【メルセデスAMG A35 新型試乗】少し腕の立つドライバーに薦めたい…中村孝仁

メルセデスAMG A35 4MATIC
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最近、高性能なクルマに乗るとほとほと疲れる。何しろ400psだの500psだのって、いくら電子デバイスが付いているからと言って、オンロードで試せるパフォーマンスではないからだ。

疲れる理由は、その凄まじいパンチ力を御しきれないから。それにだいたいその手のクルマは支払う対価も尋常じゃないから、精神的にも疲れる。そこへ行くと300psと聞くと、ちょっと本気出してみようかって言う気にさせる。

勿論300psだって、全部出し切ったら当然オンロードではアウト! それに300psと聞くと、最近は麻痺しているのか、さほどパワフルという領域のクルマではないと、勝手に決めつけてしまっている。『AMG A35 4MATIC』は306ps、400Nmのパフォーマンスを持つ。そんなわけでハイパフォーマンスなことに疑いはないのだが、そんな中でも少しマイルドな方…と勝手に印象付けている。

この種のクルマを痛快に走らせようと思ったら…

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Aクラスの最強版はこの上に君臨する『A45』で、こちらもつい最近衣替えしてさらにハイパフォーマンスになった。ただしこちらはまだ乗っていない。でも、A35を試す限り、オンロードでは恐らくA35の方が扱い易く冒頭に話したような疲れはないかもしれない。

もちろん、お買いになるユーザーの懐具合などこちらが勘案しているわけないので、精神的に疲れるというのはチョイノリさせていただいているこちらだけかもしれないが、それでもことスピードをコントロールするのに気を使っていたら、当然ながら精神的に疲れる。「ならばそんな走りすんなよ」と言われれば仰る通りなのだが、この種のクルマを楽しく痛快に走らせようと思ったら、そこそこリスクを取って走ると実に面白いわけだ。

A35は走り出したその瞬間から普通のAクラスとはまるで違う。凄まじくソリッドでガシっと固められたボディ、それにサスペンションの取り付けなどが、ステアリングを切るたびにそのシャープさをきっちりとドライバーに伝えてくる。それが極低速の領域でもちゃんとドライバーに伝わってくるから、この種のクルマを乗るのは楽しいわけだ。そんなわけで、この種のクルマを持っていたら何の目的も無しにふらっと、「ちょっと走りに行こうか」という気にさせると思う。

例によって衝立のごとくドライバーの前に広がる大型のディスプレイには色々な情報が表示される。もちろん例の「ハイ!メルセデス」で始まるAIによる音声認識だって付く。これ、実は頭のハイはいらない。そもそもメルセデスという言葉に反応するから呼び捨てでよろしい。

少し腕の立つドライバーにはお勧め

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ステアリングに付くダイナミックセレクトボタンはデフォルトがコンフォートらしい。この時サスペンションはコンフォートだし、AMGダイナミックスはベーシックを表示する。因みにエンジンはモデレートという表示。これがスポーツになるとエンジンとサスペンションがスポーツとなり、AMGダイナミックスはダイナミックになる。さらにスポーツ+の場合、エンジンがダイナミックにそして足もスポーツ+になる。

AMGダイナミックスはスポーツと同じだ。そしてスリッパリーという表示。元来雪道などの滑り易い路面を想定していると思われるが、これでエコ走行も出来る。エンジンはリデュースという表示になり、それ以外はコンフォートと同じだ。と言うようにこれだけの組み合わせがあった。さらにインディビデュアルをチョイスすれば、それぞれお好きな設定に…ということになる。

車種にもよるのだが、この種のドライブモードは切り替えてみてもそう大きな差が無いものもあるが、このA35に関しては顕著である。だからのんびり快適に走りたい場合はスリッパリーもしくはコンフォートで。思いっきりダイナミックに走りたい場合はスポーツ+がお勧めである。この最もハードコアな設定の場合は明らかにエクゾーストサウンドも変わるし、エンジンアウトプットに関してもスポーツとダイナミックでは顕著に違いがわかるほどの差が付けられている。というわけで、スポーツモードがむしろ少し中途半端な印象だが、これはあくまでもDCTをマニュアルモードで走った時の話である。

外観は結構派手目である。特に今回の試乗車はA35でもいわゆる導入時の限定モデル「エディション1」とよばれるもので、マットテックゴールドのデカールやらリアスポイラー、それに同じくマットテックゴールドの19インチアルミホイール、その他エアロパーツなどが満載で、見た目にもそのやんちゃさがうかがわれる仕様。それでも低く構えたその姿は結構精悍で、冬のさらに溶け込むようなデニムブルーと称するブルーメタリックのカラーは中々好みである。

スポーツ+モードに設定してDCTでマニュアルをチョイスして走れば、間違いなく峠のレーサーを気取れる。ただし、これ、少し腕の立つドライバーにお勧めだ。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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