[カーオーディオの素朴な疑問]プロセッサー編…調整をプロに任せた方が良い理由がある

『ダイヤトーンサウンドナビ』の、イコライザーの設定画面。
『ダイヤトーンサウンドナビ』の、イコライザーの設定画面。全 2 枚

カーオーディオには、ビギナーに分かりづらいポイントが多々ある。その分かりにくさを解消していただこうと当特集を展開している。今回は、「プロセッサー編」の第4回目として、サウンドチューニングをプロに任せた方が良い理由について説明していく。

高度な「プロセッサー」によるサウンドチューニングは、難易度が高すぎる!?

サウンドチューニングは必ずしもプロにやってもらわなければいけないというものではない。中にはプロ級のサウンドチューニング技術を身に付けているユーザーもいるし、人任せにはしたくないと考えている方もいるだろう。しかし特に理由がなければ、高度な「プロセッサー」を用いて行うサウンドチューニングはプロに任せた方がベターだ。

そうである理由は至って単純明快だ。「高度なプロセッサーを活用するサウンドチューニングは難易度が高過ぎるから」だ。

例えば『ダイヤトーンサウンドナビ』に内蔵されている「プロセッサー」では、イコライザーは「左右独立31バンド」タイプとなっている。バンド数が31と多いことに加えて、それを右chと左chで個別に調整できるのだ。ここまで詳細に設定できるようになっていたら、それを使いこなすのは簡単ではない。経験豊富なプロに任せた方が良い結果が得られやすい。

ところでこの際なので、高度な「プロセッサー」に搭載されているイコライザーが“左右独立”になっている理由も説明しておこう。

ひと言でいうなら以下のとおりだ。「車室内は、右側と左側で形状が異なっているから」だ。例えば運転席側にはハンドルがありメーターフードもある。このように左右で違っている部分がいくつかあるので、音が反射する状況も左右で変わり、結果、右chの音と左chの音とでは周波数特性の乱れ方も変化する。イコライザーとは周波数特性の乱れを補正するための機能だが、乱れ方が左右で異なっている以上それをアジャストするにはイコライザーも“左右独立”であるべき、というわけなのだ。

最新の「プロセッサー」の機能は、ますます高度化…。

なお、最近の単体プロセッサーやパワーアンプ内蔵DSPのイコライザーは、さらに複雑化している。多くの機器が、「ch独立31バンドパラメトリックイコライザー」を搭載しているのだ。

まず、「パラメトリックイコライザー」とは何なのかから説明していこう。これは、調整したい周波数ポイントを任意に選べてさらにはその操作が影響する範囲も都度変更できる、というタイプのイコライザーのことを指す。ちなみに通常の「グラフィックイコライザー」は、各バンドの周波数ポイントと周波数範囲を変更できない。つまり「パラメトリックイコライザー」の方がきめ細やかな調整が行える。ゆえに操作の難易度はさらに高い。

しかもここまで高度な調整をなんと、各chごとで実行できる機器も多い。例えばフロント2ウェイスピーカーを制御する場合には、ツイーターで31バンド、ミッドウーファーで31バンド、計62バンドを調整できる。しかも左右のchそれぞれでそれを行えるのだ。

このような詳細なイコライザーを、初心者が操作するのは不可能と言って良く、ある程度の経験があっても使いこなせるスキルを身に付けるには、相当な時間を要することとなる。

しかしプロならそれを使いこなせる。店によってやり方は異なるが、高度な測定器を用いて特性の乱れを測定してから調整が行われる場合もあるし、聴感上で乱れを特定し補正が掛けられることもある。または測定器を使った補正と聴感での補正とを併用しているプロもいる。いずれにしても特殊な機器と技術でもって、プロはチューニングを実行している。

プロに任せた上で、自分でもやってみるとさらに楽しめる!

ここまでは、本格的な「プロセッサー」に搭載されている「イコライザー」を例に取って説明してきたが、その他の機能も当然ながら相応に高度だ。逆に言うと、高度な機能を用いないと車室内の音響的な不利要因に対処できない、ということでもあるわけだ。

そして“カーオーディオ・プロショップ”の各インストーラーたちはそれを使いこなす技術を持ち合わせている。本格的な「プロセッサー」を導入するハイエンドシステムを構築しようとする際には特に、“カーオーディオ・プロショップ”の力を頼ろう。そうして格段にハイクオリティなサウンドを手にしよう。

そしてその上で、自分でもチューニングにトライしてみるとカーオーディオをさらに深く楽しめる。

なおその場合は、くれぐれもプロに設定してもらったデータをいじってしまわないように気をつけよう。そしてそのデータをメモリーしておき、他のメモリーを活用して自分自身で設定した調整データを保存しておくと良いだろう。

ところで自分で調整する上での大切な注意ポイントがあるので、それも併せて紹介しておく。

クロスオーバーの調整を行う際の話になるのだが、これを操作するときには注意をしないと、ツイーターを破損しかねない。

その詳細は以下のとおりだ。前にも説明したとおり「クロスオーバー」とは、セパレートスピーカーを“マルチ制御”する際に音楽信号を各スピーカーに振り分けるための機能だ。使用するスピーカーが2ウェイであれば、フルレンジの音楽信号をツイーター用の高域信号とミッドウーファー用の中低域信号とに“帯域分割”する必要性が生じる。それを行うのがクロスオーバーだ。

で、ツイーターは実は案外壊れやすい。中低音の信号を送り込むといとも簡単に破損する。どの程度の帯域の信号が入力されると破損するかはケースバイケースだが(入力するボリュームによっても変わってくる)、本当にあっけなく壊れてしまう。そのあたりについて細かくは、事前に通っているプロショップからアドバイスをもらっておこう。

今回はここまでとさせていただく。次回からはテーマを変えてお贈りする予定だ。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part2「プロセッサー編」その4「調整」をプロに任せた方が良い理由とは?

《太田祥三》

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