【VW ゴルフ TDI 新型試乗】復活のゴルフディーゼルは「最良の現行ゴルフ」だった…島崎七生人

VW ゴルフ TDI Highline Meister
VW ゴルフ TDI Highline Meister全 27 枚
◆4.5世代ぶりのゴルフディーゼル

日本仕様の『ゴルフ』に最初にディーゼルが設定されたのは1977年の「1」の時代から。さらに「2」では1.6リットルのディーゼルターボも登場('85年)し、3ボックスセダンの『ジェッタ』にも設定。引き続いて「3」まで、ディーゼル車が設定された。

「1」の時代は、当初1.5リットル(+4速MT)だったが'81年に1.6リットル化され、その際“クイックスタート・グロープラグ”が採用されるなどし、始動性を高め乗用車のディーゼルエンジンとしての扱いやすさを向上させた。さらに'94年登場の「3」では日本市場初の触媒付きターボディーゼルを搭載……と、振り返れば『ゴルフ』には、日本市場に投入された当初から“ディーゼル”が投入されていたのである。


数え方が正しいかどうかわからないが、実に“4.5世代振り”に『ゴルフ』に設定されたのが今回のディーゼルモデル。今の呼称は「TDI」で、VW車ではすでに2018年に『パサート』『ティグアン』ほか5モデルに導入済みで、今回ようやく“ゴルフファミリー”にも設定された。

ちなみにTDIの現状は「すべてのモデルで50%を超えている」(VW)のだそうで、イメージ的にもVWらしいモデルとして受け入れられているのかも知れない。ご承知のとおり『ゴルフ』自体、日本市場でも遠からず次世代にバトンタッチされるはず。が、このタイミングで導入に踏み切った意味を読み解けば、いうまでもなく、こと商品性にかけて十二分な力量、自信があるからこそのこと、なのだろう。

◆最良の現行ゴルフ


試乗車はTDIのトップグレードの「TDI Highline Meister」。何はともあれ走らせてみると、肌で感じたのは“最良の現行『ゴルフ』ではないか”ということだった。モデル末期でよく“熟成極まった”などと言うが、その表現は次世代の登場でリセットされる可能性も秘めている。だがこの記事で“最良”と表現したのは、たとえ新型が登場したとしても、このバランスのよさの魅力は決して色褪せて感じないはずだ……と思えたからだ。

いいのは、実にスムースに走ってくれるということ。TDIモデルはガソリン車のTSIに対し110kg車重がプラスとなるが、その重さの効果でとにかく乗り心地がしなやかでいい。17インチタイヤ(BS TURANZA T001・Poland製)も履きこなしてNVHがバランスよく丸められているし、適度な重さ(が戻ったように思える)のステアリングフィールも意のままの操作性を実現している。さらに乗り味は重厚であっても軽快なハンドリングも両立しており、ワインディングの身のこなしの溌剌さは、走らせていて楽しさを感じるほどだ。


もちろん150ps/34.7kgmの性能を発揮する2リットルTDIエンジンのパフォーマンスも申し分ない。可動式ガイドべーン付きターボチャージャーの採用で、実用領域のどの場面でも、2000rpm手前からシームレスに最適な性能とレスポンスが味わえ、前段で触れた気持ちのいいダイナミック性能とも完全に調和した優良なパワーユニットとして仕事をこなしている。試乗している限り7速DSGの変速を意識させない変速も印象は洗練されたものだし、音、振動も欧州車のディーゼル車のなかで車内/車外とも気にならない部類だ。

特別仕様車の位置づけという「Meister」では安全支援システムの内容が充実するほか、液晶デジタルメータークラスター、レザーシート、シートヒーターなど、装備面のレベルも高い。今から選んでも、今後末長く乗っていられるクルマだと思う。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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