アウディのEV『e-tron』、高性能な「S」開発中…エアロダイナミクスに特許技術

特許技術のエアフロー機能を備えたフロントホイールアーチトリム

バーチャルミラーが航続を約3km延ばす効果

フロントアクスルにモーターを追加して3モーターに

0~100km/h加速は4.5秒

Sモデルらしいスポーティな内外装

アウディ e-tron S スポーツバック のプロトタイプ
アウディ e-tron S スポーツバック のプロトタイプ全 17 枚

アウディ(Audi)は6月17日、現在開発を進めている『e-tron S』と『e-tron S スポーツバック』に、エアロダイナミクスの特許技術を採用すると発表した。

両車は、アウディ初の市販EVの『e-tron』とそのクーペバージョンの『e-tronスポーツバック』をベースに、EVパワートレインを高性能化したモデルだ。アウディはエンジン搭載車に、高性能な「Sモデル」を設定している。EV のe-tronシリーズにも、近い将来、このSモデルを拡大展開する計画だ。

特許技術のエアフロー機能を備えたフロントホイールアーチトリム

アウディは、このe-tron Sとe-tron S スポーツバックに、エアロダイナミクスの新技術を採用する。フロントのサイドエアインレットの「エアカーテン」は、ホイールと車両の側面への空気の流れを最適化する。エアフロー機能を備えたフロントホイールアーチトリムは、新しいアウディの特許技術になるという。

このエアフロー機能を備えたフロントホイールアーチトリムによって、車両の側面の空気の流れが最適化され、流量損失が減少する。 20インチホイールのデザインや、タイヤのトレッドとサイドウォールのパターンも、それに応じて改良されている。アウディ e-tron S スポーツバック のプロトタイプアウディ e-tron S スポーツバック のプロトタイプ

ホイールアーチトリムを通る空気の流れは、優れたエアロダイナミクスとスポーティな外観を両立させる効果を発揮する。アウディはこの特許技術を、初めて量産車に搭載する予定だ。抗力係数は、アウディe-tron S スポーツバックが0.26、e-tron S が0.28を実現するという。

バーチャルミラーが航続を約3km延ばす効果

デジタルドアミラーの「バーチャルミラー」も、空力抵抗をさらに低減する。アウディによると、バーチャルミラーはWLTPサイクルで航続を約3km延ばす効果を発揮するという。小型カメラが捉えた映像は、ダッシュボード左右のOLEDディスプレイに表示される。高速道路、方向転換、駐車のそれぞれの場合で、視野は最適に調整される。アウディ e-tron S スポーツバック のプロトタイプアウディ e-tron S スポーツバック のプロトタイプ

車両の床下では、スポイラー機能を備えたアンダーパネルが、空気を効率よく流す。床下には、高電圧バッテリー用のアルミ製カバープレートが装着された。ボルト止め部分には、ゴルフボールのディンプルに似たボウル型のくぼみが付く。アウディによると、完全に平らな表面よりも、空気の流れを向上させるという。標準のアダプティブエアサスペンションも、空力抵抗をさらに改善する。高速走行では、車高がを最大で26mm低くなる。

アクティブグリルシャッターは、48~160km/hの速度域で閉じられる。この時、空気はボンネットフードの上を流れる。空調システムやドライブコンポーネントがより多くの冷却空気を必要とする場合、ルーバーは段階的に開く。

フロントアクスルにモーターを追加して3モーターに

e-tron Sのプロトタイプでは、モーターをフロントに1個追加し、リアの2モーターと合わせて、合計で3モーターとしているのが特長だ。フロントアクスルに追加されたモーターは、最大出力169hp、ブースト時には最大出力204hpを発生する。リアアクスルに積まれる2個のモーターも強化されており、最大出力266hp、ブースト時には最大出力359hpを獲得する。

この結果、3つのモーターを合わせたシステム全体で、最大出力435hp、最大トルク82.4kgmを引き出す。ブースト時には最大で8秒間、最大出力が503hp、最大トルクが99.2kgmへ引き上げられる。

通常の走行モードでは、リアモーターのみが作動する。より多くのパワーを必要とする場合、ドライバーがほとんど気付かないうちに、フロントモーターが始動する。また、路面のグリップが低下した場合にも、フロントモーターが作動する。また、加速中に後輪が、ブラックアイスバーンなどの低い摩擦の路面に遭遇した場合、2つのモーター間でモーメントを正確かつ迅速に配分する。アウディ e-tron S スポーツバック のプロトタイプアウディ e-tron S スポーツバック のプロトタイプ

0~100km/h加速は4.5秒

パワフルなEVパワートレインの効果で、e-tron Sは、0~100km/h加速を4.5秒で駆け抜け、最高速は210km/hでリミッターが作動する。アウディによると、インテリジェントな駆動制御は、車両の安全性やダイナミックなハンドリング性能を新たなレベルに引き上げるという。電動「クワトロ」に加えて、リアアクスルには可変トルク配分を備えた電動トルクベクタリングが採用された。

e-tron Sは、最大出力150kWで直流(DC)急速充電できる。バッテリー容量の80%の充電にかかる時間は、およそ30分だ。ヒートポンプを備えた熱管理システムを導入した。これにより、4つの回路を備えたバッテリー、インテリア、電気モーターを、それぞれ冷却しウォームアップできる。さらに、最大11 kWの出力で、交流(AC)充電することもできる。

ブレーキキャリパーは、6ピストンを備えており、大容量ブレーキディスクは、フロントが直径400mmとなる。「プログレッシブステアリング」を標準装備した。ダンパーも、Sモデル用に最適化されている。コーナリング中のロールをさらに抑えるために、前後のスタビライザーが拡大された。アウディ e-tron S スポーツバック のプロトタイプアウディ e-tron S スポーツバック のプロトタイプ

Sモデルらしいスポーティな内外装

エクステリアは、5本VスポークのSデザインの20インチアルミホイールが標準だ。最大22インチサイズのアルミホイールも選択できる。シングルフレームグリルは、グレーで塗装された。e-tron専用のLEDヘッドライトやデイタイムランニングライトを装備する。

Sモデルらしく、バンパーはスポーティな専用デザインで、リアにはディフューザーインサートが採用される。ホイールアーチエクステンションにより、23mmワイド化された。

インテリアは、ダークカラーで統一された。「アウディバーチャルコックピット」のディスプレイがレイアウトされている。インストルメントパネルはドライバー指向だ。電動調節可能なレザー&アルカンターラ製スポーツシートとシフトレバーには、菱形のSエンボス加工が施された。ドアシルとハンドルには、Sバッジが装着されている。

《森脇稔》

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