ポルシェ、旧車も新型車も「乗り続けられる」サポート…クラシックパートナー

ポルシェ 旧車も新型車も「乗り続けられる」最上級のサポート …  ポルシェ クラシックパートナー
ポルシェ 旧車も新型車も「乗り続けられる」最上級のサポート … ポルシェ クラシックパートナー全 17 枚
なめらかで美しい曲線や愛嬌のあるフロントフェイス…。ポルシェ車には、なぜか無性に惹きつけられる独創的な魅力がある。

独ポルシェAGは、1948年に「356」を世に送り出して以来、世界的な人気を博する「911」シリーズなど、憧れのクルマの代表格とも言える、様々な名車を生産し続けている。独ポルシェAGによれば、なんと70%以上のポルシェ車が “現役” で、世界中を走り続けているらしい。廃車にならず、それほど多くの車両が残っているのは、ポルシェ車だけなのではないだろうか。


◆「ポルシェ クラシックパートナー」事業とは?

ご存知の方も多いと思うが、独ポルシェAGは、旧車ポルシェオーナー向けに、52,000点以上の純正パーツを常備し、グローバルで供給する「ポルシェ クラシックパートナー(PCP)」事業を展開している。

国内自動車メーカーが注力する、特定車種の復刻パーツ事業やレストアサービスについて取材を重ねてきた編集部は、独ポルシェAGが取り組むPCP事業に注目。その全貌を知るべく、ポルシェジャパン広報部へ取材依頼を行ったところ、すぐに返答があり、「ポルシェセンター青山 世田谷」での取材が実現した。



◆「旧車」ポルシェを愛するオーナーのために

『車両の生産終了から8年や10年で、補修部品供給が中止になる自動車メーカーもあると思いますが、ポルシェはそれがありません。例えば1950年代に生産された車両の純正パーツを、現代でも普通に供給しています。ポルシェを愛するオーナーの皆様が長く大切に乗り続けてくださっていることで、廃車率が低く、車両の価値が下がらない。継続的な補修部品供給が成り立つのは、ポルシェを愛するオーナー様の存在あってこそです』

ポルシェジャパン株式会社のアフターセールス部 ビジネスディベロップメントグループ マネージャーの入江健次氏はそう教えてくれた。



独ポルシェAGは、生産終了から10年以上経過した全てのポルシェ車を「ポルシェ クラシック」と区分。ポルシェの旧車を所有し深く愛するオーナー専用の特別な拠点として「ポルシェ クラシックパートナー(PCP)」を100か所、グローバルで拡大展開する方針を2014年9月に発表した。

それから約6ヶ月後となる、2015年3月。日本初のPCP拠点として「ポルシェセンター青山 世田谷(ポルシェセンター青山 世田谷認定中古車センター)」が、世界で10番目となる認定を獲得。その約1ヶ月後の4月に「ポルシェセンター名古屋」が、11月には「ポルシェセンター堺」と続き、2017年7月に「ポルシェセンター横浜青葉」が加わったことで、日本国内のPCPは4拠点となった。

2018年11月時点でPCP拠点は、グローバルで67か所(内、独18)あり、100か所展開に向けて拡大を続けているが、重要なのは認定基準の高さ。ポルシェ正規ディーラーなら、どの店舗も認定を得られるわけではなく、独ポルシェAGが設ける数多くの基準を満たす必要があることが、今回の取材でわかった。

まず第一に、ポルシェ クラシック車の保有台数が多いエリアであること。次に、独ポルシェAG本社工場にて、ポルシェ クラシック車専用の特別な研修を一定期間受けたメカニックが在籍。車検、定期点検、一般整備、鈑金塗装はもちろん、オーバーホールやレストアにも対応できる技術レベルが必要で、サービス工場には、クラシック ポルシェ車専用のリフトをはじめ、専用ツールが全て揃っていなければならない。

加えてPCP拠点では、52,000点以上におよぶ純正パーツに関して、あらゆる相談ができる部品販売コンサルタントや、技術的な説明を行えるサービスアドバイザーの在籍も必須となる。


◆独ポルシェAGにて、70歳を超える熟練メカニックから技術を学ぶ

『今のポルシェと、クラシックのポルシェは、メンテナンスや修理のやり方が全く違います。独ポルシェAGは、PCP事業を始めるにあたって、ベテランのメカニックを再雇用し、技術継承に力を入れています。中には、70歳を超える熟練メカニックもいて、彼らはレストアも行っています。

独ポルシェAGでは、高い防錆(サビ止め)効果を得られる “電着塗装”を行える設備があるのですが、例えば「356」のような旧いクルマはスプレーガンなどで防錆塗装します。その理由は「356」の生産当時、電着塗装を行っていないからです。あと、電着塗装を行うとニオイが変わってしまうんですよ。私が独ポルシェAGでトレーニングを受けた際、“ ニオイも含めての修理だ!” と指導があり、オリジナルを大切にするポルシェの姿勢を学びました』



そう教えてくれたのは、ポルシェセンター青山 世田谷工場に在籍し、ポルシェクラシック部 整備課課長を務める菊池 剛氏だ。菊池氏は、数少ないZPT level Goldテクニシャンであり、独ポルシェAG本社工場などで、クラシック ポルシェ専用の特別なトレーニングを修了している。


◆PCP拠点だからこそ実現できるサービス

ポルシェセンター青山 世田谷認定中古車センターに在籍する、ポルシェ クラシック部アシスタントマネージャーの筒井一樹氏は、ポルシェ正規ディーラーとして強い責任感のもと、PCP拠点だからこそ実現できることを教えてくれた。

