『DIATONE SOUND.NAVI』だけに搭載されている「マルチウェイ・タイムアライメント」って、何?

『DIATONE SOUND.NAVI』の「マルチウェイ・タイムアライメント」の設定画面。
『DIATONE SOUND.NAVI』の「マルチウェイ・タイムアライメント」の設定画面。全 7 枚

国産ハイグレードカーオーディオブランド“DIATONE(ダイヤトーン)”。同社のハイエンドオーディオ&カーナビゲーションシステム『DIATONE SOUND.NAVI』には、他社製品にはない独自機能、「マルチウェイ・タイムアライメント」が搭載されている。

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当機能の存在と効力は、カーオーディオ愛好家の間では広く知られているのだが、カーオーディオを始めて間もない方やこれから始めてみようと思っている方々にとっては馴染みが薄い。さて、このビギナーには耳慣れない「マルチウェイ・タイムアライメント」とは、どんな機能で何が凄いのか…。それらを分かりやすく解き明かす。

初めて世に出たのは2008年。専門家や愛好家の度肝を抜いた…。

「マルチウェイ・タイムアライメント」という機能は、2008年の12月に初めて世の中に紹介された。“DIATONE”から鳴り物入りでリリースされた新基軸ハイエンドカーオーディオユニット、『デジタルプロセスセンター・DA-PX1』(セット希望小売価格:約80万円<当時税込>)に初搭載され、専門家や愛好家をあっと驚かせた。

当機能が驚きを持って迎えられたその理由はズバリ、「常識が覆されていたから」だ。その名のとおり「タイムアライメント」機能の一種なのだが、通常のそれとは大きな違いがあったのだ。

さて、どのように「常識破り」だったのかを説明する前に、一般的な「タイムアライメント」についておさらいしておこう。クルマの中ではリスニングポジションが左右のどちらかに片寄る。しかもトゥイーターとミッドウーファーが別々の場所に取り付けられていることも多い。結果、各スピーカーから発せられる音が、ばらばらのタイミングでリスナーに届く。

この状況は、ステレオ再生を楽しもうとするときに足かせとなる。本来ステレオ再生を満喫するためには、左右のスピーカーから等距離の場所で聴く必要があるのに、カーオーディオではその前提が成り立たないのだ。

しかし「タイムアライメント」を活用すれば状況を改善できる。当機能を用いると、各スピーカーの発音タイミングをコントロールできるようになる。近くにあるスピーカーの発音タイミングを遅らせて、すべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せるのだ。

個別に制御した音楽信号を、1本のケーブルで同時伝送可能に!?

しかし当機能には1つ、弱点がある。それは「システムが巨大化しがちなこと」だ。スピーカーユニット単位で個別制御された音楽信号は、プロセッサーから個別に出力され、別々の経路を通ってスピーカーまで送られる。信号を混ぜるわけにはいかないからだ。なので、パワーアンプでも個別のchがあてがわれる。ゆえにフロント2ウェイシステムで「タイムアライメント」を運用するなら、パワーアンプは4chが必要となる。フロント3ウェイであれば6chが必要となる。

だが「マルチウェイ・タイムアライメント」ではなんと、音楽信号を個別制御した後に、それを同一回路で伝送できるのだ。なので搭載のスピーカーシステムが3ウェイであっても、『DA-PX1』からパワーアンプまでのケーブルは2本(LchとRch)あればいい。そしてパワーアンプも2chあればOKなのだ。

このような“マジック”により、ユーザーは以下のような利点を得られる。まずは「システム構築のコストを削減できる」ことがメリットだ。パワーアンプ代やケーブル代を減らせて、インストールの手間も減らせる。または、「より高級なパワーアンプを手にできる」という利点も得られる。パワーアンプ用の予算を1台の2chアンプに“一点豪華主義”的に注ぐこともできるからだ。そしてさらには、すべてのスピーカーを同一のパワーアンプで鳴らせるわけなので、「音色の統一を図る」ことも可能となる。

このようにして「マルチウェイ・タイムアライメント」を搭載した『DA-PX1』は、ハイエンドカーオーディオ界に革命をもたらしたのだ。

『DIATONE SOUND.NAVI』に搭載されたことにより、「マルチウェイ・タイムアライメント」の利点がさらに拡大!

