トラックの電動化はBEVとFCVの2択か?…ダイムラー・三菱ふそうの戦略

新型キャンター発表:トラックはBEVかFCVか?
新型キャンター発表:トラックはBEVかFCVか?全 16 枚

三菱ふそうが19日、新型『キャンター』を発表した。同社代表取締役社長 ハートムット・シック氏は発表会の質疑応答で商用車のCASE戦略・電動化戦略について質問に答える形で言及した。

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キャンターは三菱ふそうの主力小型トラックだ。国内のみならず、海外にも展開するグローバルモデル。いすゞや日野など競合がひしめく国内小型トラック市場のシェアは20%ほどだが、インドネシアでは55%。台湾では45%と高いシェアを確保している。EU圏で19%、オーストラリアで16%となっている。このうちEUでは近年EV版の「eキャンター」が注目され、オーストラリアでは、ダイムラーグループとして唯一小型トラックで進出している期待の市場だという。

新型キャンターではフロントグリルのデザイン、LEDヘッドライト、キーレスエントリー、左側方の巻き込み警報装置(アクティブサイドガードアシスト)、運行管理用テレマティクスシステム(トラックコネクト)といった装備面の追加・改良が施された。エンジン(4TP10)・トランスミッション(6速DUONIC/5速マニュアル)は現行モデルを踏襲するが、今回の発表がワールドプレミアとなる。

詳細計画は未定ながら、EUには2021年半ば以降に新型キャンターがほぼ同じ仕様・装備で投入される見込みだ。アジア圏は新型コロナの影響で本来の計画がすべて見直しとなっているため、現段階では投入時期は確定できないそうだ(同社広報)。

商用車でも乗用車でも、新型が発表されると気になるのは、EVモデルの設定など各社の電動化戦略またはCASE戦略の中でのねらいや位置づけだ。ダイムラートラックも2039年までにはすべての新車を電動化するプランを発表している。その中で、20トンを超える大型トラックでは100%バッテリーで駆動するBEVと水素を利用した燃料電池を搭載するFCVを発表している。

今年の6月にダイムラーが大型FCトラックのプロトタイプを発表したときは、1日の移動距離が500km以下でルートが固定されている用途にはBEVで対応し、それより距離が延びる大陸横断輸送(ルートは固定しにくい)にはFCVがソリューションとなるとしていた。その一方で、ダイムラーグループの三菱ふそうはキャンターのFCV版(コンセプトモデル)を2019年の東京モーターショーで発表している。

トラックやバスについてダイムラーグループはBEVとFCVをどう棲み分けていくのだろうか。この質問についてシック氏は次のように答える。

「2039年のフル電動化は最優先課題で取り組んでいる。FCVについては他社からのOEM供給ではなく自社技術で開発している。ボルボとの協業でもこれが強みになると思っている。BEVとのセグメント分けは、ひとえにドライバーのニーズしだいだ。すでにBEVトラックは日本やEUで走っており、その普及や利用に注視している。トラックのどの世代でも騒音、環境性能、効率その他の面で改善が進んでいる。電動化はそのひとつであり、社会をよりよくするものと思っている。」

別の質問でCASE戦略について問われたとき「我々は約束はしない。考えて開発を続けるだけだ」とも述べている。現状で、BEVとFCVの最適な適用場面は予想はできるが、特定の判断で戦略を決め打ちするのではなく、常に状況を見ながら最適な選択肢をとることを考えているということだろう。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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