接触機会8割減へ:店舗休業ではなく通勤の自粛が有効? 緊急事態宣言

4月8日、山手線
4月8日、山手線全 5 枚

8日から有効となった緊急事態宣言。目的は致命的な感染拡大を抑え込むため、なるべく人との接触を避けるためだ。そのKPIとして「人との接触機会を7から8割削減する」というものがある。

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接触機会を8割減らすとは、どういうことか。記者会見や発表によれば、たとえば「1日に10人の人と会うなら、それを2人に減らす」と表現することできるという。ただ、1日に会う人の定義も難しい。会っても直接話をしなければカウントしなくていいのか。短時間ならOKか。会う人数というのは目安にはなるが、カウントが難しい。

とくに、接触機会の状況を統計的に把握したい場合、この基準は使いにくい。そのため、エリアや時間帯ごとの人の動き、位置情報を指標に使うことがある。そのエリアの単位時間あたり、何人くらい居たのかで人ごみの具合がわかる。時間ごと日にちごとの推移をみれば、人出の増減がわかる。内閣官房も新型コロナウイルス感染症対策サイトで、主要都市部の人口変動を公開している。政府もエリア・時間ごとの人の動きで接触機会の指標としているようだ。

では、現実問題として、東京駅や新宿駅の人出を7割、8割と減らすことは可能だろうか。ハードルは相当高い。実現不可能といってもいいくらいだ。しかし、仮に、通勤を禁止または大幅に制限できれば、おそらく7割以上減は実現できる可能性がある。

2020年3月の東京駅の人口はピーク(午後6時)でパンデミック前(2019年12月)より50%近く減っていることが確認されている(レイ・フロンティア報道発表)。3月は、緊急事態宣言の発出前だが、すでに学校の休校措置がとられ、休日外出自粛要請は出されていた。対応可能な企業は、すでにテレワークや自宅作業を実施していた。

基準をパンデミック前に置けば、接触機会の8割減は緊急事態宣言で可能なようにも見える。しかし、3月後半には東京などの感染者数が指数関数的な伸びを見せ始めており、感染拡大が続いていた。これが緊急事態宣言へつながったわけで、学校の休校や休日の外出自粛では、感染を抑えることはできなかった。

都市部への毎日の移動。つまり通勤とそれに付随する活動を止めないと、感染爆発の阻止は難しいともいえる。非常事態宣言は、感染クラスターとなった一部の事業へ活動自粛を要請しているが、接触機会を減らすという意味では、特定の事業や営業の自粛や休止するよりも、「通勤」を禁止した方が高い効果が期待できる。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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