『DIATONE SOUND.NAVI』で“フロント3ウェイ”をスペシャルに操る 詳細解説

『マルチ+パッシブ3ウェイ/L(ロー)』を選んだときの「クロスオーバー」の設定画面。
『マルチ+パッシブ3ウェイ/L(ロー)』を選んだときの「クロスオーバー」の設定画面。全 7 枚

人気ハイエンドカーナビ『DIATONE SOUND.NAVI』。実は当機を使うと、他の機器では実行できない特別な方法で“フロント3ウェイシステム”を構築できる。それは一体どのようなものなのか…。その実践方法と利点のすべてをリポートしていく。

教えを請うたのは、香川県の実力カーオーディオ・プロショップ、“サウンドステージ”。理論派として知られる同店の藤川さんに、興味深い話しをたっぷり訊いてきた。じっくりとお読みいただきたい。

『DIATONE SOUND.NAVI』なら、パッシブシステムでも“3ウェイ”の詳細制御が可能!

『DIATONE SOUND.NAVI』を用いると、“フロント3ウェイ”システムをさまざまなアプローチで楽しめる。具体的にはどのような方法があるのだろうか。1つ1つ教えてもらった。

DIATONE SOUND.NAVIDIATONE SOUND.NAVI

「もっともシンプルなのは、内蔵パワーアンプの2ch分の出力を使って鳴らす方法です。この場合、音楽信号の“帯域分割(クロスオーバー)”はパッシブクロスオーバーネットワークで行います。

なお、他のメインユニットでも同様な鳴らし方が可能ですが、『DIATONE SOUND.NAVI』を使う場合には、このようなシステムレイアウトであっても、トゥイーター、スコーカー(ミッドレンジ)、ミッドウーファー、それぞれを個別に制御できます。当機には、“マルチウェイ・タイムアライメント”という機能が搭載されているからです。DSP内で各スピーカー用に信号を“帯域分割”した上で個別に“タイムアライメント”を掛けても、それらの信号を同一chで伝送できるんです。パッシブシステムでありながら、信号の制御は“マルチ”に行えるというわけです。

システム構成等の選択画面。システム構成等の選択画面。

ただし、“3ウェイスピーカー”にはパッシブが付属されていないケースも少なくありません。そうであるとパッシブを製作する必要性が生じますので、ハードルが上がります。でも、リアスピーカーも鳴らせますし、外部パワーアンプの導入を考える際には2chアンプを用意すればOKですし、悪い方法ではないと思います」

“マルチアンプシステム”と“パッシブシステム”の併用も可能! しかもやり方は2通りアリ!

『マルチ+パッシブ3ウェイ/H(ハイ)』のときの接続図。『マルチ+パッシブ3ウェイ/H(ハイ)』のときの接続図。

そしてさらに『DIATONE SOUND.NAVI』ならば、以下のような運用方法も可能となる。

「内蔵パワーアンプの4chすべてを使って“フロント3ウェイ”を鳴らすこともできます。2chだけで“3ウェイ”を鳴らす方法よりも、こちらの方が音的には有利です。よりトルクフルに鳴らせますから」

フロント3ウェイスピーカーを「パッシブクロスオーバーネットワーク」で鳴らすときの「クロスオーバー」の設定画面。フロント3ウェイスピーカーを「パッシブクロスオーバーネットワーク」で鳴らすときの「クロスオーバー」の設定画面。

その運用方法は2通りがあるという。

「1つは、『マルチ+パッシブ3ウェイ/H(ハイ)』という仕組みを活用する方法です。つまりは、“マルチアンプシステム”と“パッシブシステム”を併用する運用法なのですが。

通常は、ミッドウーファーの担当帯域が広いがために、音域ごとの音圧レベルが揃いにくい。通常は、ミッドウーファーの担当帯域が広いがために、音域ごとの音圧レベルが揃いにくい。

具体的には、以下のように接続します。内蔵パワーアンプの1chを使ってトゥイーターとスコーカーを鳴らし、もう1chを使ってミッドウーファーを鳴らします。なおこの場合には、トゥイーターとスコーカー間の“クロスオーバー”はパッシブクロスオーバーネットワークで行います。そしてそうであっても、『DIATONE SOUND.NAVI』には“マルチウェイ・タイムアライメント”が搭載されていますので、トゥイーターとスコーカーはやはり、個別制御が可能です。

もう1つの運用方法では、『マルチ+パッシブ3ウェイ/L(ロー)』という仕組みを活用します。その際には以下のような接続方法が取られます。1chでトゥイーターを鳴らし、もう1chでスコーカーとミッドウーファーを鳴らします。この場合には、スコーカーとミッドウーファー間の“帯域分割”は、パッシブで行います。そして例に漏れずこの際にも、スコーカーとミッドウーファーを個別に制御できます」

