高齢者擬似体験セットで体感…逆走と心身を三世代で理解する NEXCO東日本イベント

NEXCO東日本、家族みんなで無くそう逆走、三世代免許特別講義(2月5日、京成ドライビングスクール)
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連日のようにニュースで映し出される、高速道路を逆走するクルマに直面した映像。親子孫の三世代で受講するスクールで、高齢ドライバーの逆走事故数を減らせないか……。そんな新しい試みが、NEXCO東日本で始まった。

題して「NEXCO東日本 家族みんなで 無くそう逆走 三世代免許 特別講義」。NEXCO東日本は2月5日、東京・葛飾の京成ドライビングスクールで特別講義イベントを実施。三世代で免許を持つ世帯を対象に、逆走事故の実情を知る講義や、高齢ドライバーの心身について理解を深めるデモ体験会などが行われた。

イベントは2部構成。前半は、NEXCO東日本交通部の栗田敏美男調査役が登壇。2日に1回のペースで発生している国内高速道路の逆走事故は、66%が65歳以上、45%が75歳以上のドライバーによる事故で、「うちの家族にも関係がある話だという意識を持って、逆走を防ぐ取り組みが大事」と伝えた。

まず家族で「運転ここに注目リスト」を活用して運転能力を確認。「急ブレーキや急発進が増えた」「駐車場などでのバック運転に手間取る」「車間距離を一定に保てない」「車体をこすることが増えた」「通い慣れた道順を忘れたり、間違えたりする」「行き先を途中で忘れてしまう」「交差点で歩行者や自転車に気づくのが遅れる」「合流が苦手になった」「信号を見誤ったり、標識を見落としたりする」「子どもなどが飛び出す可能性を予測できない」という項目をチェックし、自分の家族にこうした運転行動に衰えがあることを知る。

次に、「高速道路を走っているという自覚さえないという事例も多いことから、脳力の衰えについてもチェックする。皮膚感覚をつかむ脳力の衰えを、「スマヌ法」で確認。背中にカタカナの「ス」「マ」「ヌ」の3文字のどれかを指で書き、どの文字が書かれたのか答えるという試験で、書く文字をランダムに変えて計6回実施。3回以上間違える場合は、脳力が衰えている可能性があるとし、病院で診てもらうことをすすめる。

そのうえで、免許について家族全員で話すタイミングが大事と、栗田調査役はいう。「おじいちゃん。おばあちゃんと、運転や免許返上などを話すタイミングってなかなかないもの。そこで提案したいのは、三世代免許になったタイミング。親、子、孫、すべての世代で免許を取得したタイミングで、話し合ってほしい。孫が免許を取得したという話から、同じドライバーの目線でおじいちゃん・おばあちゃん世代とも運転について自然に話せるはず」(栗田調査役)。

高齢者擬似体験セットでドライブシミュレータへ

家族みんなで無くそう逆走特別講義(2月5日)そこで後半は、高齢ドライバーの心身について体感するプログラムへ。高齢者擬似体験セット「エルダー・トライ」でおじいちゃん・おばあちゃんの身体状態を擬似的に体感する。エルダー・トライは、高齢にならないと理解できない身体機能の低下を全身でつくりだし、お年寄りの不自由さが体験できるアイテム。高齢者に対する接しかたや生活環境を考えるきっかけをくれる道具だ。

ひじ・ひざに重り付きサポーターで関節が曲がりづらいようにし、首にも重りがぶらさがる。自然と高齢の前かがみ姿勢になり、身体の可動範囲はかなり狭まり、動きも鈍くなる。これで階段昇降すると、高齢者の心身がわかり始める。こうした疑似体験をしたあとで、ドライブシミュレータで運転を疑似体験。高齢ドライバーの視野や動き、危険性が体感できる。

同イベントに参加した20代男性は、「高齢者擬似体験セットをつけてみると、まず視点が下になってしまい、手足も動かしづらくなり、非常に怖いなと感じた。あの状態で運転するのは…とても不安」と。また別の20代女性は、「こういう状態になったら自分だったらどう行動するだろうと考えた。免許返上を決めるか、運転を続けるか、いろいろ考えさせられた」と話していた。

またドライブシミュレータを体験した20代男性は、「首にかかる荷重で頭や腰が曲がり、運転姿勢が非常に悪くなることを実感した。首の動きも鈍くなるので、サイドミラーやルームミラーに目をむけることもできず、こんなに視野が狭くなるのか、と痛感。両足もそう。足が重くて動きづらいので、アクセルをどのくらい踏んでいいかわからなくなる。これでは急発進、急ブレーキになるし、踏み間違いの確率も高くなるだろう。車線をはみ出したり、壁や車線変更時にぶつかったりもした」と語った。

NEXCO東日本は、「家族みんなで無くそう逆走」3つのアクションとして、「家族みんなで逆走を知ろう」「家族みんなでチェックしよう」「家族みんなで逆走事故から守ろう」を提唱している。

《大野雅人》

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