[リアニマル]老いていく愛犬が教えてくれたこと 前編…10歳で突然の余命宣告!

アレックス(大好きな公園で)
アレックス(大好きな公園で)全 8 枚

私たち人間よりも寿命が短い犬や猫。私も犬を飼っていましたが、一緒に過ごす時間が幸せすぎるあまり、いつか迎えるお別れを思っては漠然と寂しさを感じていました。

一方、そんな気持ちもつゆ知らず“老犬ライフ”を満喫し、いつもみんなを笑顔にしてくれた犬。愛犬「アレックス」が私たち家族に教えてくれたこと、前編では突然の病気から学んだエピソードをご紹介させていただきます。

室内飼いの甘えん坊レトリバー

「犬飼いたい!」。 当時小学生だった弟が突然そう言いだすや否やあれよあれよと話が進み、2002年、我が家は犬を飼いました。温厚な大型犬として人気が高いゴールデンレトリーバー。名前は弟の命名で「アレックス」。生後1か月で地元のブリーダーから引き取り、1歳になったら外で飼育する予定でしたが、家族の姿が見えなくなった途端にキュンキュンと鳴きやまない甘えん坊…。ついに根負けした私たちは、大型犬にも関わらず屋内でアレックスを飼うことに。そんな甘々な家族に囲まれて、体重が35kgもあるゴールデンレトリバーは部屋中を所狭しと駆けまわりながら伸び伸びと育ちました。

生後1ヶ月、我が家に来た日生後1ヶ月、我が家に来た日

性格が優しいアレックスは近所でも人気者でした。すれ違う人全員に笑顔をふりまくアレックスのおかげで、同じ時間帯にお散歩しているご近所さんと会話が増えるようになり、次第に「犬友達」ができました。1日2回の散歩・ごはん・ブラッシング…と繰り返される毎日は宝物でした。

私が中学・高校・大学を経て社会人になると共に、もちろんアレックスもどんどん歳を取ります。金色の毛並みが自慢のアレックスでしたが、7~8歳の頃から徐々に白髪が目立ってきました。ドッグフードをシニア用に変更したり、足腰を傷めないようにフローリングに滑り止めシートを貼ったり。ささいな変化の1つ1つに、当時の私は「近づいてくる別れの日」を連想しては寂しい思いを抱くようになりました。

生後3ヶ月の頃生後3ヶ月の頃

10歳で突然の余命宣告

そしてアレックスが10歳のとき、忘れられない夜がきます。夕方からぽた、ぽた、と鼻血を出し始めたアレックス。見る見るうちに鼻血の量は増え続け、本人も出血に混乱して興奮状態に。家の中でアレックスの歩いたところ全てが血まみれになるほどで、夜が明けるのを待ちきれず母の運転で片道1時間の緊急外来に駆け込みました。

2012年4月。この直後に鼻血、余命宣告2012年4月。この直後に鼻血、余命宣告

救急医はアレックスを見るなり一言、「余命3日です」と。つい半日前まで元気にしていたアレックスに突然の余命宣告。それも、残りたったの3日。「ここまでの出血は鼻にできたガンでしょう」「人間の鼻血と違って犬の鼻血は…」、丁寧に説明してくださったはずですが、母も私も当時の記憶がほとんどありません。

このとき、アレックスはゴールデンレトリバーの平均寿命と言われる10歳を迎えたばかり。「平均寿命」とはいっても、さよならするには全てがあまりにも突然すぎました。

奇跡的に回復奇跡的に回復

奇跡的に復活、そのとき犬は

アレックスのピンチを聞きつけて、上京して大学に進学していた弟もすぐに帰省しました。「最期くらい好きなものをお腹いっぱい食べさせてあげよう」と、特上のステーキを焼いた母。嬉しそうにステーキを頬張る姿を家族みんなで見守りました。すると、まるで祈りが通じたかのように鼻血は日に日に治まっていき、余命宣告から3日後、ついにアレックスはしっかりと立ち上がったのです。当時は「ステーキのおかげだ!」なんて喜んでいましたが、後日詳しく診察してもらうと、耳血腫(耳に血がたまる病気)の治療薬による薬疹だったと判明しました。

7歳、秋7歳、秋

無事に一命をとりとめましたし、動物病院の先生方を責めてはいません。むしろその時は、余命宣告が出るほどの極限状態でも最高にしあわせそうにステーキを頬張ったアレックスの姿に、思わず感心しました。ごはんをいつものドッグフードに戻してからも、毎食毎食美味しそうに食べるアレックスに私たちのほうが励まされ、日常のささいなこと全てに感謝の思いでいっぱいでした。

変化を前向きにとらえていく

7歳、冬7歳、冬

歳を重ねるにつれて、アレックスは眠る時間が少しずつ長くなり、動きも穏やかになっていきました。こういった変化のひとつひとつに、以前の私なら「避けられない別れ」を思って気落ちしていたかもしれません。しかし余命3日だったかもしれないのだから、1日長く、さらにもう1日長く生きられただけでも儲けもんだ、そう思いながら、アレックスが13歳で天寿を全うするまでの日々を大切に過ごしました。

後編では、すっかり年老いた“おじいちゃん犬”アレックスが楽しく生きた10歳から13歳までの老後ライフについてお話ししたいと思います。

8歳、春8歳、春

こさい たろ:フォトグラファー
2年前に、猫と一緒にお嫁入りしました。現在、夫と猫と娘(0才)の3人&1匹でなかよく暮らしています。

【老いていく愛犬が教えてくれたこと】10歳で突然の余命宣告! 病気から学んだ老犬との過ごし方…前編

《こさいたろ》

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