マツダ『MX-30』竹内都美子主査が語る、「心が整う」クルマの新しいカタチとは…名古屋オートモーティブワールド2020

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マツダ MX-30 竹内都美子主査
マツダ MX-30 竹内都美子主査全 16 枚

マツダが2019年の東京モーターショーで公開した、初の量産EVモデル『MX-30』。クロスオーバーSUVのフォルムを持つMX-30だが、開発責任者を務める竹内都美子主査は、「ドライバーの心の状態が整うクルマを目指した結果、あの形にたどり着いた」と明かす。

10月21日から開幕する「第3回 名古屋オートモーティブワールド」では、特別公演『EV開発最前線~新たなEVの在り方とバッテリーの進化』に竹内主査が登壇、「『自然体』人を中心としたMX-30開発」をテーマに講演する。竹内主査が掲げた「自然体」そして「心の状態が整うクルマ」とは。

クルマを運転すること=自分らしさを取り戻す時間

マツダ MX-30(写真は欧州仕様)マツダ MX-30(写真は欧州仕様)
MX-30の開発は2015年からスタートした。これまでのラインアップにないモデルを生み出すことについて、「“新しい価値を創造せよ”というのが、MX-30に課せられたミッションでした」と竹内主査は語る。その新しい価値についても、従来の概念にとらわれない視点を持って取り組んだと振り返る。

「私たちは最初、新しい価値というとイコール新しい技術とか、新しい機能という風にとらえて検討を始めましたが、クルマの開発はどうしても2年、3年かかります。その2年、3年先の技術、機能をきちんと予測することは難しさもありますし、そもそも技術や機能をお客様の価値として置き換えたり、お届けするというのは、視点として何か間違っているのではないかと考えました」

各国のクリエイターや起業家など様々な人物と会い、意見を交換する中で「多忙を極め、情報があふれる日々の中で、クルマを運転する時間だけはやはり唯一、自分を取り戻す時間として大事にされている方が多い」ということに気付いたという。

マツダ MX-30(写真は欧州仕様)マツダ MX-30(写真は欧州仕様)
「クルマを運転することが、ある意味リフレッシュしたり自分らしさを取り戻す時間だというところがヒントになりました。将来の技術進化を予測することよりも、そのお客様の心の状態の2年後、3年後を予測することの方が、もっと考えるべきテーマなのではないか。我々の商品で何かすべきことがあるのではないか、ということで、お客様の『心』に着目して開発を始めました」

「駐車場に止まっているクルマを見た瞬間から、心を整える出会いが始まっていると考えました」と話す竹内主査。つまり、運転席に座ったり、走り出したり、あるいはサーキットで限界性能を試したりせずとも、クルマがオーナーの心にポジティブな作用をもたらすということだ。そのため、従来のラインアップの系譜とは異なるデザインや、ドアを開けた瞬間に見える室内空間の造形、素材やディスプレイなど「それらすべてが心を整える方向のしつらえにしたのです」。

心を整えるしつらえ、とは

マツダ MX-30のデザインスケッチマツダ MX-30のデザインスケッチ
その心を整えるしつらえについて、より具体的には「MX-30はドライバーを囲ってしまうのではなくて、助手席の方とのつながりや外とのつながりを、よりオープンにする造形づくりを心掛けました。例えばナビが映し出されるメインのディスプレイは、『マツダ3』や『CX-30』はかなりドライバーを意識した方向に向かせているのを、助手席の方と共用できる角度に調整していたり、フローティングコンソールと言っているシフトやコマンダーが置いてある真ん中の部分には助手席の方に対して抜けのある空間を持たせていたり。見た目にも実際の空気的にも室内で共有できる造形にしています」と解説する。

また、デザイナーとともに悩み、素材使いにもこだわった。

「どうしてもクルマの中は樹脂や鉄板といった硬い無機質なモノに囲まれている部分が多くて、それがお客様が過ごしていらっしゃるリビングや生活の空間とは異なっているところだと思います。そうした部分をいかに自然由来のものにするか。空気が流れる感じというか、自然の中に居るような『風を感じられる』ような素材が使えないかと考え、樹脂、鉄板の冷たさというものを、できるだけ暖かい方向にもっていく素材使いをMX-30に織り込んでいるのです」

