【メルセデスベンツ GLE 新型試乗】ディーゼル搭載の“アメリカンベンツ”は乗り味もアメリカンだった…諸星陽一

メルセデスベンツ GLE 新型(GLE400d 4MATIC Sport)
メルセデスベンツ GLE 新型(GLE400d 4MATIC Sport)全 12 枚
メルセデスベンツ『GLE』は元々は『Mクラス』と呼ばれるフレーム式プラットフォームを採用するSUVであった。現行モデルはモノコックとなった。それでもGLEはほかのメルセデスベンツとは異なる味わいを持つ。

◆アメリカ産ベンツであるということ

それは、GLEのメインマーケットがアメリカであり、工場もアメリカであることが大きく影響しているのだろう。ヨーロッパ、とくにドイツのクルマはたとえSUVであっても、アウトバーンでの安定性を無視することはできない。しかし、アウトバーンを200km/hオーバーで走る性能はアメリカでは不要であるし、それよりも100km/h前後で走る際の快適性のほうが重要だ。

この速度域での性能は日本でも扱いやすいものとなる。走行モードをコンフォートモードにすればその乗り心地はかなりゆったりしたものとなる。サスペンションのスプリングが金属バネではなく、エア式であることが大きく関わっていると言えるだろう。


かつて、エアサスはボワンボワン、ブヨンブヨンしていてイヤだと言われた時代もあるが、現代のエアサスはしっかりしたスタビリティを確保している。そうしたうえでの乗り心地の確保もしているので、こうした重量級の大型SUVとのマッチングはいい。

330馬力/700Nmのスペックを持つ3リットルディーゼルターボは、2.4トンのボディを難なく加速する。さすがにこれだけの重量を持つだけに加速感はどっしりしたもので、豹やチーターのように軽快なというよりは、象やサイのような力強いもので、突進というイメージがついて回る。もちろんこれはアクセルを強く踏んだときの加速感で、アクセル操作をゆったりと行えば、優雅な加速を手に入れられる。

◆意外な取り回しの良さと、3列シートのありがたみ


試乗会が行われたホテルはちょっと狭めの道がアクセス路になっている。曲がりくねった狭いワインディングを走るには2020mmの全幅のボディで走るにはそれなりに気を遣う。『Sクラス』よりも100mm以上広い全幅だが、アイポイントが高い分見切りはよく、Sクラスよりは取り回しが楽だ。

現行GLEは先代に比べてホイールベースを80mm延長している。これはサードシートを全車標準にするために行われたもの。サードシートに大人が長時間乗るのはつらいが、ちょっとした移動時などに乗車定員が多いのは、冠婚葬祭時の多人数乗車を重視する日本のクルマ選びには大きな利点となるだろう。

試乗車の車両本体価格は1109万円。ここまで価格が上がるとディーゼルの燃費のよさと燃料代の安さの恩恵うんぬんで買う人は少ないだろうが、航続距離の長さ、そしてトルク変動の少なさは長距離ドライブへのマッチングは非常にいい。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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