『仮想3ウェイ(仮想4ウェイ)』調整を行うと、各音域の音圧レベルを揃えられる。『仮想3ウェイ(仮想4ウェイ)』調整を行うと、各音域の音圧レベルを揃えられる。

『マルチ+パッシブ3ウェイ/H』を選択し、スコーカー&ミッドウーファー用のchでミッドウーファーだけを鳴らすと…。

さらに話しを続けてもらった。

「なお実際は、『マルチ+パッシブ3ウェイ/H』が使われることの方が多いと思います。理由は2つあります。1つは「パッシブを用意しやすいから」、もう1つは「ミッドウーファーをよりパワフルに鳴らせるから」です。

トゥイーターとスコーカー間に用いるパッシブは、2ウェイ用のパッシブで流用できます。しかし、スコーカーとミッドウーファー間のパッシブは、メーカーで用意されているケースが少ないです。しかもワンオフするのも大変です。クロスポイントが低いパッシブは、内部構造が大がかりになりがちなんですよ。パーツ代がより多く掛かってきます。

そして、トゥイーターだけにパワーアンプの1chをあてがうよりも、ミッドウーファーだけに1chをあてがった方が音的に有利です。低音を鳴らすスピーカーの方がより多くのパワーを必要としますから。ちなみに当店でも、この方法を実行することも多いのですが…」

ところで藤川さんは、これらとは異なる別の運用方法を取ることもあるという。その方法の名は、『仮想4ウェイ』だ。

「『仮想4ウェイ』とは、“フロント3ウェイスピーカー”をあたかも“4ウェイ”のように扱う運用方法です。具体的なやり方は以下の通りです。『マルチ+パッシブ3ウェイ/L』を活用して実行します。その際、本来ならば先ほど説明した通りに、アンプの1chを使ってトゥイーターだけを鳴らすのですが、そのトゥイーター用のスピーカー出力にパッシブを接続しトゥイーターとスコーカーの両方を鳴らします。そしてスコーカーとミッドウーファー用のスピーカー出力には、ミッドウーファーだけを接続します。

このように接続するとトゥイーターとスコーカーの個別制御は行えなくなりますが、しかし、ミッドウーファーの担当帯域を2分割してコントロールできるようになります。これが音に効いてくる、というわけなんです」

ミッドウーファー帯域を分割制御することで、鳴り方のバランスを整えられる!

どのように音に効くのかを教えてもらった。

「最大のメリットは、ミッドウーファーをバランス良く鳴らせることです。

ところで『DIATONE SOUND.NAVI』では、“仮想3ウェイ”調整が行えます。メーカーのカタログにも詳しい説明が載っていますが、これを行うと以下のような利点が得られます。“2ウェイ”ではミッドウーファーの担当帯域が相当に広いので、低音と中音の鳴り方の左右のバランスが乱れがちです。低音と中音とでは伝わり方が異なるからです。しかし“仮想3ウェイ調整”を行えば、ミッドウーファーの担当帯域を2分割して調整できるので、低音と中音との左右のバランスの乱れを補正できるんです。

で、“フロント3ウェイシステム”の場合は、ミッドウーファーの担当帯域は“2ウェイ”ほどは広くありませんので、低音と中音のバランスは乱れにくい…。かというと、実はそうでもないんですよ。ズドンという低音の鳴り方が、どうしても左右でズレてしまいます。しかし『仮想4ウェイ』を組んで調整すると、これへの対処が可能となるんです。

ただ、トゥイーターとスコーカーのデジタル制御は行えませんので、その点では難易度は上がります。取り付け方を工夫するしかありません。2つを近接配置にして、かつ取り付け面を揃えて…。物理的なチューニングで追い込まなくてはなりません。しかしもろもろが上手くいくと、理想的なサウンドが得られます。

難しさもありますから、これがベストではないのかもしれません。しかし、トライする価値は大きいと思っています。創意工夫を発揮するところにこそ、カーオーディオの醍醐味があると思うんです。取り組み甲斐ある方法であることは確かです。

ご興味があれば、ぜひお試しください。これも『DIATONE SOUND.NAVI』だからこそ可能となる楽しみ方ですから」

いかがだったろうか。『DIATONE SOUND.NAVI』なら、これでなければ実行できないスペシャルなシステム運用術を実行できる。『DIATONE SOUND.NAVI』は、とにもかくにも“特別”なハイエンドメインユニットなのである。

『DIATONE SOUND.NAVI』なら“フロント3ウェイ”をスペシャルに操れる!? その実際を詳細解説!!

《太田祥三》

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