スープラ、C-HR、コペン…数多のGRブランドの走行性能の鍵を握るGRパーツは、TRDから生み出される

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GRスープラ/GRパーツ by TRD
GRスープラ/GRパーツ by TRD全 56 枚

トヨタはGRブランドでスポーツチューニングカーをラインナップしている。最近では『C-HR』、『コペン』、『スープラ』などにGRが設定されたことも話題となった。一般的にGRMN、GR、GRスポーツの3種類が広く知られているが、今回は「GR パーツ」という視点から紐解いていく。

モータースポーツ直系のレーシングテクノロジーはTRD由来

C-HR GRスポーツ(左)、コペン GRスポーツ(右)/GRパーツ by TRDC-HR GRスポーツ(左)、コペン GRスポーツ(右)/GRパーツ by TRD

GR車両の神髄が、ドレスアップ、チューニング、カスタマイズにあるなら、それを支えるのはGRの開発力と高品質なパーツ類とそのセッティングだ。そしてGR車両には、「GRパーツ」という後付けカスタマイズパーツがある。

注目すべきは、GRパーツのうち、走行性能に関わるエアロパーツやサスペンションなどの機能パーツ、マフラー、パフォーマンスブレースなど、実はTRDで開発されたパーツというから驚きだ。

GRスープラ/GRパーツ by TRDGRスープラ/GRパーツ by TRD

TRDは、前身のトヨタテクノクラフトの時代から、国内外のレースカーの開発・参加を続けている企業だ。当然、ドレスアップパーツからホイール、サスペンションなど機能パーツまで、レーシングテクノロジーのノウハウが投入されている。ときにはトヨタ車の車両開発に協力することもあるTRDは、市販車両からワンオフの競技用車両まで、トヨタ車の経験と知見を持っている。

同社の製品開発ポリシーは、「たとえドレスアップパーツであっても、性能および評価ドライバーの感応テストでも、純正の性能をスポイルせず、所定のチューニング性能を出し、ベースモデルの魅力を引き上げること」だ。

GRスープラ/エアフローイメージGRスープラ/エアフローイメージ

そんなことは当然と思うかもしれないが、一般に走行性能を上げると快適性は下がる。エアロパーツもデザインを優先させると、全体の空力特性とバランスがとれない。今の車はコンピュータシミュレーションとプロトタイプテストによって、どの部分も高度に設計されている。昔のように純正を取り替えればとにかく性能がよくなる、という時代ではない。

GRスープラでこだわり、「空力」と「素材」

GRスープラ/GRパーツ by TRDGRスープラ/GRパーツ by TRD

たとえば、GRスープラのGRパーツについて見てみよう。GRスープラに設定されているのは現在6種類。GRフロントスポイラー、GRサイドスカート、GRリアサイドスポイラー、GRサイドドアガーニッシュ、GRトランクスポイラー、GR19インチ鍛造アルミホイール。加えて、車種別にフィッティングしたカーボンナンバーフレームが華を添える。

GRフロントスポイラー/GRパーツ by TRDGRフロントスポイラー/GRパーツ by TRD

フロントスポイラーは、見た目がカーボン素材になっただけのように見えるが、純正よりもダウンフォースが上がっている。サイドの張り出しに比べてセンター部分の厚みがそれほどないのは、トータルの空力バランスを考えられてこの形状となっている。下面の厚みも3D形状となっており、GRスープラのフラットなボトムを活かすため、積極的に車体下部へ空気を取り込むスタイルだ。

GRスープラ/GRパーツ by TRDGRスープラ/GRパーツ by TRD

もちろん、サイドからリアへの整流機能が変わることはない。リアスポイラーは直進安定性を上げる効果を出している。サイドスポイラーとサイドドアガーニッシュの組み合わせは、ロールを抑える方向にフォースを発揮する。

GRサイドドアガーニッシュ/GRパーツ by TRDGRサイドドアガーニッシュ/GRパーツ by TRD

このサイドドアガーニッシュだが、よくみると、純正のスリットを塞ぐようになっている。じつは、純正はここに穴が空いているのだが、ボディ内部には貫通していない。おそらく、競技車両にチューニングするときは、穴を貫通させタイヤハウス内などに風を送るといった機能をもたせるのだが、市販車両は溝の奥が塞がっている。このままだと空気が滞留するポケット状の穴がボディにできているだけなので、空力を考えて塞いだという。

GRフロントスポイラー/GRパーツ by TRDGRフロントスポイラー/GRパーツ by TRD

なお、トヨタ車の隠れたチューニングテクニックであるアルミテープも採用されている (※フロントスポイラーおよびリアサイドスポイラー)。これは、空力パーツの表面にアルミテープを貼ることで静電気を逃がす役目がある。静電気があると、車体表面の空気がスムースに流れないので、これを改善して、加速やコーナリングの安定性を向上させる。

GRリアサイドスポイラー/GRパーツ by TRDGRリアサイドスポイラー/GRパーツ by TRD

これらのパーツはすべてカーボン素材だ。一部はドライカーボンだが、そうでない部分も、いわゆるウェットカーボンではなく、焼入れをしないでドライカーボンと同等な軽さと強度を持つ特殊なウェットカーボンを採用している。

GR19インチ鍛造アルミホイール/GRパーツ by TRDGR19インチ鍛造アルミホイール/GRパーツ by TRD

19インチホイールは、国産製造にこだわったアルミ鍛造ホイールだ。レース用ホイールのノウハウが注ぎ込まれており、高速走行等での剛性を重視した設計。軽量化のメリットをスポイルしてでも、コーナリングのヨレやホイールのたわみにしっかり耐えるための高剛性なホイールに仕上がっている。もちろん、その分ステアリングのレスポンスもよくなる。

GRパーツ Devloped by TRD

TRDのレーシング活動に培われた設備と知見と技術が投入されたその他のGRパーツは、コペン GRスポーツ、C-HR GRスポーツにもラインナップされている。コペン GRスポーツには、フロアに補強ブレースが3箇所追加され、空力パーツとして床下に専用スパッツも装着。サスペンションやパワーステアリングも専用チューニングされたパーツが使用される。C-HR GRスポーツには、専用のスポーツサスペンションキットとボディ剛性アップのためのフロアセンターブレースが追加される。これらの機能パーツは、TRDの得意分野だ。

C-HR GRスポーツ(左)、コペン GRスポーツ(右)/GRパーツ by TRDC-HR GRスポーツ(左)、コペン GRスポーツ(右)/GRパーツ by TRD

TRDでは、レースで培った技術が生かせる機能パーツの開発にも意欲的だ。ニーズがあれば、GRブランドにふさわしいバランスのとれたチューニングパーツを開発していきたいとする。もちろんヤリス GR-4のパーツもGRパーツ Developed by TRDなら期待していいだろう。

GRスープラ/GRパーツ by TRDGRスープラ/GRパーツ by TRD

トヨタ車ラインアップの中で、パフォーマンスに特徴を持つ各車のGRモデル。それを支えるGRパーツは、TRDのレーシングテクノロジーによって成り立っている。GRのコンプリートモデルだけでなく、GRパーツにも注目することで、より濃密なGRブランドの世界観を堪能することができるのではないだろうか。

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《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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