アウディ『e-tron』が早くも改良、航続が436kmに拡大…欧州発表

EVパワートレイン改良で航続は+25km

冷却性能を向上

コースティング回生機能も改良

アウディ e-tron
アウディ e-tron全 15 枚

アウディは、ブランド初の市販EVのアウディ『e-tron』(Audi e-tron)の改良モデルを、欧州で発表した。2018年秋のパリモーターショー2018でのワールドプレミア以来、およそ1年での改良となる。

アウディe-tronは、アウディのラグジュアリーモデルと同等のスペースと快適性を備えた電動SUVだ。5名の乗員とその荷物を積載することができる。長距離ドライブに対応する航続と、幅広い充電方法を用意する実用性の高いEVとなる。

「55クワトロ」グレードの場合、モーターは前後に2個搭載され、最大出力360hp、最大トルク57.2kgmを発生する。最高速はリミッターにより、200km/hに抑えられる。また、ブーストモードを採用した。これは「Sモード」でアクセルをフルに踏み込んだ際、最大8秒間、モーターのパワーを引き上げることが可能なモードだ。この時、最大出力は408hp、最大トルクは67.7kgmに向上する。この効果で、0~100km/h加速は5.7秒の性能を実現する。

バッテリーはリチウムイオンで、蓄電容量は95kWhと大容量だ。e-tronは、最大150kWの出力で急速充電を行うことが可能。これにより、およそ30分で充電を行える。駆動方式は、電動4WDの「クワトロ」だ。この電動4輪駆動システムは、あらゆる地形と天候状況で優れたトラクションとハンドリングを追求する。システムは、2つのアクスル間で駆動トルクの配分を連続的かつ瞬時に可変制御する。アウディ e-tronアウディ e-tron

EVパワートレイン改良で航続は+25km

改良モデルでは、新しいホイールブレーキを採用した。これにより、残留ブレーキトルクと呼ばれるブレーキパッドをディスクに短時間当てたときに発生するエネルギー損失を、さらに削減することが可能になった。

駆動システムも、より効率的に改良を施した。一般的な走行条件では、リアアクスルに搭載されたモーターが駆動力を発生する。数多くの最適化により、フロントの電気モーターは、ほとんどの状況で完全に駆動システムと電源から切り離されている。ドライバーがより多くのパワーを要求した場合にのみ、両方のモーターが作動する。電力損失や引きずり損失なしに走行できるという非同期モーターコンセプトの利点により、さらに効率が高まっているという。

また、高電圧バッテリーの利用可能範囲も広がった。55クワトロに搭載されるバッテリー容量は95kWhで、そのうちの86.5kWhの正味電力を利用できるように改良されている。これらの改良により、1回の充電での航続は、最大436km(WLTPサイクル)に到達する。これは、従来比で25kmの延長となる。アウディ e-tronアウディ e-tron

冷却性能を向上

冷却性能も改良を受けた。4つの独立した回路から構成される柔軟性の高い熱管理システムが見直され、高電圧コンポーネントの温度をさらに効率的に調整することが可能になった。冷却液回路内の体積流量が減少しているため、ポンプの消費電力も少なくなっている。

この改良された冷却回路により、急速直流(DC)充電に対応し、バッテリーライフサイクルを延ばした。高負荷下でも、繰り返し優れたパフォーマンスを発揮することを可能にする。標準装備されるヒートポンプは、高電圧バッテリーの廃熱を利用してインテリアを暖める。これにより、航続を最大10%延ばすことができるという。アウディ e-tronアウディ e-tron

コースティング回生機能も改良

コースティング回生機能も改良を受けた。航続の最大30%は、革新的な回生システムによるものだ。ドライバーがアクセルペダルから足を離したコースティング時と、ブレーキペダルを踏んだ制動時の2種類の方法で、回生を行う。いずれの場合も、電気モーターはジェネレーターとして機能し、運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。

日常走行の90%以上に適用される最大0.3Gまでの減速時に、高電圧バッテリーは、ジェネレーターとして機能する電気モーターによって充電される。回生システムは、コースティングモードと制動時の両方で、前後の電気モーターのエネルギー回生を、連続可変的に調整する。

コースティング時の回生レベルは、ステアリングホイールのパドルを使用して3段階に設定できる。今回の改良によって、3段階のレベルの幅がさらに広がった。これにより、ワンペダルフィーリングがさらに明確になっているという。100km/hから制動した場合、最大300Nm、220kWの電力を回生できる。これは、作動エネルギー入力の70%以上を、回収できることを意味するという。

《森脇稔》

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