マツダ MX-30(写真は欧州仕様)マツダ MX-30(写真は欧州仕様)
一方、特徴的な外観に関しては企画当初、SUVやクーペといった車型は決まっていなかった。当然デザインもない状態で、いわゆる競合車といった考え方も全くなかった。

「例えばリビングのような、ソファーのようなシートを描いて、そこに人が座ってもらうようなモデルを造った時に、これくらいの空間のサイズが必要だ、といったところからアプローチしていったのです。その結果、少しクロスオーバー的な車型になった、というのがMX-30の成り立ちなのです」と竹内主査は明かす。

『マツダ2』性能開発統括の経験が活きた

マツダ MX-30 竹内都美子主査マツダ MX-30 竹内都美子主査
竹内主査は1997年マツダに入社し、電子技術開発を経て1999年から約10年間、商品性評価ドライバーとしてドイツ、北米、日本市場で車両評価試験に従事。2011年から『マツダ2』の性能開発統括を担当し、2015年よりMX-30の主査を務めている。

マツダ2の性能開発統括時代の経験が、今回のMX-30の開発に生かされていると竹内主査は話す。

「マツダ2の性能系をやっていた時の反省からすると、デザイナーや各設計者、実験研究者と思いを共有することが大事ということ。主査自身や、性能を取りまとめる人間があまり強く主張しすぎると、どうもクルマ自身に力が入ってしまうのです。それがクルマの性能であったり、チューニングに表れてくるのを少し感じたことがありました」

この経験から、核となるチームメンバー、チーフデザイナーや主となる設計者、チューニングのメンバーたちと大々的な会議ではなく小さなコミュニケーションを積み重ね、信頼関係を築き、意識を共有した。「それぞれの領域が造り上げてくれたことで、MX-30の少し肩の力が抜けた表情になっているのではないかと思います」と竹内主査は打ち明けた。

「『自然体』人を中心としたMX-30開発」をテーマに講演

マツダ MX-30(写真は欧州仕様)マツダ MX-30(写真は欧州仕様)
竹内主査が登壇する「第3回 名古屋オートモーティブワールド」初日の特別公演『EV開発最前線~新たなEVの在り方とバッテリーの進化』では、「『自然体』人を中心としたMX-30開発」をテーマに講演がおこなわれる。

『EV開発最前線』が表題として掲げられているが、「EVというのはひとつの技術、ソリューションだと私たちは思っています。その一方でEVだからこそできたことや、EVだからこそ付加した我々独自の機能・性能もあります」と竹内主査は話す。

マツダ MX-30 竹内都美子主査マツダ MX-30 竹内都美子主査
「MX-30のEVモデルではモーターペダルやEVサウンドを付加していますが、そのEVサウンドを付加することによってお客様がどういうパフォーマンスを発揮して頂くことにつながっているのか、といったところをデータと一緒にお話しさせて頂きたい」

「心の状態、それが単なる思い付きやコンセプトに止まらず、きちんと実証実験に基づいて色々な機能や性能をセッティングしてきました。また造形であったり、空間の抜けといった抽象的な部分に関しても実は全部実証実験をおこなっています。そうしたコンセプトの実現に至るアプローチを紹介させて頂きたいと考えています」と講演に向けた思いを語ってくれた。

■本講演の詳細は
https://reed-speaker.jp/Conference/202010/nagoya/top/?id=AUTON

■第3回 [名古屋]オートモーティブワールド
自動運転、EV/HEV、カーエレクトロニクス、コネクティッド・カー、軽量化など、自動車業界における先端テーマの最新技術が一堂に出展。今年は新たにMaaS 特別展示エリアを特設し、MaaS実用化に向けた注目テーマでの講演もおこなわれる。

■展示会のご入場には招待券が必要です。招待券請求(無料)受付中!
※招待券の事前登録により、入場料(5,000円)が無料になります。
https://regist.reedexpo.co.jp/expo/NWJN/?lg=jp&tp=inv&ec=AUTO

会期:2020年10月21日(水)~23日(金)10:00~18:00 (最終日のみ17:00まで)
会場:ポートメッセ なごや
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
■第3回 [名古屋]オートモーティブワールド 詳細はコチラ!
https://www.automotiveworld-nagoya.jp/ja-jp.html

《小松哲也》

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