[カーオーディオ 専門用語をやさしく解説]スピーカーのパッシブクロスオーバーネットワークって、何?

スピーカーの一例(DLS)。四角いパーツが「パッシブクロスオーバーネットワーク」だ。
スピーカーの一例(DLS)。四角いパーツが「パッシブクロスオーバーネットワーク」だ。全 3 枚

とかく「分かりにくい」と思われがちなカーオーディオ。その“分かりにくさ”を解消していただこうと、「用語解説」をお贈りしている。第4回目となる当回では、スピーカーに付属しているパーツ、「パッシブクロスオーバーネットワーク」について説明していく。

【画像全3枚】

「パッシブクロスオーバーネットワーク」って、何?

カー用のスピーカーを買うと、多くの場合「パッシブクロスオーバーネットワーク」が付属されている。さて、これは一体何なのか…。

まずは、名称を形成している語彙を直訳してみよう。当用語は3つの単語から成っている。それぞれの意味は以下のとおりだ。1つ目の「パッシブ」は、「受動的、消極的」という意味を持つ。2つ目の「クロスオーバー」は、「異なる分野の物事を組み合わせて新しい物事を作り出すこと」という意味を持つ。そして3つ目の「ネットワーク」には「網目状組織」という意味がある。

というわけで、直訳してもこれが何なのかよく分からない…。その理由の1つは「クロスオーバー」にある。この言葉は、オーディオ的に使われるときには別の意味の言葉になるからだ。オーディオにおいての「クロスオーバー」とは、「帯域分割」という意味となる。使用するスピーカーが「セパレートタイプ」であるならば、音楽信号をツイーター用の高音とミッドウーファー用の中低音とに「分割」する必要性が生じる。「パッシブクロスオーバーネットワーク」とは、それを実行するためのパーツなのだ。

ところで信号の「帯域分割」は、スパッと上下に2分割されるわけではない。例えば境目が5kHzであった場合、ツイーターに送られる音楽信号は5kHzを境目としてそこから下側の音が緩やかに減衰されていく。ミッドウーファーに送られる信号については、5kHzを境目としてそれより高い音が緩やかに減衰されていく。

このように実際の「帯域分割」では、境目近辺の音はツイーターとミッドウーファーの両方から発せられることになる。そしてその音が混ざり合って全体的な一体感が作り出される。混ざり合うがゆえに、「クロスオーバー」という言葉が使われているというわけなのだ。

「パッシブクロスオーバーネットワーク」の対義語は、「アクティブクロスオーバー」!?

さて、「クロスオーバー」以外の2つの語彙についても詳しく解説していこう。

最初に「ネットワーク」から。これはすなわち、「回路」とか「パーツ」というような意味合いで使われている。これについてはすんなり理解できるのではないだろうか。

しかし「パッシブ」は少々分かりにくいので、じっくりと説明していきたい。まず、「パッシブクロスオーバーネットワーク」には対義語がある。それは「アクティブクロスオーバー」だ。つまり「パッシブ」は、「クロスオーバー」のタイプ違いを表している。

それぞれがどのようなタイプなのかを説明していこう。「パッシブクロスオーバー」は、「パワーアンプの後段で信号の帯域分割を行うタイプ」であり、「アクティブクロスオーバー」は、「パワーアンプの前段で帯域分割を行うタイプ」の「クロスオーバー」である。

なお、音楽信号の「帯域分割」をパワーアンプの前段で行うか後段で行うかによって、以下のような違いが生み出される。もしもパワーアンプの前段で「帯域分割」を行うと、使用するスピーカーが「セパレート2ウェイ」の場合には、パワーアンプの「ch数」は「4つ」必要となる。ツイーターとミッドウーファー用にあらかじめ信号が分割されるので、信号は計4系統に分かれる。結果パワーアンプも、計4つのchが確保されなければならなくなるのだ。

