【メルセデスベンツ Eクラス 新型試乗】古い世代のユーザーと決別する1.5Lエンジン…中村孝仁

Eクラスに1.5リットル!「E200」の実力は

マイチェン前に感じた乗り心地のプアさは解消されたか

性能を追い求める時代ではなくなった

メルセデスベンツ Eクラスセダン 改良新型(E200スポーツ)
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Eクラスに1.5リットル!「E200」の実力は

「ええっ!?Eクラスに1500cc?」そんなお客さんいらっしゃるんですよねぇ…と何となくしんみりメルセデスの広報マンがつぶやいた。

確かにそうだ。『Eクラス』といえば、昔のミディアムクラス。普通に考えれば6気筒が常識で4気筒は安物。でもって排気量は3000ccくらいが当たり前…そんな凝り固まった常識を持ったお客様は多分今でも相当数いらっしゃるはずである。正直告白すれば筆者自身もつい最近まではその部類だったかもしれない。(まあメルセデスの客ではないかもしれないが)

だいたい1500cc、つまり1.5リットルといえば今だってCセグメントのハッチバック車程度のエンジンキャパシティーである。それが何とEクラス、つまりはミッドサイズのハイエンドサルーンに搭載されてしまったのだから、「そりゃないだろう」となるのは、まあ普通のリアクションといえなくもない。

メルセデスベンツ Eクラスセダン 改良新型(E200スポーツ)
しかし今の1.5リットルは昔と違う。それも同じ1.5リットルでもCセグメントのハッチバックに積まれているような、失礼ながらそんじょそこらの1.5リットルとはやはり明確に違うのである。まあ、内燃機関だけを見ればM264と呼ばれるもので、M274ユニットの進化版であるが、肝はやはり電動化である。

まずバッテリーシステムが48Vになったことに加えて、BSG(ベルトドリブンスタータージェネレーター)が装備された。たった1.5リットルしかないキャパシティーだが、その最大トルクは280Nmとちょっと前なら普通に3リットル級と言っても納得してしまうほど強力である。おまけにBSGのおかげで発進加速が鋭い。

そんなわけだから、パッと乗ってそれが「なぁんだ、やっぱり1.5リットルだよね」とはならないわけで、予備知識なく乗れば普通に2リットルターボと言われても納得してしまう性能を見せる。断っておくが勿論ターボ付き。それにカムトロニックも装備する。まあ、やれることはすべてやったというやつだ。

マイチェン前に感じた乗り心地のプアさは解消されたか

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今回どうしても注目したかったのは、このEクラスがデビューした時に一番痛切に感じた乗り心地のプアさが解消されているかどうかという点だった。

2016年に出た現行Eクラスは、新型となってADAS系の進化は著しくなっていたのに乗り心地とハンドリングに関していえば“?マーク”がいっぱいついてしまう不思議を感じてしまった。その上での評価は「クルマの開発ベクトルが、従来とはまるで違った方向に向いていることが鮮明になった」と記した。だから今回、メルセデスらしく走りや運動性能が引き上げられているかを大いに注目していたのである。

今回のマイナーチェンジでもADASはさらに進み、ナビは単なる地図だけではなく実際の映像がナビに投影されてそこに進むべき方向を矢印で示すAR機能が搭載されたりしているが、全集中(毒されてる)で感じ取ろうと思ったのはその乗り味である。

メルセデスベンツ Eクラスセダン 改良新型(E200スポーツ)
結論から言ってしまうと、30%ぐらい良くなっているように思えた。一番気になっていたリアからの突き上げ感は大きく抑え込まれ、それだけで上質感が大きく増している。ちょっとしたハードコーナリングでいとも簡単に根をあげてスキール音を出していた運動性能もぐっとこらえてくれるようになった。

かつてのメルセデスはずば抜けたフラット感のある乗り心地を提供していたが、ライバル2社(言うまでもなくアウディとBMW)がそのあたりに拘りを持って追い上げた結果、一旦は抜かれた印象があったものの、再び追いついて、まあ今は横一線と言っておこうか。

性能を追い求める時代ではなくなった

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それにしても冒頭に戻るが1.5リットルである。ライバルのBMW『5シリーズ』だって、アウディ『A6』だって下限は2リットルである。アウディがデビューしたのはだいぶ前のことだから、性能的には随分頑張っているが、BMWはメルセデスとほぼ同時期。2リットルながら性能的にはメルセデスの1.5リットルと大差ない。性能を追い求める時代ではないことが明白になってきている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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