日産自動車は10月2日、金型不要でボディパネルの少量生産に対応した「対向式ダイレス成形」技術を開発し、実用化したと発表した。
対向式ダイレス成形は、棒状の工具を取り付けたロボットが、パネルを徐々に変形させる「インクリメンタル成形」技術を用いて、成形工具を対向側にも配置してより複雑な形状を成形できる工法。対向する工具を連携させながら成形する工法は、2つの工具を制御することが難しく、これまで実用化が難しい技術とされていた。
日産は、同社の生産技術研究開発センターが持つ生産技術の分野における様々な知見と、総合研究所の工具材料の研究成果を組み合わせることで、実用化を成功させた。対向する2つの工具位置を最適に制御する技術により、複雑な凹凸形状の高精度加工を実現。工具表面を鏡面化ダイヤモンドコーティングにより低摩擦化・無潤滑化(ドライ加工)することで、表面品質を確保しつつ、環境負荷や導入・ランニングコストを低減する。
今回の対向式ダイレス成形技術の実用化により、従来のプレス成形で必要だった型製作のための莫大な投資や開発時間を抑制。ローコストで、多品種少量生産が可能となる。日産では今後、同技術を活用して、アフタ―サービス部品や旧型車の補修部品の商品化を検討していく。
対向式ダイレス成形