高齢者の移動や物流での自転車の活用の可能性…豊田TRIKE株式会社 特別顧問 兼 新規プロジェクトリーダー 鴇田修一氏[インタビュー]

高齢者の移動や物流での自転車の活用の可能性…豊田TRIKE株式会社 特別顧問 兼 新規プロジェクトリーダー 鴇田修一氏[インタビュー]
高齢者の移動や物流での自転車の活用の可能性…豊田TRIKE株式会社 特別顧問 兼 新規プロジェクトリーダー 鴇田修一氏[インタビュー]全 2 枚

ヒトの移動に関しては高齢者の免許返納問題や地域生活での移動手段の確保、モノの移動については労働力の確保が課題となっている。そこで注目が高まっているのが自転車だ。

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豊田TRIKE(トヨダトライク)特別顧問兼新規プロジェクトチームリーダーの鴇田(ときた)修一氏に聞いた。

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高齢者でも乗れる自転車の開発の必要性

---;現在どのような活動をされていますか?

鴇田氏;早稲田大学で地域政策を教えており観光や交通政策をしています。また戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のスマート物流サービスで佐川急便、デンソーなどと産官学で研究推進をしています。

地域交通において自動車の交通事故がテレビなどで取上げられ高齢者の免許返納問題や移動手段の確保が注目されています。高齢者の事故の発生理由は高齢者の認知性の社会認知性の低下です。内閣府によると80歳を超えると何らかの交通法令違反が急激に増えるそうです。

高齢者の自動車にかわる移動手段の確保の問題は、あと2~3年で直面する非常に大きな社会問題です。蓮の花の理論と同じでまだ健在化していない地域でも急激に問題が深刻化してくる可能性があるため、先手で取組む必要があります。

---;自動運転レベル5の実現はまだ先ですし、バスやタクシーの足り手不足、一人暮らしの高齢者の増加など、地域生活において高齢者の移動手段が足りていません。社会的に認知されましたが、地域交通会議では公共交通以外の移動手段の活用ついて深く議論されていないのが実態です。

鴇田氏;多くの自治体が何とかしたいと思っているのですが、財政難に直面しているところも多く、適切な方法を見いだせないでいるのではないので着手できていないのではないでしょうか。

---;物流に関しては?

地域のモノの輸送についてもドライバーの高齢化の問題や労働力の確保が課題です。四輪や二輪の運転免許を保有していない高齢者、女性、学生など、そのような人でも即労働力にしていかないといけないほど問題は深刻化しています。

いま一番深刻な状況にあるのが地方の農産物の物流です。このままでは地方から東京へ輸送ができなくなり、産業として衰退する可能性が非常に高くなっています。

宅配業界の再配達の問題も深刻で、宅配ロッカーの設置についても競争領域か協調領域なのかの議論しているところです。

日本の物流はこれまで企業努力として進化してきました。そのため物流は交通経済の経済学の中に入っていません。他国と比較して日本の物流は学問として遅れています。物流がなければ生活や経済は成り立たない時代です。社会インフラとして考えていく必要がありSIPの中で物流を経済学の中で確立していきたいと考えています。

---;地域交通の中でも物流を検討する部署あまりないように思います。

鴇田氏;このような状況下の中、自転車の可能性を感じています。

免許が不要で、自転車だが自転車よりもパフォーマンスがよく、自動車までいかないくてもよいものを作ろう

豊田TRIKE(トヨダトライク)は2014年設立です。創業理念は、お客様の生活に寄り添った「モビリティ創造業」として移動する楽しさと喜びを提供し、心身共に健康な社会の発展に寄与するです。心身ともに健康になりましょう。満足してもらうだけではなく大満足してもらうものを作りたいと考えています。

特徴は11か国特許を取得している運動性と走行安定性を飛躍的に高める「多輪車両走行安定機構(シンクロシステム)」を使っていることです。

自転車の市場はレッドオーシャンかもしれません。豊田トライクがベンチャーとして入ったのは特許のシンクロシステムを活かして自転車を作るとおもしろいのではないか、体力や平衡感覚、反射神経に不安がある方にもシンクロシステムの高い運動性能を提供して、安心・安全・快適に移動できるようにしたいと考えたからです。

運搬・宅配、介護、防災、ゴルフ、観光などさまざまな用途開発

シンクロシステムは、2つのタイヤをチェーンでつないで、ばねを入れたシンプルな構造ですが安定性は抜群です。大きな段差や傾斜のある所でも安定的に走行ができます。前輪の二輪の車輪の車軸の真上に荷物が置かれるので倒れにくくなります。

試乗テストを行ったところ、自転車に乗ったことのない高齢者や目の見えない視覚障害まで乗ることができました。またアイスバーンや雪上走行も可能です。

このようにシンクロシステムを使った自転車に対する可能性は非常に高いです。大阪マラソンの会場で棄権した人の配送にも貸し出しました。大阪の堺市のレスキュー隊と一緒にレスキュー支援車両を開発しています。ゴルフ場では、ひとり1台の自転車を使って、芝を傷めずにゴルフのボールまで行ける新しいゴルフスタイルの提供も可能です。座席を設置することで乗員や介護施設の送迎用にも使用可能です。安全な子ども2人乗せ自転車も作ることがでますし、観光シーンで人気となっている自転車タクシーベロタクシーも軽量で視界が広いものを提供できます。

自動車を作ったからこそ感じる自転車の可能性

豊田トライクのメンバーは、R&Dがトヨタ自動車出身の小野田貴啓で、2002~2005年に日本国際博覧会(愛・地球博)出展車両開発に関わり、「i-Unit」の開発現場リーダーおよびトヨタグループ館運営リーダーを務め、2014年に黄綬褒章を受章しました。豊田トライクはかっこいい自転車にしたいと思っているので、デザイナーは小野田と愛知万博で協働した根津孝太です。技術部のメンバーの多くが豊田自動車で技術畑を歩んでおります。

このように、技術開発のメンバーは自動車出身者が多いので、安全な技術の活用に余念がありません。自動運転の技術を活用すれば、交差点で赤信号になれば自動車のエンジンを止める信号を送る、アシスト自転車もペダルを踏んでも前に出ないなどもできるようになります。しかしインフラと協調する必要があるためインフラ整備や費用の捻出など実用化にはまだ何年もかかります。そこで自転車は簡単な工業製品なので、自転車側で制御する仕組みを入れることができないかと考えています。

一般的な自転車メーカーであれば、新しいデザインの金型を作ると採算性が悪くなるので、今まである金型を活用して新しく見せるかがプロダクトマネージャーの能力として問われています。豊田トライクは新しいニーズに対する開発に力を注いでいます。

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《楠田悦子》

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