スマモビチャレンジ2ndモビリティのマルチタスク化・データ活用などを検討…経済産業省自動車課課長補佐増田陽洋氏[インタビュー]

スマモビチャレンジ2ndモビリティのマルチタスク化・データ活用などを検討…経済産業省自動車課課長補佐増田陽洋氏[インタビュー]
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2年目となる2020年度スマートモビリティチャレンジの公募が2020年4月23日から始まった。5月29日開催オンラインセミナー「スマートシティ2020」(参加費無料)に登壇する経済産業省製造産業局自動車課課長補佐の増田陽洋氏に今年度の方向性について聞いた。

MaaSの課題が明確になった

---:1年目の2019年度の「スマートモビリティチャレンジ」が28地域・事業(経産省と国交省の事業の合計)を対象に行われました。いかがでしたでしょうか?

増田氏:これまで、「CASE」の変革期に直面する自動車産業の今後の可能性を検討するために、自動車を保有せずにサービスカーを利用するライフスタイルへの変化、高齢運転者が自家用車を運転できなくなった時の移動の足の問題などに対し、自動車の枠を超えて、モビリティによりどういった貢献ができるか、さまざまな検討を行ってきました。

「スマートモビリティチャレンジ」では、自動車産業含め交通以外の多くの業種の方に関心を持ってもらった一方、MaaSの新しい取組を通じ、公共交通や地域の実情が浮き彫りになったとも思っています。
---:2019年度のスマートモビリティチャレンジで見えてきた実情と課題は?

増田氏:課題は大きく4点あります。新モビリティサービスの事業性、担い手の確保、既存の交通事業者との円滑な対話、モビリティ関係データに基づく対話や行政施策との連動です。

新モビリティサービスは移動の収益だけで持続可能な仕組みを作ることが難しい場合があり、配送などの他サービスとの連携や地域外の市場の取り込みの努力が必要です。また路線バスやタクシーのドライバー不足も深刻化しています。さらにビジネスメリットを地域の交通事業者に示しきれず、理解を得ることが難しいこともありました。これまでの取組では移動データが十分に取れてなかったところがありましたが、データやシミュレーション結果に基づき、行政などが地域の移動のあり方についてビジョンを示し、地域のステークホルダーの調整役や先導役を担っていく必要性を感じています。

経産省では、2019年度に取組んだ自治体や事業者から実証実験や事業計画づくりに際しての記録を集めた「新しいモビリティサービス社会実装に向けた知見集ver1.0」を作成しおり、新モビリティサービスづくりに取組む自治体・事業者のお役に立てていただければと思います。

2020年度は5チャレンジに重点

---:2年目となる2020年度のスマートモビリティチャレンジの取組みの方向性は?

増田氏:さきほどの課題を踏まえて、5つのチャレンジに重点を置いて進めていきます。

1つ目は、モビリティのマルチタスク化です。IoTの力で車両の利用目的を1つに限定せずとも管理できるようになりました。ある時は荷物を運んだり、ある時は高齢者を送迎したり、通院や通学といった多目的に車両を活用することで、地域の人・モノの移動に使われているモビリティのポテンシャルを引き出し、効率的に使うことで、事業性を向上できればと思います。

2つ目として、サービスの移動を担うことも考えられます。たとえば、人・モノの輸送だけでなく、移動コンビニ、移動診療所、移動郵便局、移動行政サービス等をモビリティの搭載することイメージしています。

3つ目として、需要側の変容を促す仕掛けにも挑戦すべきでしょう。スマホで採れる移動データを活用し、時間帯や需要に応じたダイナミックプライシングやダイナミックルーティングを行う等により、CO2削減や渋滞解消など街の課題解決へのインセンティブを付与することなど考えています。

4つ目として、やはり引き続き、異業種との連携による収益活用・付加価値創出の取組みは重要です。既に移動と買い物・観光や医療・福祉などの掛け合わせはたくさん出てきていて、異業種サービスとシームレスにつながることによる新サービスの掘り起こしを進めたいです

5つ目は、モビリティ関連データの取得、交通都市政策の連携です。昨年度の取組を通じ、公共交通のデータ取得や活用はMaaS分野では力が入ってきていますが、地方部の移動の多くを占める自動車交通のデータやVICSなどのインフラ情報とも公共交通データを統合、分析することで、新しいモビリティサービスの効率化やUXの向上に活用していきたいと考えています。

---:本セミナーのテーマであるスマートシティとMaaSはどうつながっていくのでしょう?

増田氏:MaaS-モビリティサービスのデジタル化に伴う移動の最適化・高付加価値化―は、人・モノ・サービスの移動情報が小売・医療・福祉等の異業種のデータ基盤と結びつくことで、さらに付加価値の高いサービスにつながる可能性を秘めています。都市全体のデジタル化を進める「スマートシティ」の潮流においても重要な要素となり、だんだん垣根はなくなっていくのではないかと思います。

---:新型コロナウィルスの影響についてお話いただけますでしょうか?

増田氏:2020年度のスマートモビリティチャレンジの公募は、6月1日を期限としていたのですが、新型コロナウィルスの影響を鑑み、申請いただければ、6月30日まで期間を延長することにしました。

政策的には、コロナ危機により、外出自粛の状況を把握するための人流データ収集や感染者のモニタリングなど、移動データ取得やプライバシーに対する関心が高まっており、今後のMaaSの在り方にも影響するかもしれません。また、テレワークなどの体験を通して、遠隔技術の活用への期待が高まる一方、移動し、実際に触れることの魅力・価値が再発見されてくるのではとも感じています。やっぱり、みんなお出かけしたいですもんね。

オンラインセミナー「スマートシティ2020」5月29日開催(参加費無料)はこちら。

《楠田悦子》

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