【浦島ライダーの2輪体験記】ヤマハ MT-07 は素のスポーツバイクの魅力を再認識させてくれる

ヤマハ MT-07
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16歳の誕生日と共に原付免許を取り、でも、20代はクルマに夢中。アラサーでリターンライダーになるも、40代は仕事に忙殺される。そしてアラフィフで2輪に再々入門。そんな浦島ライダーが、最新のバイクをチェックしていきます!

“マスター・オブ・トルク”の名に恥じないブットイ駆動力


ヤマハ『MT-07 ABS』は、688ccのパラレルツイン積んだスポーツネイキッド。ひと昔前のバイク好きなら、「ナナヒャクもあるのに2気筒なんか」と言いそうだが、そのエンジンのパワフル……もとい! トルクフルなこと!! 

スロットルを軽くひねるだけで「ドン」とばかりにブットイ駆動力が繰り出され、ライダーを含めて200kg超の物体を自在に加速させる。MTこと“マスター・オブ・トルク”の名に恥じないどころか、おつりが来そうな力強さ。

マルチシリンダーのむせび泣くような高回転サウンドやパワーの盛り上がりも捨てがたいけれど、気筒あたりの排気量に余裕を持たせたパンチある2気筒にも、また違った魅力がありますね。ことに緩急の激しい市街地では、手早く速い。

シンプルに徹したところが大きな特徴

ヤマハM-07が発売されたのは2014年。700cc級の並列2気筒モデルといえば、ホンダ『NC700S』(現NC750S)が先に市場に出ていたが、骨格や構造から見直して、先鋭的に実用性を追求していたNCと比較すると、MT-07は対照的にオーセンティックなスポーツバイクだ。むしろシンプルに徹したところが大きな特徴といえる。

コンベンショナルなスティール製ダイヤモンドフレームに、点火タイミングを工夫してビート感を残した2気筒エンジンを吊る。デビュー当時は、179kgという扱いやすい車重(ABSなし)と70万円を切る手の届きやすい価格が話題になった。

2018年にマイナーチェンジを受け、ヘッドランプ、テールランプ、フロントフェンダーなどに手が入れられた。フロント左右のエアスクープが、上向き斜めに切られているのがマイチェン後。さらにシートのフロント部分が左右にまわりこむようなカタチになって、着座面積が3割ほど拡大したという。


シート高は805mm。前に行くに従ってクッションの左右が強く絞られるので、足つきはいい。身長165cm(短足)の自分だと、両足が親指付け根付近まで接地する。ただ、赤信号で足を下ろす際に毎回ステップが邪魔になる。自分の足の短さを呪うばかりである。

ポジションは、上体が立ち気味でラクなもの。お尻をシートの前後で移動することで、意外と前かがみの角度は調整できる。アップライトな姿勢のわりにバーハンドルの幅が抑えられているのがスポーティで、混雑した街なかでも乗りやすい。

「スポーツ」と「実用」のバランスがいい


ボア×ストローク=80.0×68.5mmのショートストロークエンジンは、73ps/9000rpmの最高出力と、68Nm/6500rpmの最大トルクを発生。冒頭の通り豊かなトルクが印象的で、「スポーツ」と「実用」のバランスがいい。4000rpmも回していれば、市街地での俊敏性に不満を感じることはまずないだろう。

たとえば高速道路で合流しようとさらに回転を上げると、パラレル……というかクロスプレーンエンジンのビートが鋭さを増して、直線的にMT-07の速度を上げていく。腹に応える加速感とともに回転数を示すデジタル表示が1万rpmを超えようとする。

ロウで85km/hを過ぎ、セカンドですでに法定速度に達する。トップギア6速での100km/h巡航では約4200rpm。ハイウェイクルージングでは、余裕綽々のマシンではなく、前方からの風と戦うライダーの耐久力で限界が決まる感じだ。

山道ではまあ、曲がりたがること!


山道に持ち込んでみると、MT-07、まあ、曲がりたがること! フロントタイヤがクイクイとカーブの内側を向き、自然とバンク角が深くなる。タイヤサイズは、前が120/70、後が180/70の、いずれも17インチ。もしかしたらリアがもうひとまわり細い方が軽快さが増しそうな気もしたが、トルク重視のエンジンを考えると、コレくらいむっちり太い方がいいのかもしれない。力強く地面を蹴って、カーブを抜けていくのが気持ちいい。

なんというか、「乗り手が技量不足!」とばかりにまるで突き放されるSS系ことスーパースポーツモデルと較べて、もちろん手のひらの上とはいえ、多少なりとも会話させてもらえる気がするのがMT-07のいいところ。フレンドリーなネイキッドらしく、速度を落とし、リラックスして流しても楽しめる懐の深さがある。

アグレッシブなスタイリングを採りながら、素のスポーツバイクの魅力を再認識させてくれるヤマハMT-07。ABSが標準装備になって、車重は183kg、価格は79万2000円だ。

《ダン・アオキ》

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