数多くのスーパースポーツバイクに新車装着されるブリヂストン「RS11」、フラッグシップモデルの実力とは?

ブリヂストンの新作スポーツラジアル「BATTLAX RACING STREET RS11」を徹底インプレッション
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こんにちは。プロレーサー、テストライダー・ドライバーの丸山浩です。今回お届けするのはブリヂストン待望の新作タイヤ、「BATTLAX RACING STREET RS11(バトラックス レーシング ストリート アールエスイレブン)」(以下、RS11)のインプレッションです。

ジャンルはレーシングストリートということで、公道もOKなハイグリップタイヤ。前モデルの“RS10“から早5年、サーキット走行を主眼とした“R10”が“R11”に進化してからかれこれ2年。公道スペックのイレブンはまだかと待ちわびていた方も多いことでしょう。手元の資料をみると、「R11をベースとしたDRYグリップ重視のパターン!」「新開発!リア・ショルダーコンパウンド!」「革新ベルト構造!バリアブルピッチモノスパイラルベルト!」などなど気合いの入ったワードがてんこ盛り。

聞くところによると、スリックタイヤやR11などと同レベルのコンパウンドをサイド部分に採用しているとか。バリアブル云々が何者かという詳しい解説は後述するとして、これはもう全開フルバンクアタックっきゃない!ということで相棒はカワサキ『Ninja ZX-10R SE』、舞台は筑波サーキット・コース2000でいってみよう。

あいにくのウェットコンディション…でもRS11なら過酷な路面でも安心して攻められる!

フルウェットのコンディションだけど、路面温度に依存しないRS11はしっかり性能を発揮してくれました!

と、私自身かなり楽しみにしながら迎えた試乗当日は“晴れ”だったのに、走行時間が近づくにつれみるみる天気が崩れ、あれよという間にコースコンディションはフルウエットに。おかしいな、天気予報では傘マークはなかったのにな…。おまけに気温までグングン下がる始末。春も半ばなのに手がかじかむとはこれ如何に。このコンディションで果たしてインプレが成り立つほどのテストができるのだろうか。しかしカメラマンは既にコースサイドにスタンバっている…いざ覚悟を決めて筑波2000にコースイン!

プロレーサー / モータージャーナリスト 丸山 浩氏

私は試乗の時もレースの時も、アタック前に直接タイヤを触って温まり具合を確認するタイプ。今回も数周後に一旦ピットに戻ってチェック。走る前は指先で叩くと“カツカツ”といった硬質感があったRS11は、爪が立たなくなるほどにゴム感が出ている。外気温6~7度かつフルウェットのコンディションでも柔らかさが出てくるということは、やはり相当ソフトなコンパウンドを使っているのだろう。接地感の立ち上がりは、ウォームアップ中にも確かに感じられた。

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タイヤの温まり具合を確認し、再度コースへ。ハンドリングは全体的に素直な印象で、例えばS字コーナーでも接地感に希薄な領域がない。右から左へと、流れるように切り返していける。手応えが常にあるので、ドライ路面なら安心してペースアップしていけそうだ。

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この雨量なら接地感もあるけれど、ドライ重視のトレッドパターンであることには変わりないので油断は禁物。資料によると「主溝の延長によりWET性能アップ」とあるが、あくまで公道に向けての話。サイドの溝はコンパウンドをたわませてグリップ力を引き出すためのものなので、そこまでバンクさせてはいけない。「くぅ~っ、この先の深いバンクがRS11の本領発揮ゾーンなんだけどなぁ!」今回は奇しくもフルウェット性能テストになってしまったわけだが、走行が終わったら天候が回復してきた。しかしご覧のみなさま、ブラウザバックにはまだ早いですよ。RS11はレーシング“ストリート”ですから、公道での試乗もしっかり予定に組まれています。というわけで筑波サーキットアタック後は周辺の下道を流してきました。

低温時から感じることができる“接地感”、公道の速度域でも優れたプロファイルを体感

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グリップ力重視でコンパウンドを柔らかくすると、往々にしてハンドリングは全体的に重たくなりがちだが、このRS11は直進状態からの動きが軽快。センターグルーブに耐久性主眼の固めのコンパウンドが乗せられていることもあるが、フロントタイヤ形状の鋭角化によるところが大きい。なおこの形状はバンク時にもメリットがあり、フロントタイヤの回転半径が小さくなることで車体姿勢は前下がりとなり旋回性が向上、更には接地面積増大による安定性も生むという良いことづくめの新プロファイル。

リアに新採用された「バリアブルピッチモノスパイラルベルト」。センターグルーブの耐久性を保ちながら、サイドの柔らかいコンパウンドのグリップ力を更に引き出す。公道のスピードレンジでも、ハンドリングはこの構造通りに体感できました

そして肝は、リアに新採用された件の「バリアブルピッチモノスパイラルベルト」。小難しい横文字だが、ザックリ説明するとセンター部分のベルトは密に巻いて剛性を高め、サイド部分では間隔を広げて柔らかくするといった代物。これにより、センターグルーブの耐久性を保ちながら、サイドの柔らかいコンパウンドのグリップ力を更に引き出すというわけだ。技術解説するとどうしてもカタログ棒読み感が出てしまうのだが、公道のスピードレンジでもハンドリングはこの構造通りに体感できた。

ブリヂストンの新作スポーツラジアル「BATTLAX RACING STREET RS11」を徹底インプレッション

例えばなんの変哲もない交差点。雨上がりでまだ路面はところどころ濡れていて、落ち葉もあるような普通の交差点を、30度くらいのバンク角で曲がっていく時でも安心感があるのだ。そういえば以前、RS11/RS10新旧比較試乗会の際、雪がちらつくような極寒でも、RS11のサイドコンパウンドはしっかり溶けていた。これがR11なら、タイヤウォーマーを使わなければ同じ状態にするのはなかなかに困難なはずである。つまり、RS11の温度依存性はかなり低く、幅広い領域で高いグリップ力を遺憾なく発揮する。いわば、寝かした方がゴキゲンなタイヤと言えよう。なお、これだけグリップ力に特化し低温から溶け出すということは、ライフはあまり期待しないほうが良さそうだ。一方でセンターグルーブはさほど荒れていなかったから、ストリートユースでの耐久性はある程度期待できる。ただし再三になるが、RS11で長い距離を走りたければ寝かしすぎに注意しよう。

プロレーサー / モータージャーナリスト 丸山 浩氏プロレーサー / モータージャーナリスト 丸山 浩氏

これらのことから、RS11は自走でサーキットを楽しむ人にはモッテコイだろう。タイヤウォーマーを持っていないトランポユーザーにもオススメだ。とにかくワインディングでの安心感が欲しい人も選ぶ価値あり。寝かすと決めたら、ライフなど気にせず存分にフルバンクを楽しむべき。でもくれぐれもドライ路面でね!ぜひ、サーキットアタックのリベンジチャンスお願いします。

ブリヂストン BATTLAX RACING STREET RS11の詳細はこちら

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー
1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。

《丸山浩》

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