【ホンダF1】来季限りでの参戦終了に関して追加説明…レッドブルによる“パワーユニット継承”の「可能性は残っている」

レッドブル・ホンダの#33 M.フェルスタッペン(20年F1アイフェルGP)。
レッドブル・ホンダの#33 M.フェルスタッペン(20年F1アイフェルGP)。全 5 枚

来季2021年限りでのF1参戦終了を発表済みのホンダが16日、メディア向けに追加説明の場を設けた。そのなかで、ホンダのF1パワーユニットをレッドブルが引き継ぐという話について「可能性は残っている」との旨が語られている。

2015年シーズンから“第4期”にあたるF1参戦をスタートしたホンダは現在、レッドブルとアルファタウリ(旧トロロッソ)の2チームにパワーユニット(PU)を供給している。しかしながら、去る10月2日、来季21年シーズン限りでの参戦(PU供給)終了を発表。それから2週間が経つが、反響の大きさを考慮してか、追加説明の場が設定された。

出席者は渡辺康治ブランド・コミュニケーション本部長。渡辺氏は、カーボンニュートラルを目指すなかでホンダがF1参戦終了の判断に至った経緯を改めて説明しつつ、「モータースポーツ振興と(若手選手らの)人材育成は続けていく」「来年は勝って(タイトルを獲って)終わりたい」などの意向を示した。

F1参戦終了についてのホンダ(グループ)内部の反応としては、「やはり残念、ショック、という声がありますし、一方でリーズナブルだ(理にかなっている)、という声もあります。どちらかというと、海外の方が冷静に受けとめているように思います」とのこと。

先週末のF1アイフェルGP、レッドブル・ホンダのフェルスタッペンは2位でゴール。先週末のF1アイフェルGP、レッドブル・ホンダのフェルスタッペンは2位でゴール。

F1のホンダ、というブランドイメージは失われていくことになるが、それについては「若い方々のモータースポーツへの関心が薄れてきている面はありますし、また世の中のホンダへの見方、期待というものが変わってきているのも確かだと感じています」との旨を渡辺氏は語り、「今後、ホンダとして新たなブランドイメージの軸は必要であり、それがどういうものになるかについては、少し時間をいただきたい」と続けた。もちろん、「F1はやめてもモータースポーツは続けていく」とのホンダの強い意志も補足しながら、である。

ちなみにF1参戦終了に際し、フォーミュラEへの参戦検討はなかったか、との問いには「それはなかったです」。あくまでも予想以上に早い世の中の変化のなかで、環境方面への取り組みをより強化するためにF1をやめることになった、というところを渡辺氏は強調している。

アイフェルGPゴール後のフェルスタッペン(背)。右から2人目はホンダF1の山本雅史マネージングディレクター。アイフェルGPゴール後のフェルスタッペン(背)。右から2人目はホンダF1の山本雅史マネージングディレクター。

また、2週間前のF1参戦終了発表時に八郷隆弘社長が「再参戦はしない」と発言したことに関しても触れ、「今の(参戦終了を発表した)時点で再参戦するというのは“ない話”だと思いますし、会社が続く限り絶対にやらないかどうかは(今の自分たちには)わからないわけです。ただ、5年後に戻りたいとか、そういう(中途半端な)話ではない、ということです」と説明した。

そして、こうしたやり取りのなかで最も注目されたのは、最近出てきている“レッドブルがホンダのPUを引き継ぐ”という話題に関しての答えだった。

レッドブル・ホンダのエース、マックス・フェルスタッペン。レッドブル・ホンダのエース、マックス・フェルスタッペン。

現時点で22年シーズンの搭載PUがない状態のレッドブル(とアルファタウリ=レッドブルの姉妹チーム)。陣営首脳のヘルムート・マルコ氏が「ホンダからPUを引き継いで22年以降を戦いたい」との意向を示している、との報道があるのだが、この話について渡辺氏はこう答えている。

「考え方についてはマルコさんから意見をうかがいました。ただ、具体的にどういうことを考えておられるのかについては、まだこちらには(話が)来ておりません。レッドブルに対しては、彼らが(22年シーズン以降も)活動しやすいようにできる限りの協力はしたいと思っていますので、提案を待って、やれることはやっていきたい、というところです。具体的な要望が来てから検討する、ということです」

アルファタウリ・ホンダの#10 P.ガスリー(前)と、レッドブル・ホンダの#23 A.アルボン(20年F1アイフェルGP)。アルファタウリ・ホンダの#10 P.ガスリー(前)と、レッドブル・ホンダの#23 A.アルボン(20年F1アイフェルGP)。

現代の複雑高度なF1PUを自動車メーカーから参戦チームが引き継いで使用する、というのは(レギュレーション動向にもよるが)いろいろな意味でハードルが高い話だと思われる。メーカーにとっては技術流出につながることにもなるので、一般的には現実味が低いように考えられる。ただ、可能性はあるのか、との問いに渡辺氏は「(現段階で)可能性は残っています」と答えた。あまり拡大解釈すべきではなく、ゼロではない、くらいに受け取るべきだとも思うが、F1の健全な存続という面からもこういった方向性には期待がもたれる。

モータースポーツの振興には変わらぬ努力を続けるというホンダ。鈴鹿サーキットでのF1日本GPの開催継続については、「21年まで契約が残っていますし、22年以降についても鈴鹿(サーキットを運営するモビリティランド)と前向きに考えていきたい」と渡辺氏は語っている。

コロナ禍の影響で今季の日本GP開催(当初予定10月9~11日)はなくなった。来季21年のF1の開催数や開催ラインアップもコロナ禍の推移次第で実際にどうなるかは見通せない面もあるが、ホンダ不在となる22年以降を含め、秋の鈴鹿のF1日本GP、これが存続していくことを願いたい。そしてそこで、今般アルファタウリの18年型F1マシン(トロロッソSTR13)でのテストが決まった角田裕毅ら日本人選手がレースドライバーとして戦う日の到来を待ちたい。

《遠藤俊幸》

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