【フィアット 500Xスポーツ 新型試乗】SUVであることを5分で忘れさせる…九島辰也

背の高いSUVであることなど、5分で忘れてしまう

コーナリングでもクルリと向きを変えてくれる

クロスはアウトドア、スポーツは文字通りスポーツ走行向け

フィアット 500X スポーツ
フィアット 500X スポーツ全 16 枚

背の高いSUVであることなど、5分で忘れてしまう

フィアット『500X』に“スポーツ”という名前のモデルが追加された。スタンダードの500Xと500Xクロスに次ぐ3番目のモデルだ。2015年10月の国内導入以来、イタリア好きの人たちに支持されてきたモデルだが、久しぶりのカンフル剤のような気がする。

フィアット 500X スポーツフィアット 500X スポーツ
というのも、実際に走らせるとまさにカンフル剤のごとくドライバーに刺激を与えてくれるからだ。正直走らせる前はそれほど期待していなかったが、走り出すとすぐにこれまでとは違うと感じた。まさにイタリアのハッチバックのように気持ちよく軽快に駆けまわる。背を高くしたSUVであることなど、5分で忘れてしまう走りだ。

コーナリングでもクルリと向きを変えてくれる

フィアット 500X スポーツフィアット 500X スポーツ
手を入れたのは、足まわりとステアリング、それとボディカラーに専用色を用意したあたり。特に大きなウイングが付いたわけでもないので、見た目の新鮮さはそれほどない。クルマの周りを一周するとドアミラーの前に“SPORT”のエンブレムが目に入った程度だ。

だが、よくよく考えるとこのサイズにして19インチのホイールというのはすごい。デザインもイマドキ感があって特別であることをにわかにアピールする。それに500Xが17インチであることを鑑みるとその違いは歴然。もちろん、あちらはクロスカントリー系に仕上げてあるのだからそれで成立しているが、2インチアップというのは英断だ。

そしてこの19インチのタイヤにバッチリ合っているのがサスペンションのセッティング。今回はバネレートもダンパーの減衰圧も変えたそうだ。が、けっしてそれが硬すぎると思う場面はなかった。試乗コースが箱根のワインディングということもあり、コーナリング性能にばかり気が入ってしまいがちだが、乗り心地は悪くない。それとクイックレスポンスになったステアリングフィールもかなりグッド。クルリクルリと向きを変えてくれるため、コーナリングがどんどん楽しくなる。

フィアット 500X スポーツフィアット 500X スポーツ

クロスはアウトドア、スポーツは文字通りスポーツ走行向け

こうした運動性能の向上は、今回手を入れた細部が関係しているのは確かだが、基本骨格がいいことが証明される。高いボディ剛性が操作性を高めているということだ。それを手に入れたのが、昨年のマイナーチェンジである。フロント周りの意匠変更とエンジンをスイッチしたタイミングで、かなりの部分見直された。2015年のデビュー時では得られなかった走りの気持ちよさが今は感じられる。

そんな500Xスポーツのプライスは344万円。500Xクロスが341万円だからほとんど変わらない。つまり、この2台は上下関係ではなく、ジャンルの違いを表している。文字通り、“スポーツ”はスポーツ走行派に、“クロス”はオフロードを含むアウトドア派にオススメということだ。そんな目線でこの2台を比較するのはおもしろい。

ボディカラーもオプションもそれぞれの世界観が出るように用意されている。いずれにせよ、“スポーツ”の登場で500Xファミリーの存在感がグッと高まることになるのは間違いない。

フィアット 500X クロス(左) と スポーツ(右)フィアット 500X クロス(左) と スポーツ(右)

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 1回あたり300円、10分で施工できる凄技コーティング、洗車機との相性も抜群『CCウォーターゴールド』が選ばれる理由PR
  2. タイヤブランドGTラジアルよりオールシーズンタイヤ「4シーズンズ」発売
  3. マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
  4. アルファロメオ『ステルヴィオ』後継モデルは、大容量バッテリー搭載で航続700km実現か
  5. 【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
  6. トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開…北京モーターショー2024
  7. スバルとスカイラインにフィーチャー…第4回アリオ上尾 昭和平成オールドカー展示会
  8. ホンダ ヴェゼル 改良新型、純正アクセサリーで“自分らしさ”を表現する
  9. ディフェンダー 最強モデル「OCTA」、V8ツインターボ搭載…7月発表へ
  10. 中国製部品の急成長で2025年以降日本製の車載半導体は使われなくなる…名古屋大学 山本真義 教授[インタビュー]
ランキングをもっと見る