【ホンダ フィット 新型試乗】「クロスター」の追加は“大正解!”…飯田裕子

ホンダ フィット 新型(クロスター)
ホンダ フィット 新型(クロスター)全 14 枚

ひとクラス上がった印象すら抱く、新型『フィット』。大胆なデザイン変更を行ったフィットの新世代感は、もう街中や販売店の店先で認識されていることだろう。そのなかでも注目のモデル、SUVルックの「クロスター」が今回の主役だ。

近年のSUV人気からすれば、これがフィットブラザーズに加わったことは“大正解!”。フィットならではのパッケージングや運転のしやすさは健在だし、ユニークな存在感はそれ以上に魅力が感じられるからだ。

ボディ寸法は配慮しつつ、デザインの個性も光る

ホンダ フィット 新型(クロスター)ホンダ フィット 新型(クロスター)
“SUVルック”という表現をあえてしたのは、ベースモデルに対し(特に4WDモデル対比)車高やロードクリアランスが圧倒的に高いというわけではなく、デザイン面でのユニークさが特徴だから。

ボディサイズは全長4090×全幅1725×全高1545mm(ルーフレール装着車は1570mm)。FFモデルはベース車に対し全高で+30mm、地上高は+25mmの160mm、4WDは+5mmの155mmだ。個性を際立だせたデザイン加飾により、全長はベースに対し+95mm、そして全幅が+30mm(1725mm)となるため、クロスターは3ナンバーモデル。しかし、ボディ寸法には日本の駐車場事情への配慮がうかがえるし、それでもクロスターの個性はしっかりと感じられるのがいい。一方でロードクリアランスがもっと欲しい、本格的な4WD仕様が欲しかった、という方には少々物足りないかもしれない。

デザイン面で注目なのは、SUVルックな印象を強める、前後のバンパーやサイドシルガーニッシュ、ホイールアーチプロテクターなどのブラックの専用樹脂パーツ。さらに専用デザインの16インチアルミホイールが装着される。ちなみに他モデルはグリルレスだが、クロスターにはグリルがある。新型フィットには5タイプのモデルが用意されているが、そのなかでもクロスターは最もアクティブでどこにでも連れ出したくなるような自由なムードが強い。

格段に向上した視界の良さと目が丸くなるほどの広さ

ホンダ フィット 新型(クロスター)ホンダ フィット 新型(クロスター)
新型フィットの魅力は、紹介しきれないほどたくさんあるが、特筆ポイントは2つ。

一つは、大胆な発想の転換により、フロントウインドウの視界がこれまでよりも格段に向上したこと。新旧を比べれば一目瞭然だが、フロントウインドウを支える左右のピラー(柱)が従来の半分以下の太さになり、従来の視野角が69度なのに対し新型は90度に拡大している。死角が軽減され、例えば交差点やコーナーでの対向車や歩行者なども発見しやすい。

ちなみに運転席から見て手前(二番目)のピラーが衝突安全性やボディ補強の役割を主に担うことで、万一衝突した場合と、視覚的な安全性を共に向上させることができたのだ。

もう一つは「広い!」と思わず声を出してしまったほどの室内の広さ。フィットとしては、相変わらずのセールスポイントでもある。が、わかっていても目が丸くなる。さらにシートアレンジ次第で、収納力は拡大可能。インテリアの清潔感とシンプルな雰囲気も魅力だ。

走りはドッシリとした安定感とフラットさが印象的

ホンダ フィット 新型(クロスター)ホンダ フィット 新型(クロスター)

続いて動力性能。新型フィットでは、1.3リットルのガソリンエンジンと1.5リットル+2モーターのハイブリッド「e:HEV」が選べるが、今回はe:HEVに試乗。これまでもハイブリッドモデルはあったけれど、新型のポイントは“e”にあり。フィットとしては、初めてモーター駆動を主動力とするシステムを採用しているのだ。

1.5リットルエンジンは基本的には電気モーターでタイヤを駆動させるための”動力源“として機能し、タイヤに動力を伝えるのはモーター。だいたいの場合、EVのように走る。出足から静かにかつスムーズに走りだし、加速時の瞬発力や力強さ、そしてモーター駆動を操るアクセルペダルとのリニアな連携も申し分ない。一方で高速走行時は燃費効率に優れたエンジンが主力となる。

乗り心地は、ドッシリとした安定感とフラットさが印象的。コーナリングでごくわずかなロール感があるが、ボディの骨格がしっかりとしているおかげで、しなやかなハンドリングと相まってバランスが良く扱いやすい。e:HEVの頼もしく扱いやすい動力と運転のしやすさも新型の大きな進化であり、クロスターでもそれは同様なのだ。

また「これまでならこのクラスとしてはあり得ない」と開発者が言う、設計から見直されたシートもぜひ注目してほしい。クロスターには撥水加工がほどこされたシートを採用しており、利便性も高い。新型フィットの魅力や質の向上を、全身で感じることができるはずだ。

飯田裕子氏飯田裕子氏

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

飯田裕子|自動車ジャーナリスト協会会員
現在の仕事を本格的に始めるきっかけは、OL時代に弟(レーサー:飯田章)と一緒に始めたレース。その後、女性にもわかりやすいCar & Lifeの紹介ができるジャーナリストを目指す。独自の視点は『人とクルマと生活』。ドライビングインストラクターとしての経験も10年以上。現在は雑誌、ラジオ、TV、シンポジウムのパネリストやトークショーなど、活動の場は多岐にわたる。

《飯田裕子》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  3. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  4. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る