対して、「帯域分割」をパワーアンプの後段で行うのであれば、パワーアンプの「ch数」は左右ひとつずつの計「2ch」で済む。つまり、「アクティブクロスオーバー」を用いる場合にはシステムは大がかりになり、「パッシブクロスオーバーネットワーク」を用いる場合にはシステムはコンパクトに収まる。もちろん、システムを大がかりにしてまで「アクティブクロスオーバー」を使うことにはだからこそのメリットがあるのだが、単にスピーカー交換をしようと思ったときには、システムは大がかりにならない方が良い。これを活用した方が、シンプルにスピーカー交換を行える。

「パッシブクロスオーバーネットワーク」が同梱されないこともある。その理由は2とおりある。

というわけで、「パッシブクロスオーバーネットワーク」とはつまり、「音楽信号の帯域分割をパワーアンプの後段で行う装置」なのである。長ったらしい名前なのだが、これが何なのかを示すためには、長い名前にならざるを得ないのだ(実際は「パッシブ」とか「ネットワーク」とか短縮して言われることが多い)。

ちなみに、ホームオーディオのスピーカーにも「パッシブクロスオーバーネットワーク」は組み込まれている。しかし、エンクロージャー(箱)の中に入っているのでこの存在がクローズアップされることは少ない。しかしカー用のスピーカーは、クルマに取り付けなくてはスピーカーとして完成しない。パーツの状態で売られているので、「パッシブクロスオーバーネットワーク」もそのまま同梱されている、というわけなのだ。

ところで、「パッシブクロスオーバーネットワーク」が同梱されていない場合もあるので、それについても解説しておこう。同梱されない理由は、2とおりある。1つは「コストを下げるため」だ。これを省けば製品代をより廉価にできるので、敢えて付属されないモデルも存在している(ツイーターは、中低音の信号を入力すると破損してしまうので、ツイーターには「パッシブクロスオーバーネットワーク」の代わりとなるパーツが組み込まれる)。

もう1つは、「アクティブクロスオーバーで鳴らすことが前提とされるから」だ。先述したとおり、「アクティブクロスオーバー」を使うと、だからこその利点が得られる。なので、ハイエンドユーザーの多くは「アクティブクロスオーバー」をすでにシステムに組み込んでいる。であるならば「パッシブクロスオーバーネットワーク」が付属されていてもそれが使われることはない。ならばこれを付属しない方がもろもろが合理的だ。価格も下げられる。なのでハイエンドユーザー向きのスピーカーでは、「パッシブクロスオーバーネットワーク」が付属されないケースは増えてくる。または、「パッシブレス」の製品がラインナップされることも多くなる。

今回はここまでとさせていただく。次回もわかりにくい用語の解説を続行する。お楽しみに。

ビギナー必読! 難解なカーオーディオの“専門用語”を易しく解説! Part4 スピーカー関連編 lV

《太田祥三》

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 【スズキ ジムニーノマド 新型試乗】「よくできた万能SUV」だととらえると、評価を誤ることになる
  2. ここまで変わる? ホンダ『アコード』次期型の新デザインを予想
  3. アウディ6車種858台リコール、燃料漏れ
  4. 「胸アツです」「出たら欲しい!」マツダスピリットレーシング第二弾はどうなる? “最強のマツダ3”登場に期待の声!
  5. クラフトワークス、ホンダ『レブル』専用エンジンサイドバッグを再入荷
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 居眠り・脇見を監視、「DMS」を義務化…乗用車は2031年から、バス・トラックではすでに普及
  2. 【全文PDFプレカン】日産自動車 長期ビジョン発表会
  3. ホンダの交換式電池、建設現場で実証…高さ385mの「トーチタワー」
  4. EV・欧州減速=日本が正しかった、では見えてこない欧州市場と中国の戦略[インタビュー]
  5. ポルシェはなぜブガッティを手放した? 10億ユーロで売却、選択と集中へ
ランキングをもっと見る