その後この画期的なサウンドチューニング機能は、2012年に登場した『DIATONE SOUND.NAVI』の初代モデル、『NR-MZ60シリーズ』にも搭載されることとなる。

そして「マルチウェイ・タイムアライメント」は、『DIATONE SOUND.NAVI』に搭載されたことにより、新たな利点をも発揮した。「ナビを換えただけで音を良くする」ことも可能としたのだ。

それができた理由は2つある。1つは「解像度の高い音楽信号をシステムに供給できるから」だ。なのでスピーカーが純正のままでも、出てくる音が良化した。

2つ目の理由は「タイムアライメントを掛けられるから」だ。先にも説明したとおり「タイムアライメント」によってすべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出るので、正確にステレオイメージを感じ取れる。

しかも『DIATONE SOUND.NAVI』の場合には、スピーカーケーブルもそのまま使える。もしも通常の「タイムアライメント」が搭載されたメインユニットを純正スピーカーシステムで使おうと思えば、スピーカーケーブルの引き直しも必要となる。メインユニットと各スピーカーとを、それぞれダイレクト接続しなくてはならないからだ。しかし『DIATONE SOUND.NAVI』の場合は文字どおり「ナビを換えただけ」で良いのだ。

結果、スピーカーは純正のままなのに、聴こえ方はガラリと変わる。音の質感が高まり、かつステレオイメージが正確に再現されるので、音像がリアルになる。ボーカルは中央前方に出現し、各楽器の音もあるべき位置から聴こえてくる。スピーカーから音が聴こえてくるという状況から、「目の前にサウンドステージが広がる」という状況へと変化するのだ。

「仮想2ウェイ」「仮想3ウェイ」という斬新な調整方式も可能に!

さらに「マルチウェイ・タイムアライメント」は、『DIATONE SOUND.NAVI』に搭載されたことで、他の斬新な利点も発揮した。「仮想2ウェイ」および「仮想3ウェイ」というなんとも不可思議な調整方法が可能となることも、クローズアップされることと相成った。

「仮想2ウェイ」調整とは、ドアに装着されているスピーカーがフルレンジタイプであった場合に、それをあたかも「セパレート2ウェイスピーカー」のように扱うという調整方法だ。そのように調整すると、人間の耳はフルレンジスピーカーから発せられる音を「2ウェイ」で鳴らされているかのように感じ取る。それにより足元に溜まりがちだったサウンドが上がり、ステレオイメージのリアリティが向上する。

そして「仮想3ウェイ」とは、フロントスピーカーが「セパレート2ウェイ」であった場合に、それをあたかも「セパレート3ウェイ」であるかのように扱うという整方法だ。なおこれの実行方式は2種類ある。トゥイーターが再生する帯域を上下に2分割して3ウェイ化するやり方と、ミッドウーファーが再生する帯域を2分割して3ウェイ化するやり方、この2つだ。

特に妙味があるのは後者の方だ。ミッドウーファーの担当する帯域は幅広い。そして中音と低音とでは指向性が異なるので特性(聴こえ方)に差異が生じる。しかし「仮想3ウェイ」調整を運用すると、ミッドウーファーから出てくる中音と低音とを個別制御できるので、特性のバラツキを整えられる。

かくして「マルチウェイ・タイムアライメント」ならではの「個別制御した音楽信号を同一回線で伝送できる」という特長は、カーオーディオに新たな可能性をもたらした。ライトシステムをハイエンドシステムのように生まれ変わらせることもできるし、ハイエンドシステムのサウンドクオリティをもう1ランク高みに引き上げることも可能となるのだ。

「マルチウェイ・タイムアライメント」が搭載された『DIATONE SOUND.NAVI』を使えば、他では実現できない独特なシステムを構築可能となる。クルマの中でグッドサウンドを楽しみたいと思ったら、『DIATONE SOUND.NAVI』にご注目を。

《太田祥三》

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