクセント、趣味にも使えるようなクルマとして開発された。

マツダCX-30マツダCX-30

確かにマツダの新世代車両のラインナップでは、この部分を埋める車両はなかった。女性や独身者は『マツダ2』、『マツダ3』、あるいは『ロードスター』がカバーできる。家族が増えて4人、5人と乗車定員が必要になるとCX-5やCX-8があるが、そこまでの装備や価格の開きが大きい。住んでいるところによっては、サイズも自宅駐車場ではぎりぎりかもしれない。

そのため、CX-30のパッケージングは荷室や後席空間、乗り降りのしやすさ、安心安全性能(ADAS機能)、車内静粛性にこだわった家族での使い勝手を考えたものとなっている。

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CX-30の投入によって、マツダ2からCX-8までの市場ポートフォリオが整った。しかし、同時に車種が増えることでそれぞれのターゲットや差別化が見えにくくなる懸念もある。端的にいえば、車種が増えることで市場のダブリ、食い合いが発生する可能性はないのか。

マツダの答えのひとつは価格差だ。CX-30は、マツダ3よりは約10万円の価格アップになる。CX-3よりは20万円のアップ。逆にCX-5との価格差は30万円弱。機能や用途に重複があったとしても、価格差で棲み分けが可能となる。家族で乗りたい、しかしマツダ3だと使い勝手が悪く、CX-5はちょっと高い、といった層の声に応えることができる。CX-3とは、パワーリアゲートやADAS機能で差別化・価格差があるので、CX-30はCX-3の上級モデルという考え方も可能だ。

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逆にいえば、新世代車両投入以降、市場の声を分析して開発しているので、CX-30は既存ユーザーにも非マツダユーザーにも受け入れられる(佐賀氏)と見ている。マツダは新世代車両以降、ブランドイメージが大きく改善され、販売店には輸入車オーナーも増えているという。マツダが想定するCX-30のライバルは、アウディ『Q2』、トヨタ『C-HR』、ホンダ『ベゼル』だ。つまり、国内人気SUVのボリュームゾーンを取りこぼしのないようにという意図がうかがえる。

しかし、だとすると気になるのは、CX-3からCX-8、ひいてはマツダ2からCX-8までの隙間のないトヨタ式のラインナップをマツダがやる必要があるのか、という点だ。ラインナップは完成した(佐賀氏)というので、これ以上車種が増えることはないと思われる(BEV、ロータリーEVは除く)。

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もっとも、CX-30の開発の背景には、欧州でのCX-3のテコ入れという意味合いもあったはずだ。欧州ではあまり小さいSUVは人気がなくCX-3は苦戦していた。CX-30は、CX-3で不評だった荷室スペースと後席空間を改善したことが評価されている。ミドルサイズのSUVならCX-5、CX-8があるが、欧州は、路上の縦列駐車、駐車保管が一般的だったり、市街地の道路は幹線道路を除くと日本と同様にそれほど広くない。CX-30サイズのSUVのニーズはあるとマツダはいう。

CX-3はCX-30に自然に吸収されていくのではないだろうか。

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《中尾真二》

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