THライナーは、メトロ日比谷線直通用東武70000系車両に、座席転換機構などを載せたTHライナー用70090型を使用。70000系列は東武が初めて近畿車輛に発注したモデルで、70090型も近畿車輛で6本がつくられた。座席は、一般列車時にロングシート(進行方向横向き)、THライナー時にクロスシート(前向き)に転換する。
◆ドア開閉扱いは1両1ドアのみ
運転は、朝に久喜→恵比寿 が2本、夜に霞ケ関→久喜が5本。久喜→恵比寿の朝便は東武伊勢崎線内 東武動物公園・春日部・せんげん台・新越谷で乗車のみ、メトロ日比谷線内 上野・秋葉原・茅場町・銀座で降車のみできる。霞ケ関から恵比寿まではフリー乗車区間で、座席指定なしで誰でも乗れる。
こうした乗車のみ・降車のみの駅では、ドア開閉扱いは1両1ドアのみ。霞ケ関からすべてのドアが開く。だから虎ノ門ヒルズや神谷町、六本木といったフリー乗降区間の駅から乗る人は、車内に入って座席の並びが前向き(クロスシート)にびっくりする人もいる。
指定券の改札スタイルも新しい。これまで東武特急などは、たとえば春日部駅では一部の乗降ドアだけを開け、そこに駅員が立ってきっぷを確認し、車内に客を通していた。
◆駅員配置なし、クルーが車内改札

指定席料金は580~680円。事前に座席指定券を持たずに乗車した場合は、設定金額にプラス200円を加えた料金を払う。
6月6日 土曜日、久喜を9時23分に出るTHライナーは、回送列車で春日部方から入ってくる。久喜を出ると、100系スペーシアや500系リバティといった東武特急車と同じく、ハイペースで東武線を走っていく。
◆新設した渡り線で急行線から緩行線へ

そしてTHライナー運行にむけ、西新井駅の南側に新設した急行線・緩行線 渡り線を通り、都心方面THライナーは梅島手前で緩行線に移る。
座割りは、上り恵比寿行きで進行方向左側からD・C(通路)B・A。転換座席は、フットレバーを足でふんで手動で回転させることもでき、向き合い4座などもつくれる。座席背面にはドリンクホルダがつき、車内は公衆無線LAN TOBU FREE Wi-Fi が入る。
◆北千住で運転停車し乗務員交代、中目黒へ回送

ここからが、THライナーがみせてくれる新しいシーン。前向き乗車でメトロ線内を行く。通路側席(B・C席)に座って前方をみると、三ノ輪の手前のS字カーブ、人形町の先、築地の先にある直角カーブを、キキキキキと車輪をきしませながら走る姿がよくわかる。連結面の大きなガラスドアの先のとなりの車両が、大きく曲がっていく姿が見えておもしろい。
前向き座席に腰かけて、1964年に開業した銀座~日比谷などの区間を走るシーンは、東武鉄道と東京メトロのニューノーマルを感じる。恵比寿ですべての客を降ろしたあと、この電車は中目黒へと回送され、座席をロング(横向き)にして再び一般列車の運用につく。こんどは、霞ケ関~恵比寿の間の、フリー乗車区間も乗ってみたい。