【アウディ e-tronスポーツバック】BEVなのになんでグリルがあるの?…乗ってみた

グリルのスリットは、内部で開閉し、必要に応じてバッテリー用ラジエターを冷却する
グリルのスリットは、内部で開閉し、必要に応じてバッテリー用ラジエターを冷却する全 18 枚

アウディ『e-tronスポーツバック』が9月17日に日本国内で発売となった。アウディの100%バッテリー駆動のEVというだけでなく、電動パワートレイン対応のeクワトロ(AWDシステム)を搭載し、アウディの本流スポーツモデルであることも特徴だ。

アウディe-tronスポーツバックの国内販売を発表した日、関係者向けの発表・内覧会が行われた。発表会の模様はオンラインでも中継されたので視聴した人もいるのではないか。内覧会では、国内の担当者に話を聞く機会があった。また、短い距離だが会場周辺のテストドライブも体験できた。車両のスペックなどはすでに多くの記事がでていると思うので、実車を見て、乗ってみて気が付いたポイントを紹介したい。

まず、目につくのはSUVモデルをベースにしながらルーフからテールエンドにかけてシャープなクーペボディだ。クワトロを冠するモデルはやはりクーペであってほしい。ただしクーペは後席の居住性が犠牲になりがちだが、全幅1935mm、全高1615mmと余裕があるため、後席が狭いと感じることはなかった。身長180cmの大人が乗っても天井がつかえるとか足が窮屈ということはなかった。

外観のフロント回りでは、存在感のあるグリルが目を引く。変形八角形の中にタテヨコのラインがあしらわれ、いわゆるラジエータグリルになっている。内燃機関モデルと共通意匠だからといえばそうなのだが、EVならグリルレスがひとつのアイコンにもなる。アウディがそうしなかったのは、機能的な意味もある。

アウディe-tronスポーツバックアウディe-tronスポーツバック

担当者によれば、搭載バッテリーは液冷の温度調整システムを採用している。そのため内部にラジエターも持っており、空気の流れも温度管理に利用している。スリットの穴は通常は塞がれているが、必要に応じて内側で自動開閉するしくみになっている。

事前発表のコンセプトモデルでは、ドアノブがなかったり、バンパーにセンサー類のフタがなかったりしたが、実車はソニックセンサーの位置などが確認できる。ドアノブは平均的な形状だ。また、コンセプトモデルのとおり、ドアミラーはカメラ方式。モニター画面はドア側に配置された。実物のミラー形状を意識したためか、台形だがサイズも確保され、とくに横方向の視界が広い。試乗してみると、左折時の路側帯や歩道までよく見える。ただし、モニター位置が物理ミラーより下になるので、慣れないと最初にカメラ本体を見てしまう。

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インパネやコンソールも大型ディスプレイになっている。マルチファンクションの切り替えはステアリングのボタンやダイヤルで調整する。メーター類がすべてディスプレイになったが、基本レイアウトはオーソドックスなため未来的な違和感はない。

センターコンソールのボックスにはUSBポートやSDカードスロットなどが装備されているが、SIMカードのスロットもある。通信モジュールのSIMが自分で好きなものが使えるのかと思って確認したところ、日本仕様はコネクテッド機能の契約にSIMやプランが含まれるので、MVNOのSIMやモバイルルータのSIMを差し込んでも使えないそうだ。内部ユニットはeSIM(登録番号の書き換えが可能、またはクラウドで管理されるSIM)対応しているので、原則としてSIMを差し替えることはない。

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スロットを用意しているのは、国ごとのニーズや規制に対応するためだという。

2~3kmの短い区間だが試乗もできた。その範囲でのインプレッションだが、やはりEVトルクの扱いやすさはアウディEVでも健在だ。e-Pedal機能(アクセルオフで速度ゼロまで回生ブレーキ+電動ブレーキの制御)はないが、ステアリングの左右のパドルが回生ブレーキの強さを制御できるタイプだ。スポーツ走行ではシフトダウンによるエンジンブレーキの感覚で減速できる。

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車重は2.5トンほどで、試乗は3名乗車(+カメラマンの機材)だが、664Nmのトルクは発進から重さを感じさせない。公道での試乗だったため加速性能は試していないが、信号スタートくらいの感覚で少し強めに軽く踏むだけで十分な加速感が味わえる。テスラ『モデルS』や『モデル3』ほど、発進加速にこだわっていない味付けというが、EVらしさは十分に楽しめる設定だ。

サスペンションは電子制御エアサスという。モデルSのエアサスはコーナリングで違和感を覚えるほど制御の介入が大きいが、e-tronのエアサスは自然な(従来のクルマの)動きに近い。といっても動きに剛性感があるしっかりしたものだ。低重心と50:50の重量配分により、コーナリングでのロール感のなさ、アクセルオン(パーシャル)のままライントレース能力の高さは体感できた。

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《中尾真二》

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