【ヤマハ MT-10SP 試乗】「R1」のネイキッド版ではない!獰猛だが死角なきロードスター…青木タカオ

ヤマハ MT-10SP
ヤマハ MT-10SP全 31 枚

眼光鋭いフロントマスク、筋肉質なボディなのにテールエンドはミニマムで軽快。見るからに獰猛なモンスター系バイクだが、走りもやはり怪物級だ。

【画像全31枚】

エンジンは低中速から図太いトルクを発揮し、高回転も伸びやかで隆々たるパワー。レスポンスに優れるダイレクトな駆動力、アクセルの開閉だけで色めき立つ。

アルミ製デルタボックスフレームに、1000ccクロスプレーン型クランクの水冷直列4気筒エンジンを搭載。中身はヤマハ・スーパースポーツ『YZF-R1』だから、圧倒的なパフォーマンスも頷ける。まさに“The king of MT”、「MTシリーズ」のフラッグシップモデルが、この『MT-10/SP』だ!!

サーキット最速を目指す「R1」のままカウルを脱いでネイキッド化したかといえば、それはノー。エキサイティングな走りを公道でも存分に味わえるようエンジンは低中回転域をより力強くし、常用回転域を重視した味付け。公表スペックは以下の通りとなっている。

ヤマハ MT-10SPヤマハ MT-10SP
最高出力
YZF-R1=147kW(200ps)/13,500rpm
MT-10/SP=118kW(160ps)/11,500rpm

最大トルク
YZF-R1=113Nm(11.5kg-m)/11,500rpm
MT-10/SP=111Nm(11.3kg-m)/9,000rpm

ストリートを支配する実力者

ヤマハ MT-10SPヤマハ MT-10SP
フレームも強度や剛性バランスを見直し、ストリートに順応した。ただし「R1」と比較すればこそ、ストリート向け、マイルドと言えるが、決して物腰柔らかいとは表現できない。凶暴なまでに加速は強烈だし、車体もしっかりとした剛性があり、上手く走らせるにはそれなりのライディングスキルが必要だろう。

たとえば、タイトコーナーを極低速で旋回するときなど、モリモリすぎるトルクをコントロールするのはビギナーには容易くないはず。「R1」がそうであるように、車体コントロールはライダーによる積極的な荷重入力があった方がいい。

逆に言えば、こう走りたいと意思表示すれば、従順にそれに応えてくれる高いポテンシャルを持っている。結果的にどんどんペースが上がってしまうが、自在に操っていると感じる人車一体感は「MTシリーズ」の大きな持ち味。リッタースポーツになっても、それは変わらない。

よりクレバーなSP

ヤマハ MT-10SPヤマハ MT-10SP
さて、今回乗ったのは、より戦闘力の高い“SP”だ。前後サスペンションはスタンダードがKYB製であるのに対し、SPではオーリンズ製にグレードアップ。ライダーの好みに応じて、ダンパー特性をボタンひとつで調整できるセミアクティブタイプの電子制御式が奢られている。

バフ仕上げのスイングアームをはじめ、リムをブルーにしたホイールもSP専用グラフィックが施され、足まわりは一段とスポーティ。シート表皮もスエード調で、差別化されている。

ヤマハ MT-10SPヤマハ MT-10SP
SP専用装備となるフルカラーTFT液晶メーターを見ながら、ハンドルにあるホイールスイッチで「PWR(パワーデリバリーモード)」「TCS(トラクション・コントロール・システム)」「QSS(クイック・シフト・システム)」「ERS(前後サスペンション)」の4つを、さまざまな組み合わせで設定可能。

直感的に操作できるから、設定をいろいろと試そうという気にさせてくれる。最もアグレッシブなスロットルレスポンスはPWR-1 で、トラクションコントロールを最小化するTCS-1にするとフロントが浮くほどのダッシュ力でますますキビキビ走る。

死角なきロードスター

ヤマハ MT-10SPヤマハ MT-10SP
これだけのモンスターを雨天やスリッピーな路面で扱うのは神経を使いそうだが、PWR-3、TCS-3 とすれば穏やかな出力特性とトラクションコントロールの強い介入で、ウェットや荒れた道も難なく走れるだろう。

つまり、獰猛なモンスターであるものの、卓越した電子制御で誰でもコントロールできるアクセシビリティも持ち合わせているから舌を巻く。

そして、堂々たるアップライトなライディングポジションで、疲れも少ない。クルーズコントロールシステムも搭載し、ロングツーリングまでも視野に入れた。死角なきロードスターとし、さすがはMTシリーズの親玉である!!

ヤマハ MT-10SPヤマハ MT-10SP

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

+ 続きを読む

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 【スズキ ジムニーノマド 新型試乗】「よくできた万能SUV」だととらえると、評価を誤ることになる
  2. ここまで変わる? ホンダ『アコード』次期型の新デザインを予想
  3. アウディ6車種858台リコール、燃料漏れ
  4. 【アウディ A5 新型試乗】「ちょうどよい」サイズと、4気筒ディーゼルとして満点の静粛性…中村孝仁
  5. 「胸アツです」「出たら欲しい!」マツダスピリットレーシング第二弾はどうなる? “最強のマツダ3”登場に期待の声!
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 居眠り・脇見を監視、「DMS」を義務化…乗用車は2031年から、バス・トラックではすでに普及
  2. 【全文PDFプレカン】日産自動車 長期ビジョン発表会
  3. ホンダの交換式電池、建設現場で実証…高さ385mの「トーチタワー」
  4. EV・欧州減速=日本が正しかった、では見えてこない欧州市場と中国の戦略[インタビュー]
  5. ポルシェはなぜブガッティを手放した? 10億ユーロで売却、選択と集中へ
ランキングをもっと見る