JR東海をしっかり指導・監督したい…国交省が「リニア中央新幹線静岡工区の進め方」を公表

静岡工区の着工遅れから、2027年開業の当初予定が揺らぎつつあるリニア中央新幹線。国交省は今後、有識者や関係省庁で知見も持つ者などからなる会議を設けて、科学的・工学的な見地から議論の検証を進めていく方法も考えられるとしている。
静岡工区の着工遅れから、2027年開業の当初予定が揺らぎつつあるリニア中央新幹線。国交省は今後、有識者や関係省庁で知見も持つ者などからなる会議を設けて、科学的・工学的な見地から議論の検証を進めていく方法も考えられるとしている。全 1 枚

国土交通省は1月17日、静岡県へ回答した「リニア中央新幹線静岡工区の進め方」の内容を公表した。

静岡工区については、南アルプストンネルの掘削工事に伴なう大井川水系の水資源問題で、「全量戻し」を主張する静岡県と、工事主体のJR東海との間で議論や協議の膠着状態が続いていることから、2019年は着工に至らなかった。

そのため、静岡県は国土交通省(国交省)に対して議論の交通整理を求めるとともに、国・静岡県・JR東海による三者協議の場を設け、そこに環境省や農林水産省など、国交省以外の関係する省庁も参加すること。静岡県とJR東海との対話内容を評価し、それを文書で提示することを要望していた。

今回公表された回答内容によると、国交省は、これまでに絞り込まれた47項目の課題のうち、「トンネル湧水の全量の大井川表流水への戻し方」「トンネルによる大井川中下流域の地下水への影響」の2点を大きな課題と捉えており、これらについては「納得が得られていないと考える」とした。

また、関係省庁が三者協議に参加することについては「制度上の接点がなく、法令の手続き上も位置付けられていない関係省庁を当事者として新たな三者協議の場に参加させるとの提案の趣旨を必ずしも十分に理解できない」としながら、必要に応じてその知見を活用することを検討したいとしている。

2点については、科学的・工学的な課題であることから、トンネル工学や水文学(すいもんがく)などの専門家や、関係省庁の職員で専門的な知見を有する者からなる有識者会議を設置することで、これまでの議論を検証し、その結果を踏まえてJR東海が今後実施する工事に対して具体的な助言や指導などを行なっていくことも考えられるとした。

その具体的な方法は国交省が案を作成し、静岡県と相談。議論の場や議論の進め方などは、早急に三者協議の場で協議したいとしている。

一方、国交省が対話の内容を評価し、それを文書の形で提示することについては、「国土交通省として個別の論点について評価をすることは必ずしも適切でないと考えている」とした。

しかし、2点に関するJR東海からの説明が、静岡県の専門部会委員や職員などから納得を得られていないと考えており、大井川流域の自治体を訪問した際にこの点が懸念されていることを認識しているとして、JR東海に対して責任ある説明を求め、地元の不安を払拭するべく、しっかりとした指導、監督を行ないたいと結んでいる。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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