【スズキ ハスラー 新型】ACCと広視野角検知を両立したステレオカメラの新技術とは

ステレオカメラによる全車速追従ACCを搭載した新型ハスラー。写真はXターボ4WD
ステレオカメラによる全車速追従ACCを搭載した新型ハスラー。写真はXターボ4WD全 7 枚

新型スズキ『ハスラー』では先進運転支援システム(ADAS)の前方監視用センサーにステレオカメラを採用しつつ、新たにアダプティブクルーズコントロール(ACC)にも対応した。加えて交差点の右左折時で車両や自転車、歩行者に対して自動ブレーキを動作させている。その両立の秘密を探った。

【画像全7枚】

NCAP対応するため交差点における広視野角検知は必須だった

これまでスズキはADAS用前方監視用センサーに、ステレオカメラ、単眼カメラとレーザーレーダー、ミリ波レーダーのみの3タイプを採用してきた。このうち新型ハスラーに採用したのがステレオカメラで、これは小型車『ソリオ』や『イグニス』などにも搭載されているものとベースを同じにする。

このカメラはスバルのアイサイトと同じ日立オートモティブシズテムズ製で、左右のレンズ間距離が160mmとアイサイトの半分以下とした小型タイプだ。特にソリオでは全車速追従はしないものの、ACCに対応して注目されたが、新型ハスラーではこのステレオカメラを基本に機能アップしたバージョンが搭載されている。

この機能アップのポイントは、遠方での検知能力を維持しながら、広角化も合わせて実現したことにある。近年は自動車アセスメント(NCAP)で交差点における衝突被害軽減ブレーキへの対応が評価の対象となっており、新型ハスラーではこの対応が必須になっていたという。しかし、ソリオに搭載されていたステレオカメラは認識できる画角が40度と狭く、そのままでは広視野角な検知には対応できない。

これを解決するにはレンズの画角を広げればこれは可能だが、それでは遠方の距離が認識しにくくなってACCとして使えなくなってしまう。カメラの解像度を上げて対応する方法もあるが、高解像度になるとそれを処理するチップ側の性能を高める必要があり、そうなるとコストが上がる。そこで日立オートモティブは最小限のハードとソフトウェアの改良によって実現する新たな発想でこれに対応したのだ。

ステレオカメラの検知範囲を左右にずらすことで広視野角検知に対応

その方法とはステレオカメラの特性をフル活用した新たな取り組みだ。まず左右のカメラの画素数を若干高め、レンズを広角化した。これまでは左右のカメラが捉える範囲はほぼ同一だったが、それを左右で捉える範囲をより外側に振ってずらす方式に変更。具体的には左のカメラでは右前方を、右のカメラでは左前方を撮影する。捉える画角をずらすことでその範囲は従来の3倍(120度)もの広角化に成功したのだ。

一方、ACCに必要な遠方のセンシングは左右のカメラが重なる範囲を活用して立体視することで遠方監視に必要な検知能力を確保した。新型ハスラーではこれによって全車速追従ACCを実現。先行車が停止すればそれに応じて減速して自動停止させることを可能にしたのだ。これはスズキの軽自動車としても、ステレオカメラ対応車としても初の対応となる。

ただ、新型ハスラーで採用したパーキングブレーキは足踏み式のメカニカルなタイプで、そのため、停止後2秒間は停止が維持されるが、その後はアラームと共に停止が解除されてしまう。軽のライバル車が相次いで全車速追従ACCを採用する中で、電動パーキングブレーキ(EPB)の組み合わせは欠かせないスペックになったと言っていいだろう。

とはいえ、新型ハスラーのACCは従来よりも加速制御がスムーズになっており、料金所からの加速も違和感はない。若干減速時に粗さを感じるものの、制御は格段に進化した印象を受ける。これがターボ車のみの設定というのが残念だが、10万円弱を追加するだけで、ターボ車としての軽快な走りと同時にこの機能にを得られるのだ。少しでも遠乗りする機会があるなら迷うことなくターボ車を選ぶことをオススメしたい。
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《会田肇》

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