『PCP拠点にお預け頂ければ、例えば旧車ポルシェの整備中に、新型車のポルシェにご乗車頂けるなど、時間短縮やコスト削減につながり、より快適なカーライフを楽しんで頂けるご提案が可能です。

PCP拠点として5年目を迎えましたが、中古のポルシェ車を探されているオーナー様のご相談も多いです。良い状態の車両をお探しするのに時間はかかりますが、正規ディーラーとして、オーナー様のご希望にそえるポルシェを全力でお探しいたします。安心して長く乗り続けて頂けるよう、あらゆる面でしっかりサポートさせて頂きます。

オーナー様の中には、複数台のポルシェを所有されている方も多くいらっしゃいます。中には、旧車のポルシェに乗り続けたい思いがあっても、どこに預けていいのか判断がつかず、そのままガレージで眠らせてしまっているオーナー様もいらっしゃると思います。正規ディーラーであるPCP拠点にご相談頂ければ、本当に安心して、大切なポルシェをお預け頂ける環境が整っておりますので、“便利”にご利用頂けるのではないでしょうか』



◆PCP拠点は、ポルシェの「博物館」



PCP拠点にとって、店舗外観やショールームはとても重要。クラシック ポルシェ車を愛するオーナーたちが安心して来店でき、伝統を守りながら革新を続けるポルシェの歴史や魅力を体感できる「博物館」のような空間が求められる。

取材で訪問した「ポルシェセンター青山 世田谷」のショールーム内には、ポルシェ クラシック専用エリアが設けられ、滅多に見ることができない「カレラGT」が鎮座。旧車ポルシェとは思えない「カレラGT」だが、2006年に生産終了となってから14年経過しているので、ポルシェ クラシック車の区分となる。

クラシック専用エリア内では、ガラスケースに収められた純正パーツの現物やエンブレムの製造過程を見ることができた。様々なポルシェ クラシック車の整備マニュアルを閲覧可能で、貴重な資料がそろう。取材では、サービス工場を見学する機会も得られたので、その様子を写真で紹介したい。

なお、国内のPCP拠点では、基本的に、独ポルシェAGで考案されたサービスを受けられる。だが、ポルシェのWEBサイト内にある「オンラインサービス」など、日本では提供されていないサービスもあるので、詳しくは国内のポルシェ正規ディーラーまたはPCP4拠点に問い合わせしてほしい。























◆最大の強みは、純正パーツの供給力

今回の取材で特に印象に残ったのは、継続的に数多くの純正パーツを供給するために、自動車メーカーである独ポルシェAGが全力を尽くしている点だ。PCP事業が開始された2015年時点で、52,000点の純正パーツを供給する体制があること自体、驚異的なのだが、それ以後毎年200から300点が追加されていると聞き、心から感服した。

ポルシェオーナーは、ポルシェ公式WEBサイトから、パーツ再生産をリクエストできる権利があり、独ポルシェAGでリクエストを集計。再生産パーツの検討会議が年に数回行われ、ポルシェ クラシックオーナーのリクエストは、より優先されているという。

また、少量のみ必要とされる希少なパーツについても、しっかりサポート。例えば、入手不可能だった「959」のクラッチのリリースレバーを2018年から、3Dプリンターで製造し、供給している。このような独ポルシェAGの取り組みが継続されることで、『生涯、ポルシェ車に乗り続けたい』と熱望するオーナーたちの願いは叶えられるだろう。


◆ポルシェ車の現状がわかる「証明書」を発行できる

もう1点、とても気になったのは、ポルシェ車の現状がわかる “証明書”を発行できるサービス「ポルシェ クラシック テクニカル サーティフィケート」があること。

ポルシェ クラシック専任のメカニックが、車両のホイールやタイヤ、駆動システム、エンジンルーム、油脂類、エクステリア、インテリアなどを審査。後日、専任メカニックによる技術的な評価が記された、写真付きの証明書を受け取れる。

証明書には、車両の製造日をはじめ、エクステリアとインテリアのカラーと材料、オプション装備が記載され、納車時の車両のオリジナルデータを知ることができる。現状の車両に装着されているエンジン、ギアボックス番号、タイプも記載されるので、納車時と現状を比較しやすい。そして、ポルシェ クラシック専任メカニックによる技術審査で、要件を満たさなかった検査ポイントのリストをもらえるのも大きなポイント。これまで愛車を預けていた専門店で指摘されたことがなかった弱点に気付けたオーナーもいるらしく、所有するポルシェ車の価値を判断する貴重なエビデンスになりえるだろう。



純正パーツの供給点数、整備・修理対応、車両販売、拠点の外観・ショールームに至るまで、独ポルシェAGがグローバルで提供するPCP事業は、他の自動車メーカーと比較するまでもなく、圧倒的なサービス体制が築き上げられているように感じた。大切な愛車により長く乗り続けたいオーナーにとって、自動車メーカーのサポートは絶対的に必要だ。税制、自動車保険も含めて、旧車・新車を問わず、安心で安全なカーライフを楽しめる環境が整っていくことを願う。

ポルシェ 旧車も新型車も「乗り続けられる」最上級のサポート … ポルシェ クラシックパートナー

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  2. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  3. メルセデスベンツの万能車『ウニモグ』がキャンピングカーに! 数日間の自給自足が可能
  4. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  5. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
ランキングをもっと見る